「このまま続けば傑作を駄作にしてしまう可能性」映画 オッドタクシー イン・ザ・ウッズ kei sasadukaさんの映画レビュー(感想・評価)
このまま続けば傑作を駄作にしてしまう可能性
アニメ本編に感動して未だに何度も見返しているファンです。
大好きな作品の映画化と聞いてとても楽しみにしていたからこそ鑑賞後の正直な感想を書かせていただきます。
まず、数か月の短い期間(しかもコロナ禍)で作られたと思えない綺麗な作画、本編と同じキャストとスタッフの新たなオッドタクシーの世界をスクリーンの大画面で見ることができて良かったです。鑑賞した回は満席で、オッドタクシーの人気を目で確認できたのも嬉しかったです。
ただ、当然と言えば当然ですがほとんどが既存のシーンなのですでに内容を知っている人にとっては少々退屈。(隣からは寝息が笑。)
そんな人にとっては追加シーンが注目点だったと思うのですが、正直期待していた程の目新しさはなく。。。
何より後日談とエンドロール後に関しては鑑賞前に懸念していた通り蛇足でガッカリしてしまいました。
オッドタクシーを好んでいる人はあのシビアで毒のある世界観を肯定してると思うし、もともと21年春アニメのダークホースと言われていたのですから、ここに来て大衆向けを意識してハッピーエンドにする必要はなかったと思います。
総評としては本編は何度でも見たいけどこの映画は一回見ればお腹いっぱい、です。
上記の通り新規シーンも蛇足と思ってしまったので、あれだけすきだったのに作品自体に対する熱もなんとなく冷めてしまいました笑。
実写での続編を匂わせるラストでしたが見ないだろうな。。。
この映画で、やはりオッドタクシーは本編で完結していたことを再認識できたので、変にスピンオフとか続編を作ったりファン層を広げようとして価値を下げるよりも、この製作陣による新しい作品を見て見たいです。
***追記***
ネットのレビューを見ていると同じ感想を持った人が多くて安心した。
今の時代は公開後に正直な感想がネットで誰でも見られるのだからどうせやるなら姑息なことをせず時間を掛けて初見も既存ファンも楽しめる物を作ってほしかった。
パンフレットや舞台挨拶の様子を読んでいると、制作側の作品への愛よりも「金になるコンテンツだとわかったから終わらせたくない」という思いがにじみ出ている。
初週の動員数が重要だからと特典で釣って無理矢理動員数を稼ごうとしているんですよね。公開前からそれは感じていましたが、映画自体が良ければ何も言うつもりはありませんでした。
樺沢のツイッターを本編放送のはるか前から仕込む程に時間を掛けてこだわった伏線を張っていたことを考えると、話題になったことでここまで変わってしまうのかと残念でならない。
オッドタクシーが「金になる」のは事実ですがそれは本編が完璧だったからです。稼げるからという理由でこんなことを続けていれば本編の傑作の印象すら落としてしまう。
少なくとも自分は制作陣の手によって好きな作品を汚されてしまったと思っている。心底残念だ。