「トルコの野良犬」ストレイ 犬が見た世界 odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
トルコの野良犬
イスタンブールに暮らす野良犬を追ったドキュメンタリー映画、2016年にはイスタンブールに暮らす野良猫を描いた「Kedi」というトルコのドキュメンタリー映画がありアメリカでも好評だったようだ、それに触発されたのだろうか香港生まれの中国系アメリカ人エリザベス・ロー監督が2017年にトルコを旅した時出会った野良犬ゼイティンに魅かれて半年間犬の目線で描いたドキュメンタリー。
ゼイティンは推定2歳のラブラドールの雑種の雌犬、野良にしては温厚で品格もありましたね。町の皆に可愛がられて名前で呼ばれていましたが、公園の中国系の少女だけは「傍に来ないで、あっちへ行って」と邪険でした、エリザベス監督の母国への皮肉っぽいメッセージなんでしょうかね。
イスタンブールには迫害を禁じた動物愛護法があり何千匹の野良猫や10万頭を超える野良犬がいるという、活動範囲も広く傍を横切る自動車や路面電車にも物おじしない自由気ままな徘徊ぶりが印象的。撮影はペット用のGPSを犬につけ毎日所在を追って行われたそうだが大変だったでしょうね。
普通、この手のドキュメンタリーはナレーション解説やインタビューがつきものですがそれは無く、唯一、犬儒派(キュニコス派)と呼ばれたギリシャの哲学者ディオゲネス の犬に関する名言を所々にはさんでいました。音楽もチェロのクラシカルな響き、驚いたのはエンディングで遠くから聞こえるイスラム教の礼拝の声に合わせてゼイティンが遠吠えをしていました。
只管、野良犬を追うのですが、岩合さんの「世界猫歩き」も良く見ているので違和感なく退屈もせず鑑賞、ただ、イスタンブールにはシリアの難民も多く犬と一緒に路上生活をする少年も出てきましたし胸が痛むシーンも無い訳では無いので犬好きだからと言ってお勧めは微妙です。