ミスター・ランズベルギス

劇場公開日:

ミスター・ランズベルギス

解説

「ドンバス」「バビ・ヤール」のセルゲイ・ロズニツァ監督が、1991年にリトアニアをソ連から独立に導いた元リトアニア国家元首ビータウタス・ランズベルギスを取材したドキュメンタリー。

ピアニストで国立音楽院の教授を務めていたランズベルギスは、祖国リトアニアの主権とソ連からの独立を訴える政治組織サユディスの指導者となる。1990年3月の第1回リトアニア最高会議で議長に選出された彼は、ソ連に対して独立を宣言し、ゴルバチョフ政権との対立を激化させていく。

独立の気運を高めた連帯「バルトの道」、経済封鎖による物価上昇と社会的混乱、首都ビリニュスで起きた軍事占拠「血の日曜日事件」など、1980年代後半から1991年9月のリトアニア独立にかけて起きた歴史的な出来事をアーカイブ映像で振り返りながら、ランズベルギスが当時の熾烈な政治闘争と文化的抵抗について語る。

2021年製作/248分/リトアニア・オランダ合作
原題:Mr. Landsbergis
配給:サニーフィルム

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映画レビュー

4.5ソ連からの独立の苦しみ伝わる

2023年1月15日
iPhoneアプリから投稿

4時間のドキュメンタリー映画だが、当時の緊迫感ある映像に、一瞬も退屈しなかった。
見始めてからすぐ、長尺の意味は理解できた。リトアニア国民が集まって歌ったり、バリケードを作ったり、犠牲者を埋葬したり、そういうディテールが丁寧に集められているのだ。ソ連が行った独ソ不可侵条約の再調査報告でヤコブレフが語る苦しいロジック、ゴルバチョフの思い通りに進まない最高会議の議事、リトアニアの政府内の議論や少数派ロシア人のデモなど、当時のニュースには出て来なかった場面が満載だが、発砲を始めたソ連軍を前にランズベルギスらが決死の覚悟で政府ビルに立て篭もる場面は見応えがあった。
時代も性格も異なるが、ソ連という厄介な国の持っている問題点も露わになっている点で、ウクライナ危機の今、改めて色々考えさせられる。

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Boncompagno da Tacaoca

4.0民衆の力

2022年12月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

2021年。セルゲイ・ロズニツァ監督。1980年代後半から1991年にかけて、ソ連から独立していくリトアニアの様子を、当時改革を主導したランズベルギスとともに振り返る。ソ連に現れたゴルバチョフの改革の波に乗り、ソ連憲法やそれ以前のリトアニア憲法を盾に取り(遵法闘争)、ナチスドイツとスターリンの密約で揺さぶり、最終的には民衆の力で独立を勝ち取っていく。
政治の主導権を握った人々の対ソ連、対リトアニア共産党の政治闘争は「主権」をめぐる法的な闘争であり、歴史や文書がものをいうが、最終的に軍隊を跳ね返す力となっているのは、50年間ソ連の支配下にあった当地で積もりに積もった憤懣を背景にした人々の国民意識。ナショナリズムの力は戦車に勝つのだ。もちろん、国際情勢の変化をとらえた政治家たちの力もあったのだろうが。当時の映像をつなぎ合わせて「民衆の力」をまざまざと見せつける映画。

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文字読み

4.5ノンフィクションで戦争の起承転結がわかる

2022年12月20日
iPhoneアプリから投稿

なぜ戦争は起きるのか。
そしてどうすれば終わらせることができるのか。

現在のロシア対ウクライナでもそうですが、多くのウクライナの人々は「なぜロシアが戦争を始めたのか、何が目的かわからない」と。

わたしも学生の頃から、戦争はなぜ起きるのか、ずっとその疑問を持ち続けていました。「戦争は人間のサガ。なくならない」と疑問なく言い切る人もいますが、なぜそう思うのか。責めているわけでなく、本当に謎。だって、あまりに愚かすぎます。命のリスクが高く、両者の損失が大き過ぎて、幸せと真逆です。不幸を望む人間はいないのに、なぜこんな行為に走るのか。
わたしにとって、人間の最も不思議な点でした。
それがこの映画のMr.ランズベルギスの言葉で、ようやく長年の謎が解けました。

「『俺がボスで、お前らはバカ。』そう言いたかったんだろうね、でもそうじゃなかったからねw」

国同士だけじゃない。人間同士。どっちが上か。そんなことばかりやってるんでしょうか、人間は。
人間の誰しもが陥る、傲慢という現象。

はじめは希望や理想や勇気なのです。
ペレストロイカで、古びた体制のソ連を解体し改革しようとした。
ゴルバチョフ氏も頑張った。

自己肯定感は、ほんの少しでも高くなりすぎると、すぐ慢心へと変わる。
ひとの権利の中へ土足で入って来て、鼻たかだかに指図する滑稽さ。
あゝそんなヒーローやリーダー「もどき」に、わたしもたくさん出会ってきました。

こういう自信満々の方々に、どう対応すればいいのか。
ものすごい辛抱強さが要りますね。
そうして戦わないようにすること。
だって、出ていってくれれば、それでいいんですから。
そのためには、「あなたの庇護は要りません、自分のことは自分で責任取りますから」って言える自律力を、経済的にも精神的にも体力的にも知的仕事力的にも持たないといけません。

映画を観てよくわかりました。
ランズベルギスさんが勝ったというより。
リトアニアの皆さんが、誰も負けなかったのですね。
その意思を代弁する役を、ランズベルギスさんが仰せつかっただけ。この方、元は音楽の教授。個人的な政治的野心がないのが、きっとよかったのでは。

リトアニアの皆さん、直球勝負。
どこの誰の奴隷にも子分にも、家来にもならない。
自分たちの選択と意思で生きていきます。
それが自由ということです。
願いはただそれだけ、だから邪魔しないでね。
と人間として至極真っ当なことを、ただひたすら言い続け、行動し続けた。

最後はもう、人の鎖で何キロも手をつないで、戦車を追い出した。
侵略する輩など、誰が入れるものか!というベタな抵抗。

紛れもなく国民一人一人が命をかけて、みんなで協力して、誰かに隷属させられる危機から自分たちを守り抜きました。

武器じゃなく、手をつないで。
この道しかないよ。
愛と信頼。

戦争は傲慢さから始まる。
でも傲慢さに勝とうとせず、負けないこと。
自分で選択できる自由を、やすやすと渡してしまわないこと。
脅されても怖がらず、きちんと法や論拠を手にして、人権は一人一人が担保されている、人類共通、誰にも奪う権利はない、と示す。静かに、淡々と、堂々と。

誇りが揺らがない。

この魂を、日本も学びたい。
日本だってつい百数十年前、江戸幕府から明治へ。士農工商の階級社会が腐ってしまったからこそ、変革するしかなかった。
無血開城なんてすごいじゃないか。奇跡だ。
そしてそれが叶えば自信がつく。
でも自信が慢心へ。慢心は傲慢へ。
理想高く頑張れば、叶わぬ夢はないと、向上心がどこかで調子に乗ってしまう。

核兵器がどれだけ残酷か。故郷は被爆地です。
傲慢になった東洋の獅子の鼻を折るための投下だったにしても、誰かが、その後もずーっと苦しみを背負うことになる。

文明だけでなく、人間の内面も進化しないと。
戦争をそろそろ過去の遺物にしないといけません。

自信をつけても謙虚でいること。
自律していること。
自分と相手の自由を尊重すること。
その上で足りない部分は、手を借りるし、
借りたら感謝すること。何かできることで返すこと。
助け合うこと。
そういう普通の大人。
リトアニアの皆さんはそれが多数派だった。

日本よ。
傲慢・劣化・退化していかないよう。
逆に、守ってもらえるならとやすやすと自由を渡して隷属してしまわぬよう。

そう願う一方で、でも「普通の大人」というにはアメリカの親的庇護なくしては生きてこれなかった、子供のような日本。
防衛費増強が発表になったいま(増やしてもキリがない)、この先どうすれば自分たちが自律した国でいられるのか。

一市民として、リトアニアの実例を知れて、よかった。
愛や信頼は、絵空事ではなく、むしろ実用的かつ現実的だ。

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xmasrose3105

3.0勉強になりました

2022年12月11日
iPhoneアプリから投稿

上映時間4時間8分(途中休憩あり)、2500円と少々覚悟が必要な映画ですが、見てよかったです。リトアニアの独立運動とその後を追った記録映像とランズベルギス氏へのインタビューで構成されています。見ている間たびたびウクライナのことが頭をよぎりましたが、時代背景も大きく異なるため全く違う道をたどっていると感じました。見る前は長すぎるのでは? と思いましたが、知らないことばかりで案外退屈せずに見られました。

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むっち