劇場公開日 2022年9月24日

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「ウクライナの黒歴史。」バビ・ヤール masayasamaさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ウクライナの黒歴史。

2022年9月29日
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鑑賞方法:映画館

ドンバス観たから、これも観なきゃだわ。

この映画に抜けてる1930代前半にあったスターリンの農業政策による人為的飢餓「ホロモドール」(実数が全くわからないが1000万人以上亡くなったらしい)によりウクライナの人達はソ連に懐疑的だった所にドイツ軍が侵攻してきたから皆んな歓迎してるんですね。民族衣装着た娘さんやコサックがナチスの旗持って嬉々としてるの凄く違和感あるけど、そんな理由があるんです。
「ホロモドール」知らないで見るとプー様の言う「ウクライナはナチ」って感じに見えるから要注意。その時期の彼らにとってナチスはまさに自由、解放だったわけです。
ここからは映画の通り。
解放者を盲信してしまいユダヤ人虐殺に手を貸したわけです。まああの市街地爆破事件もナチスのユダヤ人追い込みのためのやらせらしいですが、映画ではあまり深掘りしてません。そしてソビエトが反転攻勢にでてウクライナは再びソビエト連邦となります。めでたしめでたしと、ウクライナ人が思ったかは微妙なところですね。

こうやってウクライナの最近の歴史を俯瞰しただけで、簡単に片付かない重い歴史があり、バビ ヤールの件も完全な戦争犯罪ですが、経緯を見ると許されはしないが理解は進みます。さらにソビエト崩壊により悲願の独立を果たしたわけですから、今回のロシア侵攻も極東の国が「戦争反対」なんて言っても「何言ってんだ黙ってろ」状態なわけです。隣に住んでるDV僻の元彼が復縁をせまり窓から強引に入って来ようとしてるわけですね、地続きはマジ怖い。

ドンバスとちがい、この映画は淡々と大量の記録フィルムを繋ぎ、客感的事実を時系列で並べて行くことに徹しています。死体や死刑の映像あり激しく重いので体調の良い時にどうぞ。

これはオマケですが、、前半ミリタリーマニア必涎のドイツ機械化部隊や破壊された車両が山ほど見れます。

masayasama