劇場公開日 2022年8月26日

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「彼女のいない部屋を見て感じたこと」彼女のいない部屋 コショワイさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0彼女のいない部屋を見て感じたこと

2022年9月30日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

難しい

1 一人の女性の不可解な行動とその理由、そして深い喪失感を描く人間ドラマ。

2 家を出て車を走らす女性の姿。「お母さんはどこに行った」と混乱気味の夫と二人の子供の姿。観客は、話が繋がらない画面を見せられながら推理を働かす。割と早い段階で「マドモアゼル」と呼びかける声とその後の場面で、筋立てが見えたように思えた。が、しかし・・。それとは矛盾する場面やモノローグがその後も出てきて頭が混乱する。時制も相前後する。

3 中盤からは、子供の成長する姿と傍から見つめる件の女性の姿。とりわけピアノが秀でた『娘』に熱い視線を送る。この世を去った女性が家族を気にかけて気配を残したのか?とも思えてくる。

4 終局近くで事の顛末が明かされる。そのことで、映画はそれまでの不可解なものから一転、喪失感で精神が蝕ばまれ、妄執に囚われた人物のさすらう心が見えてくる。

5 ミスリードを誘うような場面構成は、難解ではないものの明解さや面白みに欠ける。それでも主人公の哀しみが一挙に強調される点ではそれなりの効果はあったと思う。

コショワイ