劇場公開日 2022年3月11日

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「アンネから現代の若者へ。」アンネ・フランクと旅する日記 はるたろうさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0アンネから現代の若者へ。

2022年3月12日
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鑑賞方法:映画館

アンネ・フランクが生み出した空想上の友達キティーが日記から飛び出し戦時下のアンネと現代を繋ぎます。美しく繊細なアニメーションと音楽は必見です。

12年間で600万人。その内子供は150万人と言われるホロコーストの犠牲者。「東へ連れて行かれたら二度と戻らない」と言う噂を聞き恐怖の中で過ごした2年間に及ぶ隠れ家での暮らし。息を潜めて生活する中でキティーは唯一本音を打ち明けられる大切な友達。現代の思春期の若者と何ら変わらないごく普通の少女がユダヤ系というだけで迫害され、やがて劣悪な環境の収容所で命を落としてしまう。15才9ヵ月。

なぜユダヤ人は迫害されたのか。なぜ隠れなければならなかったのか。最期と悟って見た車窓からの景色は15才のアンネの瞳にどう映ったのか。キティーと共にその軌跡を追いながら胸に刻みます。アンネにしか見えないはずのキティーが現代では一人の少女として存在するという構成が巧みで素晴らしかった。

これからも日記と共に生き続けるアンネ・フランクとキティー。そして600万の命。それは言うなれば600万冊の日記。その1つ1つに物語があるということを忘れてはならない。若い世代にこそ観てほしい1本。

はるたろう