劇場公開日 2023年1月13日

  • 予告編を見る

「トランペッター魂」モリコーネ 映画が恋した音楽家 カールⅢ世さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5トランペッター魂

2023年2月2日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

幸せ

エンリオ・モリコーネを初めて意識したのは、モニカ・ベルッチのマレーナの少年が踊る場面の曲でした。
アカデミー作曲賞にノミネートは何回もされるも、オスカーは晩年までお預け。何度ももらっているもんだとばかり思っていました。懐の深い天才はその無尽蔵の才能を見込まれ、みんなに吸われるだけ吸われて、後回しにされてしまったのかも。
映画の日でもあり、TOHOシネマズ新宿はぎっちり満員でした。
トランペッターの父親に無理くりやらされた幼少期から始まるモリコーネの音楽史。
病気の父親に代わって務めたステージ。父親が晩年現役を退いたときには、気を遣って、サントラにトランペットのパートは封印。亡くなったあとに再開。なんて優しいんでしょう。
奥さんのマリアさんへの感謝も忘れない。頭が下がります。
RCAの編曲担当から始まった映画音楽。映画音楽は低俗なものと扱われ、長く師匠に蔑まれまれた悔しさが滲む。編曲に革命をもたらした独自の理論。その後、大衆音楽に及ぼしたインパクトは大きかった。
鍵盤を見るだけで楽譜を書きあげていてしまうすごい頭脳。科学者になっていたらノーベル賞もらっていたかも。おいらと同じなのは部屋が散らかっていることだけ。
バンドの花形であるトランペッター魂がマカロニウェスタンではいいほうに影響したに違いない。
記憶に残る名場面の印象的な音作り。ロックギタリストがカッコいいリフを弾きたいと思うのとおんなじじゃないのよなんて思ったら、終盤、モリコーネの音楽がロックミュージックへも連綿と受け継がれる展開に感激。

カールⅢ世