「動くぬいぐるみの完コピ度に驚嘆!」生きる LIVING 鵜殿丈助さんの映画レビュー(感想・評価)
動くぬいぐるみの完コピ度に驚嘆!
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オリジナル版『生きる』のどこがクールかと云えば、やはり後半の葬式からの展開に尽きるだろう。それまで主人公視点でリニアに物語を運んできたのに、いきなり本人の遺影の大写しからのけれん味溢れる展開は、観ていてどうしても前のめりになってしまう。何故なら我々が最も知りたい主人公のミステリアスな動向は、葬式に集まった人々の語る断片的な証言に頼らざるを得ず、不在の故人の物語を我々観客が補完する作業は、あたかもその葬式に列席して積極的に故人を悼み懐かしむような不思議なカタルシスを味わえるからである。で、この葬式の会話劇がたっぷり小一時間くらい続くのだが、『Living』の方は意外とあっさり終わってちょっと拍子抜けした。かなり冗長なオリジナル版の尺を刈り込む目的もあるのだろうが、まあ結果的に観やすくはなっていたので良しとしよう。あと、中盤の「悪所巡り」の場面も忠実にトレースされていて、非常に好感が持てた。
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