劇場公開日 2023年1月13日

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「200年後にまで語り継がれるであろう世界最高の"やめるやめる詐欺"?!」モリコーネ 映画が恋した音楽家 とぽとぽさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0200年後にまで語り継がれるであろう世界最高の"やめるやめる詐欺"?!

2022年12月23日
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マカロニ・ウエスタンに代表される西部劇の顔役で、映画音楽を確立した立役者で功労者。そして何より映画音楽20世紀を代表する偉大なる現代音楽としての地位にまで高め、確立した尽力者は、誰よりも場面やキャラクターを、そして映画の根底・核心を把握する能力に長けていたのだと実感する2時間半。いつも監督の意見や想像を超えてくる。
絶対音楽からその音楽人生をスタートさせながら、映画音楽を生業にしていく中で、そうしたかつての仲間・同業者からは蔑まされてきたわけで、そして何より自分自身がそのことに長年折り合いを付けられてこなかった証明。もうやめるとは言わない。実験音楽も好み、そうした部分が、思いもよらない音楽的組み合わせなどを実現する手助けになった。よく取り逃しを叫ばれるアカデミー賞だけど、彼も6度目のオスカーノミネートにしてやっとの受賞。遅すぎる。だけどこうして見てみると、やっぱり全てつながっているのだな、と。受賞作品は言わずもがな彼を敬愛するタランティーノの『ヘイトフル・エイト』で、モリコーネなりの西部劇へのリベンジ。
彼の影響は今日において益々力を増すばかりだ。若者が新しく見つけては、ポップカルチャーの隅々にまで浸透しているし、今後もそれは続いていくだろうと確信できるような画期的・普遍的発明の数々に高揚し、時に涙し、そして震える。本作を見て彼の音楽を聴き直し、彼の務めた映画をまた見直したくなった。

P.S. GAGAがただの配給じゃなくガッツリ製作に絡んでそうで少し感心した

とぽとぽ