「見事なシナリオ」追想ジャーニー 雫倉紗凡さんの映画レビュー(感想・評価)
見事なシナリオ
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擦り切れた高校生・文也が「アラフィフになった自分」との関わりを通して成長する話……でもあるのですが、真の主題はアラフィフの成長譚。徐々におじさん文也の言動から違和感が漂い始め、終盤で物語全体の方向性が反転する様は圧巻でした。変わることから逃げていたのは、大人の文也の方だったのですね。
「人生はいつからでも変えられる」というテーマの創作物は巷に多く溢れているものの、巧みなシナリオのおかげで、他にないほど強烈な形でメッセージが伝わってきました。ラストシーンの母親のセリフがとても素敵です。
世界観の設定は結構雑なので、「よく作られた」映画を期待して鑑賞すると序盤は肩透かしを食らうかもしれません。とはいえ、総合的な印象としては、説明は最低限で済ませメインのヒューマンドラマに尺を割いたのは、とても良い判断だったように思います。
多くの人に見られてほしい良作でした。
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