生きる LIVINGのレビュー・感想・評価
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美しい芸術作品。THE.映画
昨年末に映画館で予告編を見て、これは絶対観ようと決めていた作品でした。
鑑賞中は特別に印象的なシーンとか、ココが凄いってポイントがあったわけでもなかったはずなんですが…鑑賞後、思い返してみると全体を通して非常に丁寧で綺麗な作品だったと感じました。重厚感とでもいいますか、今まで観てきた映画とは質が違いました。
美しい音楽、セリフの無いシーンの数々、無音・沈黙の間が絶妙な描写。
色々なジャンルの映画を適当に観ている私ですが、こういった作品に出合ったのは初めてかもしれません。特別な映像技術やセットを使わず、こんな美しい作品が作れるのかと感動や衝撃が後からやってきました。
感情と決意の一瞬
Living
将来の夢は駅に並び仕事に向かう紳士だ。
たとえ忘れてしまっても、忘れられてしまっても幸せ
職場の人たちの一瞬の団結も、抱いていた尊敬の気持ちも嘘ではない
息子夫婦にも、市井の人々にも、それぞれの生活がある。その言葉が重い。その中で、ブランコのように一瞬だけ重なり交差する
死ぬまでに何を成し遂げられるだろう。
表現の本質的な面白さ
作品としての個性は感じないけど良作だとは思います
日本が誇る巨匠 黒澤明監督作品のリメイク
オリジナルと比べ、時間が短め、映像がカラー、舞台がイギリスなので格調高いファッションセンスを感じる
モノクロでじめじめした昔の日本が舞台のオリジナル作品よりは一般的にはとっつき易いのではないでしょうか
主人公の役場の課長ウィリアムズを演じるのはイギリスの名優ビル・ナイさん、本作で惜しくも受賞は逃しましたが、2023年オスカーの Best Actor (主演男優賞)にノミネートされています
仕事一本木の堅物な役人が余命宣告を受け、自身とこれまでの人生を見つめ直し、最後に人のために善行を尽くす、というとても難しい役を静かに力強く演じます
オリジナルを何度か観ていて、それと大筋同じですが、本作も含め やはり何度観てもじんわり心に染み渡る作品でした
自分の死
知ってしまうと彼の様な行動を取る様な気がします。まずは誰も知っている人がいない所に行って、自分を見つめ直すか、自暴自棄になるか、落ち着けば身辺整理ですね。部下達はせっかくの気づきがあったのに、結局は元の木阿弥ですね。
人生の終焉
縦割り行政でもやれば出来る
原作のほうは知らなかったのですが、良さそうだったので見てみました。
人生の最後にやる気を取り戻して1つのことをやり遂げる姿は良かったんですが、
何も無断欠勤しなくてもいいのに、とそこだけ残念でした。よく1か月以上無断欠勤した人をまだ課長のままで居させるな〜と、民間の会社でなく官の役所ですが、組織として2、3日程度はともかく、デスク確保したままってちょっと現実味がなくてそれは残念でした。
あと列車の中で「課長の遺志を継ごう!」と新課長は宣言したのにやっぱり教育課との陳情書のたらい回し、そしてとりあえず預かるだけで何もしないパターンになってたし。。まぁ、結局はそうそうすぐには組織の体質って変えられないのかもしれませんが。
課長は最後にやる気を出してくれましたが、毎回余命宣告受けるくらいの重大事項が発生した時だけしか、公園ひとつ整備するのも誰かの命と引き換えにしなきゃ出来ないのか。。?と、どの国も縦割り行政なんだな、と思い。
ともあれ、何も考えずに同じことの繰り返しをしてゾンビのように生きるのではなく、
生きている実感と情熱を持って生きていかなきゃ、と思いました。
あと街の噂ってこわいな〜〜と思いました。
息子さんに余命宣告のこと話せないままだったようですが、ミスハリスさん、「息子には息子の人生があるから言い出せない」と課長が言っていたこと、息子さんが尋ねてきたんだからそこは教えてあげたほうが良かったのにな、とは思いました。
せめて後からでも理由が知りたいと思う息子さんの苦悩が、凄くよく分かりました。
懐古趣味だけの映画にあらず
映画の冒頭でまず驚きましたのが、この映画は近年、私達が映画館で見慣れた横長の画面ではなく、スタンダードサイズと呼ばれる映画黎明期で主流であった横縦比4:3であったことです。この画面は懐かしきブラウン管テレビの画面サイズでもありましたので、とりあえずこの時点で個人的には40年弱タイムスリップし懐古趣味的な優しい気持ちになりました。
黒澤明監督作品、傑作とも言われ海外でも高い評価の「生きる」が原案となってるそうですが、残念ながらまだそちらは鑑賞しておりません。
ほぼ同年代(戦後直後)のイギリス、ロンドンのお役所が舞台ということですが、正確な時代考証もさることながら、まるでその当時実際カメラを回して大量に撮りだめだフィルムを再編集し、現代の技術を駆使して画像修復もしました・・・のと見間違う様な、レトロチックなその空気感さえ再現できているのは驚嘆に値します。
リメイクじゃなく、50年くらい前の名作映画のリマスター版リバイバルと勘違いしたくらいです。
また単に古き良き時代を懐かしむ映画じゃなく、官僚主義、お役所主義、格差社会における社会的弱者の存在、父と子の確執などなど・・・現代社会にも通じる重いテーマを深く掘り下げつつ「いかによく生きるか」という人生の普遍的テーマに帰着させ、映画というエンターテイメントに昇華させているのは見事でした。
日々の仕事に忙殺され、いわゆる会社人間になり家庭を顧みなくなる・・・とはいえ仕事では保身が第一で弱者に目を向ける余裕さえなく現状維持で精一杯・・・私も会社で家庭でリビングデッド?って状況なので彼の心情とのシンクロは意外にも容易でした。
共感しかないです。歌も大好きで歌います。彼の様に最期に一花咲かせて散りたい・・・いや、まだ散れないか(笑)。
私たちの人生は一人で絶えず闘志を燃やし続けるには長すぎる
観ることができて良かった、出会えて良かった。そんな映画だった。
黒澤明監督の原作を単純にリメイクしたものではなく、カズオ・イシグロが今を生きる人の心にも響く物語として、
ビル・ナイに当て書きして作ったものだからこそ、泣くほどに感動できた。
この映画の魅力はビル・ナイ演じるウィリアムズが私たちの象徴的な人物像を持っていることだと思う。
誰しも大志を抱いたり、闘志を燃やしたり、何かに向かって勤しんでいた時期があると思う。
でも、炎を燃やし続けるには、それが比ゆ的な炎でも、当然、燃料が必要なのだ。
私たちの人生は燃料を絶えず供給するには長すぎる。
いつしか燃料を与えることができなくなり、昔は輝いていた炎はくすぶってしまう。
そんな人間ごまんといる。
誰もがウィリアムズになる可能性を常に秘めながら生きているのだ。
そして、自分で燃料を供給できなくなり、心がくすぶってしまったら、その心にもう一度炎を灯すことができるのは、他人の輝きなのだ。
しかし、他人の素晴らしい言動に感化され、再び炎が燃え上がることはあっても、
はたしてどれだけの人がその炎を燃やし続けることができるのだろうか。
本作はそんな問題提起すらしているように感じられた。
私も誰かの心に火を灯す存在になりたい、自分の中にある炎をくすぶらせずに輝かして生きていきたい。
人生の教訓を与えてくれるような映画だった。
また、恥ずかしながら、黒澤明の原作を未鑑賞である。
70年の時を経て、この作品にインスパイアされてできたのが本作なのだから、
次は原作を鑑賞してみたい。
基本、日本版と同じ【原作 黒澤明監督作品】。爺さん婆さんに囲まれて感無量❓
俺、オリジナルの黒澤明版 ある意味トラウマなのだ
文章読解力なんて先生が教えるのはせいぜい中学生まで
高校以上は、自分で小説評論レベルでもわかる。
という状況で【現代国語の授業】受験にも不要だし、自習でZ会の添削や有名な参考書見てけば良い
という状況で 仕方なく 定期テストもあるので 我慢して現国受けてた
【結構、進学校あるあるです】
その現国の先公、ならぬ先生様が
中勘助くらいのマイナー小説なら 教養が・・・と踏みとどまるのだが
やたらと 黒澤明【生きる】力説して説明詳しいのだ❗️
当時はレンタルビデオなかったから【黒澤明 生きる 名画座でやってたら是非観ろ❗️】
というメッセージだったろうが、2年間で 「あらすじ」全部頭に入ってしまったよ。高校生の青年のわしに!
コレほど授業で薦められると【わかったヨ❗️つまんないそうだから意地でも見ない❗️】
という ほぼ青年の主張レベルの 信念がワシの中に芽生えた。【青年の主張成人式の日NHK 今どこ行った❓】
というレベルで【天国と地獄】黒澤明【七人の侍】とかは観たが、「生きる」触れず本日に至る
しかし、ワシもジジイになったので、オリジナル日本版乗り越えて観てみた
どうせ客いないだろ、という甘い読みがヤバかった
両脇をワシより遥かに年上のお爺さんお婆さん老カップルに挟まれて全体として8割の入り
ど真ん中ゆえに脱出不能
この作品、メインは後半30分の山場だったのだが、水飲みすぎてオシッコ我慢😣😣の修羅場に
公園建設への尽力がどうかなんて・・どうでも良くなってきた。最後エンドロール字幕で、俳優終わったら速攻脱出。
しかし本日は暇だったので、購入したパンフも事前に読み込んでたよヨ❗️
なんかエンドロール後に若いカップルシーンあるの、無いの❓【選挙公報で上腕二頭筋💪に問うなかやまきんにくん風】
なぜに❓周囲のご老体ならぬ人生の先輩、泣いてるのだろう❓小便トイレ行けないこっちが泣きテェヨ。
俺には、役人が普通に職務に専念した だけとしか見えなかった ビル・ナイ さん
有料パンフの受け売りだが 戦後黒澤明オリジナル 作の方が、かえって味があるような・・
作った公園ショボいし【ショボさが良いということだろねぇ】
別に普通に真面目に職務に専念の人生は空虚では無いです。ただし、たらい回し的なのは中曽根の行革以前は通常の風景だったろうから、現実味がある。
よく頑張ったお爺さん課長。ただ、それ普通だから・・
それと 癌になる以前も 普通だから卑下するのはおかしい
普通の普通の両親作品ともいう、なんだよ!やっぱり現国の先公のストーリーをトレースしただけだったよ!
一応イギリス🇬🇧様はイギリス🇬🇧様なりに構成や、展開に工夫されてた。でもノーベル作家である必然性は?
普通の 生きることの気づき作品。
ヤバい、次に見る エスター ファーストキル と 【ブランコ繋がりか?】
当時はレンタルビデオなかったから
【名画座でもやってたら是非見ろ】
「ゾンビ」の悔恨
「声をかけようか、迷いました。だけど立ち去りました。彼が…あまりにも…幸せそうだったから」
言葉が出ない。劇場を出て5分くらい経ってからだろうか、じんわりと涙がこみ上げてきた。
ビル・ナイに尽きる。ただただ美しい。一切の無駄がない。市役所から早退し、無断欠勤し、公園のベンチに座っているだけなのになぜあそこまでかっこいいのか?
ブレンダン・フレイザーを認めたうえで言わせてもらいたい。アカデミー主演男優賞でこの演技を斬らざるを得なかったのは、アカデミー会員にとってとても辛い選択だったに違いない。
基本的に僕はリメイクは好かない。「西部戦線異状なし」でさえリメイクに抵抗があった。まして海を渡るならば尚更だ。
だがこれは素晴らしい。違和感なくイギリスに置き換えられており、よりシェイプアップされている。
古典映画を彷彿とさせる演出に冒頭から惹き込まれた。
志村喬が印象的ならば、ビル・ナイは叙情的。
今年公開の作品の中では個人的にNo.1としたい。と、都会の風に吹かれたゾンビは思うのであった。
とてもみて良かったと思う映画
原作に負けず劣らない名画
言わずと知れた黒澤明監督の不朽の名曲「生きる」のリメイクでした。ノーベル文学賞作家のカズオ・イシグロが脚本を担当するなど、とてつもなく豪華な看板を掲げた映画だけに、どんな内容なのか興味津々でしたが、その大看板に負けない素晴らしい作品でした。
舞台は日本からイギリスに移していますが、時代設定は1952年から53年頃と同時代で、主人公も市役所の市民課長。ガンを宣告されて余命6カ月と言われてしまい、一時絶望で落ち込んでしまうものの、思い直して長らく懸案となっていた貧民街の公園建設を進める展開も一緒。役所の中では、「遅れず 休まず 働かず」と揶揄されることがある公務員の姿が、皮肉を込めて描かれているのも同じ。両国とも、そうした部分では共通点があって、思わず笑ってしまいました。
異なるところと言えば、まずはモノクロとカラーの相違。ただカラーで創られたとはいえ、本作の映像の質感は非常に抑制的で、70年前の時代を表すのに十分効果的だったと同時に、原作の空気感をも巧みに取り入れていたように思えました。
また、黒澤明の原作は143分だったのに対して、本作は103分と40分も短いことも大きな相違点でした。とはいえ内容的には原作の流れをほぼ忠実になぞっており、物足りなさは全くありませんでした。強いて挙げれば原作では主人公の葬儀で繰り広げられた同僚たちの主人公の評価に関する論争が、原作は結構長かったのに対して、本作は(通勤電車のコンパートメントの中に舞台を移して)コンパクトにまとめられていたところも異なる点でした。この点については、本作の方が原作よりも濃密で、原作を凌駕していたんじゃないかとすら思えました。
あと、原作の名を高からしめるのに大いに貢献した「ゴンドラの唄」が、本作ではスコットランド民謡の「The Rowan Tree(ナナカマドの木の唄)」に置き換えられていました。主人公のルーツがスコットランドにあるという設定でこの選曲となっていましたが、歌詞の内容は全く異なるものの、そのテンポとか暖かいメロディは共通しており、主人公が自分が建設に携わった公園のブランコに揺られながら唄うシーンは、原作も本作も神々しいばかりでした。
そんな訳で、原作の良さを損なうことなく、それでいてコピペではないオリジナリティを加えた本作は、原作同様間違いなく名画と言えるものだったと思います。
全245件中、201~220件目を表示