「青春を忘れたオッサンには理解できなかった」リコリス・ピザ 鶏さんの映画レビュー(感想・評価)
青春を忘れたオッサンには理解できなかった
1973年頃のアメリカを舞台に、15歳の男子(ゲイリー・バレンタイン)が10歳年上の女性(アラナ・ケイン)に猛烈アタックを掛けるシーンに始まるラブコメディ。
残念なことに、自分からアタックしておきながらあちこちで他の女子にちょっかいを出しまくるゲイリーの心理に共感できないばかりか、全く理解することすら出来なかった。男性心理として、「釣った魚に餌はやらない」というのは理解できなくもないが、まだ釣ってもいない段階で、本命がいるにも関わらず他の女子に色目を使うのはあり得ないと思う。それとも自分が年を取り、青春のセの字も忘れてしまったことが原因なのだろうかしら?
別に倫理的な話をしている訳ではなく、そんなことをすれば相手が愛想を尽かすだろうに。どう考えても合理的ではない。それともゲイリー君は、女と見れば構わずちょっかいを出さずにいられない色魔だっての?そうじゃないよね。
そしてそんな失礼な年下男に愛想を尽かさないアラナもアラナ。まあ恋人ではなく、仕事のパートナーとして距離を縮めていくような描き方はしているものの、どうもしっくりこなかった。一つだけ心温まる感じだったのは、ゲイカップルが破局を迎えた時に、アラナが捨てられた方を慰めてハグするシーンくらい。
また、コメディという切り口でも、自分にとって面白いと思われるシーンは少なく、その点でも残念の一言。アメリカンユーモアに不感症なんだろうか?
半世紀前のアメリカの空気感を再現した舞台装置は中々で、車なんかも非常にカッコいいのが登場していただけに、かなり残念感を残した一作でした。
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