「愛無き世界」牛久 shantiさんの映画レビュー(感想・評価)
愛無き世界
衝撃があまりにも大きい。仕事ならば全て許されると思っているのか?弱者を虐待するのが心地良いのか?あまりにも酷い世界が牛久入管の実体である。そこにいる職員は自分が何をしているのか分かっているのだろうか?そのやっている仕事を親兄弟妻子供に見せられるのか?権力を行使する心地良さに酔っているのか?人間の愚かさが際立つばかり。難民申請を出しているだけの人々を犯罪者のように扱う施設。そこは実質的には刑務所である。14日間の仮放免を受けるためにハンストをして、ドクターストップがかかって始めて許される現実に激しい怒りを覚える。しかし、これは他人事ではない。先進国から転がり落ちている途中の私たちが難民になる可能性がないとは言えないだろう。片や入管の職員のような振る舞いを絶対にしないと言えるだろうか?この日本社会において、自分の態度を貫けるだろうか?周囲の同調圧力に否を突きつけられるだろうか?結果は、毅然とした態度を取れずに陰にこもって呪詛する言葉を吐くだけではないだろうか?そんな、ネガティブな感情は共有しやすく、その捌け口を陰湿な感覚で見つけ出す。その瞬間に、人間性を棄てる第一段階をクリアする。私たちは特にその様な状態になりやすいのではないか?個人を認めない国柄が間違いなくある。それだけに、日本人はその内面に確固たるものを持てない弱さを実感しているのではないだろうか?絶対に認めたくはない暗い心の一面として。
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