「面白くはないよ」東京2020オリンピック SIDE:A Scottさんの映画レビュー(感想・評価)
面白くはないよ
観始めて「最初に『二年延期』を決めておけば何でもなかったんじゃないかなあ」と思ったの。
一年にしちゃったから、色んな人に苦渋の決断を強いることになったんじゃないかな。
選手も観客の前でプレーさせてあげたかった。
新型コロナの社会情勢も一応描いてるんだけど、そこは《SIDE:B》で描けばいいんじゃないかと思ったの。でも女子バスケの大崎選手の話を描くと、これがいるんだね。
色んなことがあったオリンピックで、どこを抜き出して記録映画としてまとめるのか難しいと思うんだけど、監督は『アスリートだって人間だ』ってところを選んだのかな。
カナダの女子バスケの選手や、米国の陸上の選手がそういうことを言う。
対して日本はどうかというと、空手の型で沖縄出身の選手が金メダルを獲るけど、もし、オリンピック本番に『その体で出場したら命が危うい』という状況にあっても、この選手は出場するんじゃないかと思ったの。自分が属する共同体の事情を背負ったら、やるでしょ。
柔道の73kg級で金メダルをとった選手も「柔道家を目指したい。アスリートじゃなくて」と言って、ちょっと違う感覚なんだよね。
そして女子バスケ。監督が「日本人はチームが大事でしょ」とさらっと言う。
さらに大崎選手は「ルールがこうだって言われたら、自分は、残念ながらそれに従うのが普通だと思う」と述べる。
これまでだと「欧米の選手の感覚が進んでいて、日本は追いついていない」って感覚だったけど、どうなんだろうと思ったな。欧米バンザイでもないかなって。
そしてこれ、個人を尊重するか、所属する共同体を尊重するかみたいな話にも近いんだよね。
家制度が好きか嫌いかという話にも近い。
オリンピックをやるかやらないか揉めていた頃の政治状況を考えると、そこが描かれてくるのも面白かったよ。
しかし、テーマはあった気がするものの、描き方は散漫で、きれいな映像も多いけどそれに振ったわけでもなく、映画としては今ひとつではと思いました。でも、観るべき映画だと思うんだよね。