「田中圭は狂わせれば狂わせるほど良い!能動的に見届けよ!」女子高生に殺されたい わたろーさんの映画レビュー(感想・評価)
田中圭は狂わせれば狂わせるほど良い!能動的に見届けよ!
これは面白い。今年「さがす」に続いてラストシーンまで能動的に興奮しながら観ることができた映画。
原作は読んでないので、最終的にはロリコン変態野郎の妄想劇になるのかと思っていたら、意外や意外。性愛ではなく死生観をしっかりと語ってくる映画だった。
主人公は内面描写をモノローグ中心にして、その他のキャラクターはちゃんと演技で魅せるという棲み分けが非常に効いているなと思った。主人公がいかに計画立てて行っているかを分からせるためにはモノローグは絶対に必要だった。これは逃げのモノローグではない。逆に女性5人はちゃんと演技でセリフにおこさない努力をしているということが伝わってきた。人格うんぬんは説明が必要ですからね。
とにかく脚本がよく練られているし、モチーフとして出てくる胎児の描写や風景描写も良かった。後出しジャンケンになってない、必然に思わせられる伏線も素晴らしい。
主人公に決定的に物事を起こすキャラクターが背負っているものによって、やや主人公の病的と言っていい死生観が弱まるというか、そうでないとその死生観が生まれなかったのかと言う点だけは気になった。
田中圭は狂わせれば狂わせるほどいい役者になる。それでいて最後は…というキャラクターも実に田中圭に合っている。
南沙良は本当にとんでもねえ女優だと思った。初めて声質を落とした瞬間は痺れた。やらしいアングルでの撮り方はピンク映画畑の監督の手腕だと思うけど、肌の露出が少なくともそれに耐えうる透明感は南沙良らしい。ドラゴン桜のカップリングも尊かったです。
河合優実もさすが。スカートの丈の長さを他のキャラクターと変えている演出もグッド。
以前AKB48のメンバー時「悪の教典」を『私は嫌いな映画です』と言ってのけた大島優子がこういう映画でしっかり脇を固めてるのも尊い。
莉子と茅島みずきはこれからまだまだ。でも「青くて痛くて脆い」の時に比べたらびっくりするほど良くなってましたよ。
もっとグロくてしんどい映画かなと思ってたけど、予想以上に丁寧でサスペンスとしてもヒューマン系としても成功している稀有な邦画じゃないでしょうか。タイトルで嫌煙する人もいるかもしれないけど、万人におすすめできる作品です。