彼女のいない部屋のレビュー・感想・評価
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オレンジ色の語り直し
2021年。マチュー・アマルリック監督。夫婦と二人の子供の幸せな家庭から、ある朝妻が家出する。その行方と過去の出来事、さらに可能性としての出来事が複雑に入り混じって語られる。人が本当に大切な人を失った時、過去や未来を語り直すことをやめられないというテーマ。
冒頭で提示された謎の真実を探り当てたいという観客の心をつかんで離さない。過去も現在も妄想もすべてを同じレベルで同時に提示できる映画の力を存分に使っている。個人的には、単に妄想ではなく現実世界に投影された妄想を描くところが風変りなところ。
哀しい出来事を描いているのだが、画面も音楽もこの上なく美しい。オレンジ色(ブラウン系含む)が突出している。写真で行う神経衰弱的な遊びはこの映画のメタ的解釈になっている。記憶を使った語り直し。
バットを振れず。
手堅くクオリティがレベル以上と計算できるル・シネマ。時々アヴァンギャルドに振れて暴投がある。本作は、僕はちとバットを振れなかった。まお、人によってはストライクに見えるだろう。異論をの存在を認めざるをえない作品だな。
途中からカラクリの正体はどっちかな?と思い出し、後半部分で判明。あとはねえ、なにがなんやら。
「バラバラのピースがつながる…」というコピーがあるが、ちょっと違うと思う。
人は過去の記憶が思い浮かぶ時、時系列で思い浮かぶ訳ではなく、その記憶は断片的で時に曖昧となる。
人は過去にとらわれ、前に進めない時、とりとめもない記憶が次から次へと頭の中に去来し、自分を見失う。
この映画は、最後まで観るとバラバラのピースがつながるというものでもなく、パズルが組合わさるというものでもない。
すべてはクラリスの頭の中に去来する記憶と妄想を描いた映画と言える。
監督からのインフォメーションは、冒頭のシーンに関して「彼女は家出をしているようだ」というものと、「何が起きるのか、観る前の人に明らかにしないでください」というものだ。
この映画の中で何かが起こる。その他のシーンは現実もあり、妄想もある。
妄想に関しては、クラリスのいないところで元気に暮らしていてほしいという願望を含んだ妄想になる。
後は劇場で観て、どのシーンが現実で、どのシーンが妄想かを判断すれば全体像が見えてくることになる。
それでもわからなければ、公式ホームページの「映画観賞後の方だけに」というページを見れば、この映画の意味はわかる。
そう考えると、映画としては不完全、解説を見ないとわからない映画ということにはなる。
クラリスの頭の中に去来する動揺と混乱の中の映像は、あなたに何を感じさせるだろうか。ぜひ、劇場でお確かめください。
#142
神経衰弱
2人の子供と旦那と暮らすママが早朝車で一人旅に出て回想する話。
逃亡中か逃避中か家出ママ?リフレッシュ旅?なんて思わせながら、家族との過去のことや未来のことを考えて…。
回顧か妄想か想像か、恐らく殆どは彼女の頭の中のことをみせているのだと思うけれど、いったい何をみさせられているのかと思いきや、山のホテルで…。
脳内映像と現実の境目が判り難くて逃亡中からの再起動中の重さがイマイチダイレクトに伝わって来なかった。
イマジネーション
目を閉じて想いを馳せると、どんな未来でも見ることが出来る。
でも自分はそこに存在しない。手を伸ばしても触れることも出来ない。
未見なのにネタバレのこのレビューを開いたあなたにも是非見てほしいです。
完全に肩透かし
途中で、何の話なのかのだいたいの想像がつくが、きっと、そうではない、思いもよらない驚愕の事実が、ラストで明らかになるに違いないと期待していると、そのまま終わってしまう。
本当に、いったい何の話だったのか?
時系列を無視した、回想なのか、幻想なのかも定かではない謎めいたエピソードの連続も、最初は興味を持って観続けられたものの、そのうち飽きてきて、退屈で眠くなってしまった。
そもそも、なぜ妻は家族を置いて家を出たのか?どうして夫と子供たちは山へ向かったのか?そうした物語の鍵となるところが分からないので、「なるほど、そういうことか」と納得できるところがまったくない。それとも、それさえも幻想だったということか?
思わせ振りな映像をさんざん見せられた挙げ句、何のオチもないままエンドロールとなって、呆気にとられるとともに、狐につままれたような気分になってしまった。
パズルのような物語
彼女に何が起きたのか、映画を観る前の方々には明らかにしないで下さい。
マチュー・アマルリック監督
分かりずらい解けないパズルのようで、頭に心に残りますね…印象的…
『スターフィッシュ』が思い浮かんだり、『恐怖の足跡』が思い浮かんだり、デヴィッド・リンチが思い浮かんだり…
最後まで観て、分かったような分からないような曖昧な感じで、
パンフレット買って答えを知りましたが、まあまあ、だいたい、合ってた。
けっこう面白かったです。
とりあえず、もう1回観たい。
主演の女優さんは『オールド』や『蜘蛛の巣を払う女』にも出てた人らしい。
もう一度見ないと!
2022年8月8日
映画 #彼女のいない部屋 (2021年)鑑賞
邦題が「彼女のいない部屋」で、原題がhold me tight(強く抱きしめて)
そして、サイトでは、「家出した女の物語、のようである」
どんなお話かは、是非見てください。もう一度確かめたくなる映画
@FansVoiceJP さん試写会ありがとうございました
断片シーン繋がりの【結末口外禁止映画】
オンライン試写会にて鑑賞。
さまざまな断片シーンをシームレスに見せられるので、「これは一体どういう物語?」と思いながら観ていくと、観終わった時に「それぞれのピースが一つに繋がって…」という不思議な映画。
本作を観た直後には、あのビートルズが生み出した名盤「SGT. Pepper’s ……」の曲「♪Being for the Benefit of Mr. Kite!」で試みた「録音済テープを数センチごとに切ってバラバラにして、ランダムに繋げた上で逆回転させるアイデア」に似たことを、映画で試みたような感じがした。
映画冒頭は、夫・子供達2人を残して妻がいかにも古い型の車で立ち去るので、「母親の失踪物語?」かと思った。
そして、「残された夫と子供達の様子」が描かれ、「妻は戻って来るのか?」などと思っていると、「どこか分からない場所で妻一人の行動」・「ピアノ」・「雪山」・「写真」など色々な風景が、時系列もランダムに描かれる。
こうなると、ホントに流れが分からない(^^;
【結末口外禁止映画】なので、本作の真実を知りたい方は、とにかく本作を観て欲しい。
[追記]
・個人的には、途中で結末が分かってしまったのは、本作を存分に楽しめない不幸だったかも……。(そのあたりも評点に反映させたものにしている。)
<映倫No.49356>
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