生きる LIVINGのレビュー・感想・評価
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黒澤明の偉大さ
黒澤明の「生きる」をある意味で忠実に再映画化。
ただし、ユーモアとハラハラドキドキはなくなっている。(告知のシーンが一番笑えたし、ヤクザにも脅されるし、そして何より暇がない、暇がない、私には人を憎んでいる暇はない、志村喬の鬼気迫る名演が、、)
1952年製作の日本映画を1953年の英国を舞台に置き換えて再映画化する意味はあったのか。
(ポリコレ気にしなくていいからかな)
黒澤明はストーリーだけでなく見せ方も上手い。
シリアスな題材でも娯楽作品に仕上げてしまう。
本当に偉大だったんだな、と改めて思いました。
今作も悪くはないけど、真面目すぎて。
今作を観て感動した人も、いまいちだった人も、ぜひオリジナルを。黒澤の「生きる」を観ずに死ぬなんてもったいないですよ。
人生とは?他人のために生きる。80点
この映画はとても感動的でした。人の寿命が短くなると、他人のために頑張るようになるのかと思いを巡らせました。
また、自分の身内に対して自分の寿命が短くなったことを伝えるのは難しいかもしれませんね。同じく、職場の同僚に対しても、自分が死について考えていることを打ち明けるのは難しいかもしれません。
人間ドラマが薄く期待外れ
黒澤作品見ずに行きました。
何故、主人公は、やる気を出したのか?
主人公は家族に厄介がられているお爺さんなのか?
なのに、息子は嘆いているのか?
主人公も他の人物も感情変化のきっかけが分からないので、見てるこちらも感情を揺さぶられないまま、しらーっと終わってしまいました。
特に前半はとつとつとし過ぎていて、かなり辛抱させられました。
どうやら黒澤作品とほぼ同じだが、最後にお通夜で参列者が主人公は何をしていたか語り合い、喧々諤々やり合うという場面がなくなっているらしいので、そのため主人公の感情変化の種明かし的な部分がなくなってしまったのかもしれない。
感動を期待してハンカチまで用意していたので残念。
ビル・ナイの歌が沁みました
リメイク元の黒澤監督に「生きる」は未見ですがレビューを見聞きしておりました。こちらもある意味関連するテーマ(人生の最後のフェーズ)というとても味わいがありました。レビューでもありましたが脚本(カズオ・イシグロ)がとてもよかったです
元作を今だ観ていないので、迷う作品だ。
正直に告白すると私は映画好きなのに、元作を未だ鑑賞していない。映画好きだと公言するのがちょっと恥ずかしい。但し、映画のストリーやこの映画で有名になった「ゴンドラの歌」などそれなりの知識は持っている。
実はリメイクされると聞き、それまでには元作を観るつもりでいたが、職業訓練校の実習や就職活動もあって鑑賞することが出来なかった。
さて、リメイク作品はほぼ元作の通りだ。舞台が東京からロンドンに変わってる。白黒映画がカラーとなった。元作はまだ戦争の跡を引きずっているが、リメイクではそれがない。やっぱり戦勝国は違うなと感じた。脚本はノーベル賞作家のイシグロ ケントが書いた。悪くはない。但し、強い感動を私にもたらせてはくれなかった。やはり、元作をみないと思うばかりだ。勿論、映画料金に見合う作品なので観ておいて損はない。元作とリメイクを見比べて楽しみたい。なんと言っても黒澤明監督の作品だ。
主演俳優がもうちょっと若ければ・・
ビル・ナイさんが「現職」と言うよりも「引退したおじいちゃん」にしか見えなかったもので、そんなに元気出して自暴自棄にならなくても・・・なんて感じで、映画に入り込むまでは違和感でした。
歌のシーンは良かったです。
脚本のキレがいい!
冒頭から1950年代の古きロンドンのノスタルジックな世界観に引き込まれた。
洋の東西問わぬ男社会の事なかれ主義。書類の山が今ではオンライン化されて可視化されていないだけなのかなあとも思った。そして21世紀の今だってきっと、本気でスピーディーに確実に仕事を成そうと思ったら、やっぱりリアルに目を見て息遣いを感じての交渉がマストだよね!と再認識させられた。
無駄のない、キレのいい脚本のおかげで、集中して鑑賞でき、登場人物たちそれぞれの立場全てに感情移入できた。
残された時間を突きつけられた時、「何に」コミットするかは最重要ではない、例え小さな達成事例でも、その記憶は残された人たちに確実に伝承され、影響を与える。最後は涙なしに見られなかった。
声かけをせずに人知れず悩みを抱えていた若い巡査さんのカタルシスに立ち会えて良かった。若いカップルの誕生も微笑ましく、後味が良かった。
(以下邪推):ところで、男性が息を引き取ったブランコって、いわゆる事故物件なのだろうか。その後も気にせずに皆んな乗り続けたのかな?
死ぬ前に生きる
原作にあたる、黒澤明監督の「生きる」は未鑑賞。しかしながら、冒頭の哀愁漂うフィルムの映像に心が揺さぶられ、原作を物凄くリスペクトして作られたんだなってのが、すぐに分かりました。映画館で見てよかった〜...。
ストーリーはかなり簡素な作りで、正直物足りない。ビル・ナイが紳士過ぎるがあまり、死を宣告される前と後とで違いがそこまでないのが、残念なところ。これに関しては、恐らくオリジナルの方が優れているんじゃないかな。やはり原作は日本映画ということもあって、物語は日本が舞台の方がしっくりくる感じ。街並みとフィルムの美しさは1級品なんだけどね。
優しく、そっと寄り添ってくれる、そんな映画。
生きることとは?幸せとは?死を目前してようやく考え始めた主人公の男。残りわずかの人生を、生きらずには死ねない。そんな言葉が胸に刺さる。酒に溺れたり、新しい帽子を買ったり。人生って、こんなに面白かったのか、自由で楽しかったのか。この年齢になって気づくのはなんとも悲しいが、生きることを見直した彼は、間違いなく幸せに死ねたであろう。そう考えると、人生のお手本のような存在なのかも。
ストーリーはシンプルだが、とても丁寧で、特にメインとなる3人はすごく愛おしく描かれている。原作をリスペクトして、という理由だけでなく、この映画はフィルムがめちゃくちゃ合う。なんなら、フィルムじゃないと成立しないまである。音楽だって、街並みだって、聞き、見惚れてしまう。新作映画なのに、名画のような安心感。若者にはキツイかもだけど、歳を重ねる度に良さが分かってきそう。
黒澤明作品を見てみようかなと思えた、素晴らしいリメイク作品。主演男優賞ノミネートも納得の演技力。もっと秀逸で見応えのあるストーリーに出来た気はするけど、何も身構えずに見れる映画です。ぜひとも、劇場で。
“動”の黒澤と“静”の小津
黒澤明のオリジナルをご覧になったことがある方にはあまりおすすめできない。カズオイシグロが担当したというシナリオも、オリジナルをほとんど踏襲した焼き直しであり、ノーベル受賞作家らしい脚色がほとんど見当たらなかったからだ。そのイシグロが過去に書いた小説も、どちかというと黒澤明というよりも小津安二郎作品からのエコーを強く感じられるものが多く、黒澤明×カズオイシグロのコラボレーションと聞いた時一瞬よぎった杞憂が見事に的中してしまった1本なのである。
オリジナルで志村喬が演じた主人公の市民課課長役を、もしも小津組の常連笠智衆が演じたらどうだっただろう。そんなイシグロの想像を元に書かれたシナリオだったという。よってその笠智衆に雰囲気がどこか似ているビル・ナイの抜てきと相成ったらしいのだが、他は顔を見たこともない無名俳優ばかり。肝心要の監督も南アフリカ人の門外漢が担当している。要するに、黒澤明+カズオイシグロ+ビル・ナイという大御所の権威に寄りかかっただけの作品であり、忖度のあまり誰一人として作家性を出すことが憚られた映画なのである。
オリジナルで官僚主義にこり固まった市役所職員たちを演じた、中村伸郎、藤原釜足、千秋実、左卜全等々のアクの強さがまったく感じられない、気のぬけたギネスビールのような英国人俳優の面々も、本作を凡作に留めてしまったA級戦犯である。余命6ヶ月を自分のために生きた主人公と、それが理解できない職員との対比が故人の葬式で明らかにされていくオリジナルの見事な演出に対し、ビル・ナイ演じるウィリアムズが一体何のために余命を捧げたのか漠然とし過ぎていてはっきりと観客に伝わらないのである。
余命を医者に告げられ市役所を無断欠勤、生きがいを探しだしたウィリアムズの「小さい頃は紳士になりたかった」という台詞の中に、本作唯一のオリジナリティを感じることができるだろうか。オスカー・ワイルドが「知らず知らずのうちに人を傷つけることがない人物それが紳士である」という名言を残している。しかし、公園作りに尽力したウィリアムズの手紙に書き残した“小さな満足”とその“紳士”性とが、私の中でいまいちしっくり結びつかなかったのである。
市役所を辞めたがっていたマーガレットが、内心ウィリアムズの何気ない一言で大変傷ついていて、改心したウィリアムズがそのマーガレットの将来を心配し奔走する(小津作品の中の笠智衆と原節子のような)シークエンスをもっと濃密に描くべきだった気がするのである。いずれにしても、“動”の黒澤作品に“静”の小津的演出を盛り込もうとしたこと事態がナンセンスといわざるを得ない。そして、これから死にそうな人に見えないほど、(意外にも)ビル・ナイの歌声にハリがあったのはなぜだろうか?
自分の人生を生きることの難しさは洋の東西を問いません
死が近いことを自覚した公務員である主人公が、残りの人生の中で「生きる」話。黒澤明監督の作品が原作ですね。淡々と進んでいきますので、幕構成がはっきりしている作品が好みの場合はお気に召さなかいかもしれません。いわゆる見せ場があるわけではないですが、『観てよかった、しっかりと自分の人生を生きよう。』と思わせてくれる作品です。
なんとなく人生がくすぶっている人におススメです。
生きる、とは?
ビル・ナイが慎ましくてとまどうがステキである。
(お見かけする役はたいがいクセが強いため)
いきなり本題だけど、生きるって必ずしも大きなことを目標にしたり、成し遂げなきゃいけないわけではないよな。結果自分が満足できればいいはず。
ただ社会や家族の中の一員として、ルーティンがあるのならそれが一番楽なのもわかる…
楽すぎて生きてない、ミスターゾンビ。
ルーティンを打開しようとして転職するけど、怒られてばっかりの彼女。
大仕事をしているわけではないし苦難の道でなくても、自分が満足する人生に振り切るのはなんだかとても難しい、と思う。
スモーキーな画面とアナログなクレジットのフォントがすてき。
フォートナム&メイソンのパフェと、嫁のシェパーズパイが気になる。羊みたいなうさぎのぬいぐるみもいいな。
生きることの意味
ずいぶん昔に見た黒澤版のまんまだったなーrとという感想。
そしてそれはとても良かったという意味。
そしてやっぱり生きるについて考えさせられる。
私もゾンビになっていっているのではないだろうか。
元の生きるを含めて全世代に見て欲しい映画
今の時代、死期を知る事は悪くないのかも
今や健康に生きて命をまっとうする事は難しい世の中なのでしょうか
寿命は延びていますが、その最後はどんなものなのだろうか
この彼、死を知ってから生を生き始めやるだけやって命をまっとうしたように思います
ある意味、幸せな生き方であり死に方だったでしょうね
けっして自宅の布団の上で死ぬ事が幸せな死に方ではないようです
私も山で最後を遂げられたらそれはそれで良い死に方かも
家族が大変な迷惑を被ると思うのでやめときますけどね
『PLAN75』と『ロストケア』を見た時に頭の中がぐしゃぐしゃになり生き続けることに魅力も気力も失いかけてきた時にこの作品を見る事が出来てとてもラッキーでした
死を嘆く作品ではなく生きることへのエールのような作品なのだと受け止めました
この市民課になぜ?若者が二人いるのかも大きな意味があるのでしょうね
若い頃には分からなかった黒澤映画もほんの少し理解できてきているのかな
時代を超えて残っていく様な素晴らしい映画だった。この映画の原作が日本映画というのも誇らしい。大きく感動させられた
オリバー・ハーマナス 監督による2022年製作(103分)のイギリス映画。
原題:Living、配給:東宝
黒澤明監督作は、残念ながら未視聴。
物語の語り口がとても素晴らしくて、随分と感動してしまった。
この原作が、黒澤明 、橋本忍 、小国英雄共同脚本というのも、嬉しいところ。調べてみると、物語の半ばで公務員の主人公の葬式が登場し彼の情熱的な行動を思い出すという展開、更に彼の死後も役所的仕事は変わらなかったとのオチも、原作と同様であった様だ。
役所の市民課課長を演じたビル・ナイも、無気力で部下にゾンビと言われた無気力な姿と、余命を知ってからの他部署と粘り強く交渉する理想的公務員を演じ分けて、凄く良かった。
部下課員で転職したエイミー・ルー・ウッドも、初々しくて主人公が元気を貰う若い女性をナチュラルに演じていて、好感を覚えた。
妻に操縦されて冷たい対応も本質的には父親思いの長男の設定などは原作とは異なるらしく、ノーベル賞作家カズオ・イシグロの脚本も、心に染みた。そしてやはり最後、公園で雪の中、故郷の歌を唄いながらブランコを漕いでいたという主人公のエピソードと映像、それを公園で聞かされるのが市民課の新入りだったアレックス・シャープという構成が、志しの引き継ぎの希望も見えて、とても胸を打った。
時代を超えて残っていく様な素晴らしい映画だ。こういうリメイクなら大歓迎。黒澤作品も是非とも見てみたい。
監督オリバー・ハーマナス、製作スティーブン・ウーリー、 エリザベス・カールセン、製作総指揮ノーマン・メリー 、ピーター・ハンプデン、 ショーン・ウィーラン 、トーステン・シューマッハー、 エマ・バーコフスキー、 オリー・マッデン、 ダニエル・バトセック、 カズオ・イシグロ 、ニック・パウエル。原作黒澤明 、橋本忍 、小国英雄。脚本カズオ・イシグロ、撮影ジェイミー・D・ラムジー、美術ヘレン・スコット、衣装サンディ・パウエル、編集クリス・ワイアット、音楽エミリー・レビネイズ=ファルーシュ。
出演
ビル・ナイウィリアムズ、エイミー・ルー・ウッドマーガレット、アレックス・シャープピーター、トム・バークサザーランドトム・バーク。
心に澄み渡り、響く演技
彼のあだ名はミスター○○○。
余命数ヶ月の宣告を受けたミスター○○○の
彼がとる次から次への不可思議行動の答えは?
突然の無断欠勤
逃避行と言える行動
彼女だけに打ち明ける秘密の話
土砂降りの雨の中で何かを見つめる
などなど
雪降る公園でブランコに揺れ
思い出の歌を口ずさむ演技が
素晴らしい
そして全ての答えは“生きる”だった?
悲しくて美しくて幸せな気持ちになれる映画
悲しいんだけど幸せな気持ちになれる映画です。1950年代のロンドン、青と灰色の街並み、重厚なビルディング、雨に煙る公園、濃紺のスーツ姿の男たち、なんか美しいなあ。
初めて一人で観た映画が黒沢明の「生きる」(高校生のとき、世界のクロサワの映画をやってるって知り意気込んで観に行きました。2本立ての最初の一本目だったなあ)。そして最後に観た映画がこの「生きる LIVING 」(これはすぐに書き換えられるけどね)。
僕にとってメモリアルで悲しくて美しくて幸せな気持ちになれる映画です。
※※※映画を観た翌朝(つまり今)この映画の余韻に浸ってます。高校生のときに観た「生きる」も思い出しつつ。「ゴンドラの歌」と「ナナカマドの木」(スコットランド民謡)を比べたり。お巡りさんとピーターとのやりとりやら、マーガレットとピーターとの心暖まる話もある。原作を壊すことなく、でもオリジナリティもあって。さすがカズオ・イシグロ(僕の大好きな作家です)。それでプラス0.5です。4.5だね。
ナナカマドの木
やっぱり時代背景を合わせたのは良かった。
黒澤版は忘れてしまってるが納得できるリメイクだった。
ただゴンドラの歌とナナカマドの木では彼の心に去来するものが違ってそう。どっちもいいんだけど。
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