劇場公開日 2023年1月13日

「個人的なベストは『続・夕陽のガンマン』」モリコーネ 映画が恋した音楽家 清藤秀人さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0個人的なベストは『続・夕陽のガンマン』

2023年1月19日
PCから投稿

楽しい

映像に添えた音楽は実に500曲。映画音楽の父と呼んで差し支えないエンニオ・モリコーネの生い立ちから創作活動までを紐解く人物ドキュメンタリーは、世代を超えて、映画マニアたちの個人史を辿る時間でもある。

数々のマカロニウエスタン、『ニューシネマ・パラダイス』、『アンタッチャブル』あたりがすぐ思い浮かぶが、やっとオスカーを手にした『ヘイトフル・エイト』は代表作と呼ぶのに少し抵抗がある。アカデミー賞の気まぐれをもろに被った巨匠の1人が、モリコーネだったと思う。

個人的な好みを言わせていただければ、独特のギターのリフと口笛とコヨーテの鳴き声をフィーチャーした『続・夕陽のガンマン』と、イタリアン・ツイストを炸裂させた『太陽の下の18歳』がベストワークかと。その攻めっぷりにこそ、モリコーネ音楽の真髄を感じるから。このドキュメンタリーを機会に、モリコーネとイタリア映画の1960年代にトリップしてみてはいかがだろうか。

清藤秀人