「ハイム一家、勢揃い」リコリス・ピザ 万年 東一さんの映画レビュー(感想・評価)
ハイム一家、勢揃い
大好きなポール・トーマス・アンダーソンの新作にコレまた大好きなショーン・ペンやトム・ウェイツが出演、映画監督でもあるサフディ兄弟の作品は全部好きだし、本作の公開前から気になっていたアラナ・ハイムのヴィジュアルに今では彼女の三姉妹によるバンドHAIMも好きになり、好きだけで言ったら完璧過ぎる完成度。
HAIMのメンバーでもある姉二人に父と母まで全員集合、勢いに任せてウォーターベッド売りの胡散臭いオヤジはディカプリオの実の父親が俳優デビュー、PTA作品常連のフィリップ・シーモア・ホフマンの息子でもある期待の新人クーパー・ホフマンに、PTAとハイム一家の関係性など本作は濃密なファミリー映画でもある。
ショーン・ペンとトム・ウェイツの絡みがファンには嬉しい贅沢な場面でもありながら、そんな二人にブラッドリー・クーパー含めた豪華俳優陣が物語に於ける重要性を担っていない、寧ろ必要の無い場面に思えてしまうが最高に美味い調味料としての効き目が抜群であるのは否めない面白さ。
主役の二人、アラナとゲイリーが走る場面の数々は印象的で最高潮にテンションを高めながら平静を装う気持ちが不安定で、その瞬間で終わってしまう関係性が恋愛にすら至らない劇的な演出描写ですら控えめに煽らない。
大人になり切れない幼さと背伸びしてもガキであるのは変わらない、そんな二人の成長が早ければズレが生じてしまう、青春の思い出としての儚さ、現実を突き付ける年の差から、子供のままで、大人になる為に、相思相愛に思えながらも相反する二人の関係性が清々しく。
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