ストレイ 犬が見た世界 劇場公開日:2022年3月18日
解説 殺処分ゼロの国トルコを舞台に、路上で生きる犬たちの視点から世界を捉えたドキュメンタリー。動物愛護に関する国民の意識が非常に高く、安楽死や野良犬の捕獲も違法とされているトルコ。イスタンブールでは犬たちが自由に街を歩き、人間との共存社会を築いている。自立心が強くいつも単独行動をしている犬ゼイティン、フレンドリーで街の人々に挨拶を欠かさない犬ナザール、そしてシリア難民に寄り添う子犬カルタル。2017年にトルコを旅した際に、主人公となる犬ゼイティンと出会ったエリザベス・ロー監督が、半年間にわたり犬たちに密着。犬の目線と同じローアングルで撮影し、彼らの視点を通して、人間社会が持つ様々な問題と愛に満ちた世界を映し出す。
2020年製作/72分/PG12/アメリカ 原題:Stray 配給:トランスフォーマー
オフィシャルサイト スタッフ・キャスト 全てのスタッフ・キャストを見る
このドキュメンタリーを見ながら、イスタンブールを旅した時の記憶が蘇ってきた。路線バスから望んだ景色には必ずと言っていいほど野良犬が写り込んでいたし、この映画の舞台の一つと思しき旧市街では、可愛らしく尾を振る犬とも、それから舌をだらりと垂らした危なっかしそうな犬とも何度となくすれ違った。あの犬たちが誰からも束縛されずに生きていけるのには理由があったことを、今になって初めて知った。本作は紀元前の偉人が遺した犬にまつわる箴言をところどころに配しながら、あくまで犬の目線でイスタンブールの町を見つめる。どうやらこの社会で犬は特別な存在のようで、自分の飼い犬でもないのに餌を与える大人たちがいれば、野良犬に自らの状況を重ね合わせるかのように慈しむ親のいない子供たちもいる。中には子供だけで廃墟に寝泊りし、シンナー中毒で表情が虚ろになった子も。犬と子供。二つのストレイ。この街が持つ側面を垣間見た思いがした。
2022年3月11日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会
トルコの野犬に密着し、犬目線カメラで移動撮影したドキュメンタリー。「犬に密着って、それで映画として成立すんのか?」って疑問を持ちながら見ていました。しばらくは、ストーリーは特になくて、犬を追ってるだけなんだけど、これが不思議と全然飽きないんですよね。私は、犬を飼ってるわけでも、犬好きでもないのに。なぜか飽きない。 途中から、人間の登場人物も少しずつ出てきて、ドラマらしき展開も混じります。それから、犬にカメラ装着したPOD(Point of Dog)映像も登場します。だけどこれは、「白いトリュフの宿る森」の方が秀逸でした。そして、終盤の遠吠えシークエンスにはグッときましたね。あと、スタジオが、その名も「Dogwoof」なんですね。ロンドンのドキュメンタリー専門スタジオ。感心&納得。
2023年1月24日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
ー 今作品では、随所でトルコ出身の古代ギリシアの犬儒派であった、ディオゲネスの言葉がテロップで流れる。 この、究極のミニマリストであり、犬の様に放浪の人生を送った哲学者の言葉と、映し出される現代トルコの風景の絶妙なシンクロ具合が佳き映画である。- ◆感想 ・冒頭に語られるが、20世紀初めに野良犬を大虐殺した事を反省した、トルコ政府は自らの国を殺処分0にするための、政策を取って来たという。 成程、イスタンブールの街中で多数の野良犬が人間と共存している。 ・面白いのは、野良犬たちにキチンとした、名前が付いていることである。 ゼイティン、ナザール、子犬のカルタル、ジル・・。 ・この映画では犬目線で、現代トルコで起こっている諸問題も描かれている。 1.シリアのアレッポから逃げて来た難民達 彼らを追い払う、トルコ市警の人々の姿もキチンと描かれている。 2.女性達の人権デモ 3.チェチェンから逃げてきて、別の仕事に就いている人々 4.旦那の愚痴を言う奥さん達・・(諸問題じゃないな・・。) <私の住む街で、野良犬を見かけなくなって、久しい。それはペットを勝手に捨てる人たちが居なくなったのかもしれないし、様々な映画で描かれているように、行政が通報により野良犬を一定期間留置し、期限が来た犬を殺処分しているからかもしれない。 出来れば、ペットを飼っている人たちの意識が向上した結果だと思いたいが・・。 今作は、構成を含めて面白く且つイロイロと考えさせられながら鑑賞した作品である。>
2022年12月11日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
犬を追い続けるドキュメンタリーというのは興味深かった。 大都会で多数の野犬がうろついている様子は現在の日本では観られない光景。 トルコは犬にとって比較的生きやすい国なのか。 PG12指定なので、残虐なシーンがあるのかと思って心配したが、そんなこともなく安心した。 犬が交尾をするシーンがあるからかな。