「愛おしい、逝きし世の面影」リコリス・ピザ 塩減らしさんの映画レビュー(感想・評価)
愛おしい、逝きし世の面影
可愛い、懐かしい、持ち歩きたくなるような映画だ。70年代前半のカリフォルニア。陽気で、楽天的で、善良で、ユーモラスで、化粧っ気なく、カッコつけず、感情むき出しで、無鉄砲。男も女もそんな感じで、手軽にテレビにも出るわ、ニューヨークにも行くわ、ウォーターベッドの店を開くわ、躊躇いも後悔も反省も貯金も計画もない。
後半、ニクソンが石油ショックの到来を告げて、少し心細くなりもするし、変な奴(ブラッドリークーパー演ずるバーブラストライサンドの男)に妙な圧をかけられもするが、走る二人はたがいを求めていることに気づいて。。。
終わらないよう、二人を身近に感じていたくなる、、、
言えばカリフォルニア版『横道世之介』だけど、男はちょいデブで、女は鼻デカ。カッコよくないのがカッコいいよね。
二人は歳の差があるし、ユダヤ問題?があるし、だけど、どあたまで軽めに口説く他は、距離を縮められず、その癖、胸を見せたり、やきもち焼いたり、別の相手を追いかけたり、忙しない。二人がどうなるのか、ヤキモキもするけども、微妙にズラす達者さがある。鼻歌でスタンディングダブルをかっ飛ばすような頼もしさ。
カタルシスっぽい結末があるかもと構えたりもするけど、横道世之介のような〆もせず、サラリと終わってみせる。カッコいいよ。
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