「置いてけぼり感も」リコリス・ピザ 山の手ロックさんの映画レビュー(感想・評価)
置いてけぼり感も
まず、ボーイミーツガールのお話だけど、15歳の高校生と25歳の女性という組み合わせがユニーク。主役のクーパー・ホフマンは、顔つき・体つきもお父さんを思い起こさせ、少年っぽさを持ちつつ、ふてぶてしさ、貫禄めいたものを感じさせて独特の存在感。相手役のアラナ・ハイムの両親・姉妹とも本物が出演していたとのことで、結構際どいユダヤネタも許されていたのだろう。
ただ、いくら子役で稼いでいるとはいえ、15歳でウォーターベッドやピンボールのビジネスを始め、たばこを吸い、車を運転するというのは、感覚的にちょっと付いていけない。モデルとなる実在の人物がいるそうだが。
S.ペン、T.ウエイツ、B.クーパーといったカメオ出演者もそれぞれ実在の人物をモデルにしていて、登場シーンでは、異様な存在感と画面の緊迫感があるが、そのシーンが終わると、一体何だった、と置いてけぼりな感じもしてしまう。
一つ一つのシーンごとには強烈なイメージを喚起するものの、映画全体としては掴みどころがない、というのがP.T.アンダーソン作品全般に対する個人的な感想。その中で「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」は凄かったけど。
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