すずめの戸締まりのレビュー・感想・評価
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設定の甘いストーリーを一般視聴者が好きそうなネタで目一杯脚色した絵の綺麗なアニメ映画。
設定の甘いストーリーを一般視聴者が好きそうなネタで目一杯脚色した絵の綺麗なアニメ映画。
地震をネタに使っているので、地震にトラウマがある方、緊急地震速報の音が嫌いな人には厳しい映画だと思います。
映像と音楽は素晴らしいです。スタッフやクリエイター、声優さんは素晴らしい仕事をしていると感じました。新海誠さんのファンの方は楽しく見られる映画だと思います。以下ファンの方はお読みになりませんよう、ご注意ください。
ほとんどの映画は作った人の一生懸命さや純粋なコンセプトを感じて演技や描写の甘さがあっても「良い映画!」と思うタイプですが、この映画は久しぶりに大きな違和感を感じながら映画館を後にしました。
資料なども読んで、違和感の中身を分解して考えました。
結果、東日本大震災や災害をネタとして扱っており、さらにはハッピーエンドに持ち込んでいることに違和感があるのだと思います。実際の災害はこんなに甘い、魔法のようなものではなく、当事者の方の中では一生解決しないものだと思います。が、本作では無理やり謎の主人公との恋愛ハッピーエンドストーリーで解決されてしまいます。とにかく地震や災害の描写や扱いが軽く、視聴者が感動できそうな「ネタ」として災害が扱われていることに大きな違和感を覚えたのだと思います。無理やりハッピーエンドにされている映画。ハッピーエンドにしないと怒られてしまうのか、ハッピーエンドにしないと売れないのか。
そもそもリアルの災害と結びつける必要が全くなく、日本古来の神様の怒りを全国を回って封じていくファンタジーで十分だったのではと思いました。軽々しく実際の災害を持ってきて感動を呼ぼうとしていることに嫌悪感があります。例えばジブリ映画ではメッセージを上手にファンタジーで包んで、大人になってからメッセージに気づく、そうかもしれないと気づくストーリーの深さがありますが、本作は全部丸見えです。
さらに、詰め込みすぎで結局何が言いたいのかよくわからない。もしかしたらメッセージ性はなくて、ただ好きそうなものと感動しそうなものを並べた映画なのでは?とさえ思ってしまいます。災害か、ラブストーリーか、家族愛か。どれかひとつで良かったのでは。結局全部扱いが軽いので、感情移入できませんでした。冒頭30分くらいで意識が現実に戻ってきてしまいました。
猫好きとしては、猫の扱いも軽くて違和感があります。この人猫好きじゃないな、という感じがしました。猫の必要性も無い。神様を宿す、描写するならまだ狐の方が向いているのでは?猫はウケるから描きましたよね?という感じがしました。せめてもう少し猫っぽくしてほしかった。
女子高生、制服、普通と違う家族、イケメン、猫、廃墟、旅、神様、神話、声優、主題歌。狙った感がスケスケです。透けないようにしてほしかった。さらに地震ネタで無理やり感動させようとしてくる感じ。すべて設定が甘くて背景が薄い。この人の映画はもう自分からは見ることはないと思いました。
とはいうものの、これだけ一大プロモーションをかけられたらこんなレビューを実際に口にできることは無いと思います、村八分か老害になるでしょう。最近の漫画も同じ傾向を感じます。流行りそうなものをネタにストーリーを後付け。こうしてどんどん薄いものが好きな世の中になっていくのかもしれません。二倍速で見るのは必然なのかもしれませんね。
これから起こること
本作は地震に焦点を当て描いていました。
個人の考えですが、
劇中に登場する「ミミズ」というのは過去の災害によって被害を受けた人の負の思いというのが中心になって構成されていると思います。
その考えを念頭に置いた上で読んでいただけると幸いです。
東日本大震災という多くの被災者が生まれ、数多の遺恨が残ってしまった災害はこの「ミミズ」の力を助長させ、いつかこの世に再び災害を引き起こしてしまうと思います。
南海トラフ地震と言えば多くの人が聞き覚えがあると思います。
もし、この災害が起こり、たくさんの被災者が生まれてしまった時、この映画は大きな支えになると思います。
人との死別を乗り越えることは大変な事であり、
容易に克服することはできません。
しかし、本編中にあったように「いつか必ず朝は来る」
その時は暗闇に思えても、いつか光が指す。
その事を認識させてくれる良い映画だったなと思います。
本筋より芹澤
映画館にて鑑賞しました。
新海誠監督の作品を全て見てきたわけではないですが、自分が見た監督作品の中では一番「アニメ」しているな、と感じました。
自分の中は新海監督にはリアル路線が多いイメージを持っていますが、主人公が閉じ師の手伝いをする経緯などは、悪い意味でアニメだなぁ、と思いました。逆にミミズが地震を引き起こすという設定はいい意味でアニメだな、と感じました。要石だった猫のダイジンの行動原理は自分としてはよく分からなかったです。
新海監督は生活感やその空気を描くのが上手なんだな、と思いました。スマホアプリがストーリーの中で何回も出てくる場面などは、生活が映像の中に落とし込まれているように感じ、こういった監督のセンスは好きだなぁ、と思います。
正直、本筋のストーリー部分よりも、移動している時間のシーンの方が楽しく見れました。この作品の中で芹澤が一番好きなキャラクターですね笑。
また、なぜか不思議とスタジオジブリ感を感じる瞬間がありました。(自分的にはすずめと環が自転車で走るシーンや、ルミさんの車に乗っているシーン。)
新海監督には、一度喜劇的な作品やコメディ作品を作ってみてほしいな、と思いました。
過去と現実と未来に向き合う勇気。
個人的には新海監督の作品で一番良かったです。
感想を言葉にするのはとても難しい。
デリケートなテーマなので人それぞれ様々な気持ちが込み上げてくると思います。
過去と現実と未来、愛や苦しみや感謝に向き合い、前に進んでいく勇気を伝えてくれる内容だった。
ダイジンがすずめに「ありがとう」と言われた時のあのダイジンの表情にものすごく胸を打たれました。
「ありがとう」の一言がどれだけの幸福をもたらすものなのか、、、あの一瞬のシーンがもしかしたら一番響いたかもしれません。
相変わらずの映像美には瞬きも惜しいほどです。
冒頭のタイトルが入るシーンは鳥肌。
ラストのRADWIMPSの曲は作品の全ての意味を包み込み、優しくあたたかく背中をそっと撫でるように仕上げてくれます。
帰りの車でRADWIMPSの曲の歌詞を読んでいたら、改めて泣けました。
今年最後に出会った今年最高の曲です。
もう一度ちゃんとしっかり観ようと思う。
次は絶対IMAXで鑑賞したい。
新海誠が投影されすぎなのでは
残念ながら本作は合いませんでした。
映像と音楽は相変わらず素晴らしいと思います。
声優陣も頑張っていました。主役二人は不慣れな仕事をうまくこなせていたと思います。
深津絵里と松本白鴎はさすがの存在感で彼らの芝居を見るためにこの作品を見る価値はあります。
問題は脚本です。
1.主人公の動機付けに違和感あり
どう考えても、草太がイケメンであるからという以外に主人公が物語に巻き込まれる動機が見当たりません。
イケメンでなければわざわざ廃墟に探しに行ったり、東京まで着いて行ったりしないですよね。
主人公の動機の薄っぺらさが作品全体を構造的に薄っぺらくしています。
2.ダイジンの行動原理が不可解
神様でありながら任務を放棄して他人に押し付け、椅子にするという呪いをかける嫌なやつ。
そうかと思えば扉を開けて回っていると見せかけて実は扉の位置を案内しているいいやつだったり。
挙句の果てには結局は元の任務に戻ったりと行動原理が最後まで不明です。
神様は気まぐれという説明で終わらせて良いのでしょうか。
3.謎の懐メロ大会
劇中至る所で懐メロが流れます。それもある特定時期の。物語の構造に不可欠な要素になっているとは思えないのですが。
結局のところ・・・全部新海誠なのだなと思います。
イケメン草太はもちろん新海誠です。
一見誤解されるけど実はいいやつなダイジンは新海誠です。
かっこいいスポーツカーで美人高校生とドライブするおしゃれな芹澤は新海誠です。だから新海誠にとっての懐メロを聞くのです。
全部、新海誠のこうありたいという願望が投影された映画です。
そう思うと、見ていられない感じです。
主人公の成長があったのかどうかよくわかりませんでした。むしろ、環の方が成長していました。映画としてそれはどうなのか。
評価できる部分もあります。
①打倒ジブリの意気込み
ドライブシーンで大音量でルージュの伝言を流したのは宮崎駿に一発かましたかったのだろうと思います。その勇気は評価します。
常世で過去の自分に合うのシーンがそのままハウルの動く城ですが、本家を超えてはいないかな。いきなり服装が変わることに意識が行ってしまいました。
②地震の擬人化
ミミズという擬人化は良かったと思います。
ミミズが扉から這い出て、これが倒れることで地震が起こるという映像を見せたかったのだろうなと思いました。
不気味さがよく出ていたと思います。
映像美や音楽、声優陣の頑張りを評価して星3つとします。
脚本はなんとかならなかったのか・・・
後半すずめとたまきさんの闇深ストーリーに興味が移った
流石に面白かったです。見ごたえあるエンターテイメントアニメーション映画で誰にでもおすすめできる。
ただ「天気の子」「君の名は。」の完成度には及ばないです。比べるのも無粋なのですが。
前半のロードムービーは楽しめました。その場所で生活していたモノの思い出、思念体を描く描写は感動した。でも後半、草太が要石になって離脱してからのストーリーが急に雑な感がしました。環と芹沢と鈴芽と左大臣、大臣でロードムービーとか。このメンツでドライブする必要性が強引かなと感じました。結局この話って鈴芽と草太が協力関係から恋愛関係になっていく物語だと解釈していたので。
左大臣とかも、ぽっとでのキャラ感が強くないですか?誰が関東の要石を抜いたの?。地震のせいで抜けたのだとしたら、東の要石が仕事してなかったってことになるのでは。
そもそも左大臣って誰が名付けたの?
大臣が自分は大臣と呼ばれているからキミは関東の要石だし左大臣でヨロシク!みたいな感じで名付けたのか。ということは大臣が大臣と呼ばれる前までは名前がなかったということ?
駐車場で鈴芽と環さんが口論になるシーンも理解が追いつかなかった。左大臣が関与して環の黒い気持ちが露わになったってこと?そんな能力示唆されていたっけ。それとも左大臣がいたのはたまたまで、単に環さんが本音を吐露しただけ?だとしたらあの二人闇深すぎだろ。芹沢も言ってたけど。ホラーじゃん。冒頭の朝ごはんのシーンとか元も子もない。あれでまた次の日から冒頭の朝ごはんのシーンよろしく仲良く生活してたら、ホラー以外の何ものでもない。
物語に引き込まれすぎて具合が悪くなった
なんというか本当にバランスがよくとれた作品だと思った
前半から中盤にかけての、凸凹コンビが歩む優しい人たちとのロードムービーという明るさと、みみずの存在や異世界に引き込まれそうになるすずめや夢の中で苦しむそうたさんの不穏さ
後半にかけて、大震災という非常に重い出来事についての追悼や怖さを感じて辛くなるが辛いばかりではなくせりざわさんというキャラクターを出してくることで重い空気になりすぎないように調整している
すべての采配が完璧すぎて、色んなキャラクターに感情移入したし、物語がすっと入ってきた
入りすぎて後半の震災の風景のあたりで具合悪くなった
でも本当に久々に面白くて伝えたいものがハッキリしていて、終わったあとも明日からまた自分と向き合いながら頑張ろうと思えるような作品だった
ぜひ映画館で見て欲しいです
あれ?こんなことレビューするつもりじゃなかった
ひとことで意味不明でした。
ツッコミどころしかない。
君の名は。も天気の子も相手に恋する、恋した理由にはギリ、納得はできました。
しかし、これは本当に分からん!
一目惚れ?なのかもしれないけど、
もしあの一瞬で恋に落ちたとしたら
『イケメンさーん』『これってナンパ』
なんてセリフは出ないと思う。。
そして一緒に過ごした期間はほとんど椅子の状態。
感情移入できねーーー!
そして現役の学生が突然何日も叔母さんち出て
「言っても分かんないから。」だけで説明せず、、
あんなにお弁当も丁寧に、幼い頃から面倒見てくれた叔母さんに対して、、
頭おかしいだろ。。。
叔母さんにだけじゃなく、道中のキャラクター達の親切心とか恩に対して
心から感謝がない子だった。実に身勝手。ヒロインとして最低。。。
あの猫の存在も、結局悪だったの?最後助けてくれた??
なんなん?
じゃ、なんで逃げたん?刺さってろよ。
最後え?刺さるん?あっけなすぎて、、、なんなん???
そしてもう一つの猫も突然出てきてなんなん?!
お前刺さってないとやばいんとちゃうん?
後部座席で伸び伸び悠長にしてていいん?
神様なんじゃなかったの?自由すぎません?
(よく携帯水没しないよね?とか新幹線のれるお金持ってるね?とかはもう目をぎゅっとつむる)
(男の人の車も途中壊れたけどこの先私1人で行くね!とかあり得ないし本人もハハハじゃ済まないし)
(出会ったオバさんもバーで働かせる、とか信じられない、、、まず警察に連絡するだろ、、下手したら拉致事件だぞ。
その辺は天気の子はちゃんとしてたと思った、、
スポーツカーでの懐メロのくだり、長すぎて途中眠気との闘ってたよ。
それより、あの男友達の存在理由なんなん???
友人がいるかも分かんない7時間もかかる遠くまで見ず知らずの子乗せて車運転するか普通??私?絶対やだ。
ていうか教師になりたいんだったら尚更知らん学生車に乗っけて運転するか?完全にヤバいやつだろ、、
あの猫の意味とか、なんで2匹とも抜けたん?とか鍵握ってそうでなんの過去回想もない無意味な爺ちゃん、、、、
(もうこれ以上キリがない以下省略)
見た後なんも残らなかった空っぽ。虚無。
全シーンにツッコミ入れられる自信ある。
意味深に足が1本なかった椅子、とか。
まさか津波に流されたボロボロ感演出のためだけ?
1番最初、あの扉見た時靴のまま水ん中入ったでしょ。
その瞬間、そのまま入ろうか躊躇したシーン。
意味があると思ったけど、その後学校いったり、また扉閉めて、そのびしょびしょの靴下のまま部屋上がってんじゃん。
この辺からもう『ヤバい。これは気になった事気にしちゃいけない系の映画だ』と構えたけど、それでも
全部においてハテナが止まらなかった、、、、
あと音がイマイチだったな。うるさいだけで、
ホラー早く閉めないとヤバいよー〜みたいな迫力を出すため!だけの音だったな。結局全部頑張って押したら閉まるし。閉まらないのないのかよ!笑
火垂るの墓、みたいな後世に残すための映画
をつくる意図だったと思うんだけど、、、
あれは実話で、これは恋愛ファンタジーになっちゃってるから、、どういう心境で受け止めればいいの、?
今後猫がまた何かの拍子で抜けちゃうかもね?
いま平和なのは誰かの犠牲の上で抑えられてんだよ。
って天気の子のような終わりで
私たちはどうするのこともできないよね、、
(例えば、『みんなの日常』とか『思い出』とかを実体化させて石にして猫の代わりに刺し込む(?)とかならまだ分かる。)←自分で書いててわけわかんない状態
結局どこから出てきたかわからない猫2匹がよく分からない方法で謎に凍って石になって刺さって守ってるという謎すぎる方法、、、、
星2は作画の綺麗さに対して。
何を伝えたいのか全部において全く意味不明な映画だった。
トマソン!?
日本の地下に蠢くミミズを封印する旅をすることになるJKの話。
宮崎で暮らすJKが廃墟を探すイケメンに一目惚れし、後を追いかけた先でやらかしちゃって巻き起こるストーリーってことで、知らなかったとはいえ一言で言うと強烈なマッチポンプですね。
宮崎で戻してたら?とか、東は誰が?とか、疑問に思ったけれど同時じゃないとダメとかなのかな?ていうか、ダイジン抜いたってことはそっちに入れていたってことでは?とか他にも色々なんで?はついて回るけれど、まさかの12年後のロードムービーとは…。
ジブリリスペクトに懐メロにという賑やかしもあったりしてなかなか面白かった。
タイトルなし(ネタバレ)
九州宮崎県の静かな町で暮らす17歳の少女・鈴芽(すずめ)。
ある朝、扉を探しているという青年と出会う。
その扉は廃墟にあるという。
ならば、と教えた鈴芽だったが、気になった彼女は、青年より先に件の扉を見つけ、付近にあった猫に似た石をどけ、扉を開けてしまう。
それは「常世」に通じる扉で、荒ぶる神を閉じ込めておく扉だった・・・
といったところからはじまる物語で、その後、石から変じた猫に椅子に変えられた青年・草太とともに、石から変じた猫を追って扉を閉め続ける旅が始まる。
『君の名は。』『天気の子』とあわせて「三部作」と呼んで差し支えない本作は、災害を題材にしている、その災害に関わる少女がキーパーソンとして登場するなど、前2作との共通点も多いです。
そんな本作、個人的には前2作よりも好感が持て、面白かったです。
大災害をなかったことにしてしまう(ある意味、乱暴な)『君の名は。』、大災害の後であっても、その傷跡は悲観するものではないかもしれないと(これまた乱暴なことを)いう『天気の子』を経て、本作では「大災害そのものは大災害として受け止めた上で、それでも未来に生きていける」と宣言しているあたりは、ストリーテリングとして王道であり、災害との向き合い方を新海誠監督が変化したと感じました。
荒ぶる神(みみずと呼ばれる土霊)、奔放な神(ダイジンと呼ばれる猫)などは古来の神話からのイメージで、宮崎駿監督作品でも引用されていましたね。
この他にも宮崎アニメとの類似点は、ユーミン『ルージュの伝言』、軽自動車、自転車、声優でない俳優のキャスティングなどがあります。
そういえば、キャラクターデザインも似ている気がします。
また、人間でない異物に変えられたひとを目覚めさせるのが愛するひとのキスなどは、西洋のフェアリーテイルに登場する要素だし、異世界の扉の向こうでの自己との再会もこれまで繰り返されて他の映画の中で登場しましたが、それらの「おなじみ」な要素が満載なのだけれど、面白かったと思えたのは、やはり「大災害そのものは大災害として受け止めた上で、それでも未来に生きていける」という未来に対する力強いメッセージのせいでしょうね。
昔ながらの「日本」と今の「日本」を感じる作品
人生で初めて、アニメ映画を劇場で観ました。
(新海誠作品の前2作はロードショーで観ました)
物語の筋立ては割と単純なので、ここでは物語を盛り上げる設定について「面白い!」と感じたことを残しておきたいと思います。
①地震を引き起こす元凶とされている「ミミズ」。
発生場所は人の住むことのなくなった後ろ戸で、ミミズの実体は「閉じ師」の一族しか視認できない。
主人公・すずめは幼い頃に偶然「ミミズ」のいる「常世」に迷い込んだから視認できた。いわゆる例外?
地震大国の原因をそんな化け物に持ってくるか、とニヤリとしてしまいました。古くから目に見えないものを畏怖してきたこの国だからこそ、説得力のある設定ですね。
「ミミズ」が出てくる後ろ戸が存在してはいけない。昔の日本人は常識としてそのことを知っていて、だからこそ暮らさなくなった住居や城を燃やしたり撤去したりして痕跡を残さないようにしたのか…?
などと、架空の設定なのに現実のことのように考えてしまう自分がいました笑
②「岩戸」鈴芽と「宗像」草太。
この2人の苗字も『記紀』にゆかりの深いもの。
前者は天照大神が隠れ、暗黒の世が訪れた神話に基づく。しかもその舞台とされる天岩戸神社は宮崎県に実在。
後者は天皇家を支えた海人族のこと。福岡県にあり、「海の正倉院」沖ノ島や宗像大社がその名残を留める。僕の故郷でもあるので、映画を観に行こうと思った理由の一つです。
③芹澤の車
中古で買ったというマニュアル車。
僕もマニュアル車乗りなので、ギアチェンジの描写だけでテンション上がりました笑
宮崎→愛媛→兵庫→東京→宮城?と旅をしていく形で物語が進んでいくので、きれいな絵で描かれた日本の風景を楽しむこともできました!旅に行きたい…。
東日本大震災のことにも勿論触れており、忘れちゃいかんよな、自分が鈴芽の立場になってもおかしくない、と東北に行って震災遺構を見た時のことを思い出しました。
観に行ってよかったです!
やはり空模様に関する表現が秀逸
題材が題材なので観る人によって、具体的には震災被害と地震に対して過度な反応を持つ人には余り薦められないのかもしれない。
ただ、その点を除けばキャラクターも魅力的で、ストーリーラインもしっかりとして、鑑賞後の後味の悪さみたいな部分もなく、万人向けの安定した作品になっていたかと思う。
ただまぁ、ダイジンの結末としてはちょっと可哀想だなというか、神様の思惑など理解できないと言えばそりゃそうなのだが、やはりすずめの家に入るってのは望みだったのだろうから、そこがケアされないのはなんというか…こう、感謝とか敬意とか、いや祝詞がそれにあたるのだけど、2人で御供えとか持ち寄ったりなんかするシーンとかあると嬉しかったなーくらいの細かい話
誰かに愛されているということ
震災をテーマにしつつも、本質は「愛」の物語。
誰かを愛すこと、愛されることの素晴らしさや愛しさ、そして「当たり前」ということに対して丁寧に描ききっていた。
一人の少女が過去と向き合い、成長する。
そこに震災を題材にした。
当たり前に話すこと、当たり前に遊ぶこと、当たり前に人を愛すこと、当たり前の思い出を作ること。
それらが瞬時に失われ、目の前から消えることの辛さ・虚しさと同時に、失って気付く「愛していた・愛されていた」こと。
究極的に愛を追い求めて奔走する姿や、「閉じ師(仮)」になることで伝わってくる思い出達。
只要石のダイジンを追うだけではなく、1つ1つにしっかりと意味があることを真正面からぶつけてきた映画だった。
上手く纏まっていないが、簡単に言うなら「全部最高」。
…ところで結局ダイジンは何者だったんだろうか。
個人的には幼いすずめ自身だったようにも思える。
最終的に「すずめが迷い込んだ常世を閉じる」ことが目的である為、大事なことを忘れていたすずめに気付かせる為に、過去の自分がダイジンとして現れたのでは…?
「過去にケリを付ける」ことは過去を振り返らなければならない=「すずめの成長の要」として彼女を導くこと。
…んー、せめてここを描いてくれたら良かったような気もするけど、それを忘れるぐらいの素晴らしさだったことは確か
被災してない私にとっては、この映画はよかった。でも、、
君の名は、天気の子には全くはまらなかった。
とくに天気の子は観終わったあと監督に怒りさえ感じた。ホンモノじゃない作品に対してRADWIMPSの貴重な人生の時間を消費させるなんて、とんだ才能の無駄遣いだと思った。
今回もそんな経緯から観るのを渋るも、結局主題歌の歌声に惹かれて脚本自体には特に期待はせず劇場に足を運ぶ。
結果、クライマックスからエンドロールにかけて、涙涙涙。
音楽ががっちり映画とマッチして、感情をあふれさせることあふれさせること。
それでも生きたい!という草太の熱量に、
考えるな感じろ状態でドカンとやられました。
いやぁ、すごい体験させてもらった。
「でも」と、どうしても思ってしまう。
私は直接の被災者じゃないからこの映画を楽しめたけど、被災した当事者の方達はこの映画を観てどう感じただろうか。
現実世界では天災は人間にはどうすることもできない。
諦観の境地。
すずめの戸締りでは、地震は人の手で防げるものとして描かれている。
このメッセージはとりようによっては、
自分のがんばりが足りないせいで大地震が起こってしまったのかなと、
自分を責めてしまうような感覚に陥らせてしまう可能性がなきにしもあらずで、
その点がこの映画の脚本の最大のモヤりポイントでした。
でもまた心を動かしに映画館へ足を運びたい。
なので、音楽映像コミコミで観てよかったと思える映画だった反面、現実世界ではすずめの戸締りのようなファンタジー的手法では天災という問題は解決不能なわけで、その辺りのメッセージ性や解決法については天気の子に引き続き「うーーーーん、、、」な感じで、さらに色んな受け取り手の立場を考えると複雑な気持ちになりました。
万人に勧められるか?というと、この辺りの点は注意した方がいいよ〜と注釈をつける必要がある映画だなと。いかにネタバレせずに伝えるかが難しいとこですが。
終盤のタタリ神的なものを2人で倒すシーンの映像は、思わず「エヴァみたいだね!」と同行者に話しかけたくなったけど、ぐっと我慢。でもツッコんだ人はきっと多いはず、、、
うーーーん。。。
ダイジンのかわいさとけなげさが言葉にできない。映像は素晴らしいから☆みっつ。
しばらくダイジンの姿と言葉が抜けなかった。
ストーリーはなんだか、、、パッとしない。思ってたのと違った。
すずめの勝手さが目立ちすぎ、草太への想いもよく分からない。
あそこでハウルとソフィーみたく過去でしっかりとした繋がりがあるわけでもないし、そこ?みたいな。
震災の朝の風景、いたって普通の風景がいちばん心がぎゅっとなった。
すずめと草太にはダイジンとサダイジンが護ってくれているのを知ったのなら、ずっと忘れないでいてほしいなと思った。
自分勝手な主人公、ご都合主義でリアリティ無し
とにかく叫びながら走る!走る!!
そんなシーンが最初から最後まで続きます。
「なに?なに?なにーー??」や「えぇぇぇーー??」とか他にもいろいろ。
なんかね、こういうシーンって少しならいいけど始終されちゃうと白けてしまうんですよ。
ガキっぽいというか。
世界系の作品には無くてはならないのか?
それにしても過剰でしたね。
あとね、すずめが走り出すとき周りの人たちを無視して突然暴走するんですが。
これが小さくイラッとくる。
切羽詰まってるのは分かるんだけど、何か一言ぐらい言ってけよ!と何度思ったことか。
初めて会った他人がこんなに親切にしてくれてるのにイヤな感じだなぁと。
すずめの自分勝手な行動がどうも苦手で。
あまりにも自己中なんでラストに成長する伏線か?と思いきや特にそういったこともなく。
最後までモヤモヤが残りました。
それとこれを言っちゃあお終いなのは分かってますが。
会って数日の人に(しかもほとんどイスの状態)ここまで心動きますか??
私にはこの展開にリアリティを感じられなくて、すずめに共感することができませんでした。
ストーリー自体は面白いと思いましたけど。
映像も本当に綺麗だし、出会った人たちのキャラクター良かった(いい人過ぎるけど)。
が、いかんせんすずめの最後まで自分のことしか見えていない感じが好きになれませんでした。
こういう系の作品は嘘くさいなと白けてしまった時点でダメですね。
没入できなくてとても残念でした。
ダイジン可愛そう
普段映画レビューの投稿とかしないんですが、どーしても物申したくて登録しました笑
個人的に、一番気になったのは、ダイジン可愛そう過ぎんか??
でした。
もちろんダイジンがすずめの邪魔をしているとミスリードさせるためにも必要な演出であったり、話の流れであったことは理解できますが、ちょっと個人的に「可愛そう」のまま終わってしまってしまったのでもやもやしています。
では何が「可愛そう」なのか。
ですが、要石としてずっと封印??を行ってきたにもかかわらず、感謝もされない(当然逃げたこと、役目を放棄したことの責はあるでしょうが)。
しかも、草太が要石になるというシーンで「ここで終わりなのか」というセリフや氷に覆われていくシーンを挟んで悲しみが表現されたにもかかわらず「ダイジンもこういう悲しみや孤独を抱えていなんだ」という共感がなかった部分もちょっとすずめに共感ができない部分です。
最後の最後に「僕はすずめのいちばんにはなれなかった」という悲しいセリフと共に要石の形に戻ったダイジンに(たぶん)悲しい表情は見せたものの、特に言葉もなくしっかり要石として使用するあたりでだいぶ無理でした。
という理由で「ダイジン可愛そう」というのが見終わった後にもずーんと残る感想になっています。
これが、深海監督の想定した感想の持ち方であるなら、その意図を伺いたいですw
変態性の喪失
泣きながらこのレビューを書いています(嘘)
私が受け止めきれていないだけかもしれないという前提で書きますが、新海作品で過去最低の作品でした。
これまでの作品と違って今作はよく言えば大人しくあまり冒険をしない印象、厳しめに表現するなら物足りなさを個人的には受けました。
物語は美しく、映像も音楽も観て恐らく多くの人が満足する大衆向けの作品でしょう。
ですが、恐らく20年位のコアな新海ファンからすればファーストディなどの割引がある日以外にわざわざ見る価値があるかはかなり微妙な作品かなと思います。
映画館のスクリーン・音響にお金を払っている気持ちでなければガッカリするでしょう。
酷な書き方をするならAmazonPrimeなどで観たなら途中で観るのを諦めてスマホをいじり出したくなると思います。
上映が終わった際の余韻もなく、ただ美しい男女が出会って、苦難を共に乗り越えて…新海監督らしさがほぼ感じられなかった。
過去の新海作品のヒロインは基本的に処女性と母性を描いていると思われ、変態的(褒め言葉)な男性主人公視点が今回は大きく欠落しています。
「秒速5センチメートル」を男女の視点比率を9:1だとすれば、「君の名は」でほぼ半々、「天気の子」で4:6、今作は2:8くらいでしょうか。
ソウタが長身、イケメン、教員を目指している大学生。
スズメが高2の可愛らしい女子高生で、母と同じ看護師を目指していて、恋愛経験はない…この少し年上に憧れるくらいのシンプルさと濃度の方が今は多くの人に見てもらえるのかもしれませんが、スズメ視点で物語の大部分が構成されているために、恐らくこの作品を通して"本当に伝えたいもの"への関心は薄れてしまう気がしました。
映像や音楽などの美しさに頼り、上映時間の長さとテンポを大切にしすぎた結果、主要な登場人物の掘り下げ・心象描写は殆どクライマックスまでされなかったためにボーイミーツガールをしたかったのか、理不尽な災害によって家族を失った少女が逞しく生きる強さを描きたかったのか、あれほどの大災害があっても人の営みは続くことが描きたかったのか、災害をミミズの化け物に喩えて眼に見えない、常人にはどうする事もできないものにする事で諦めを描きたかったのか。中途半端さを感じます。
抱えるスタッフもどんどん増え、描きたい事を描けなくなっていないだろうか。ファンタジーとリアリティの境界が曖昧で、描きたかった事も曖昧…技巧は素晴らしいと思いますが、どんどん中身が大衆受けを狙った商業作品になっていく印象です。もう諦めちゃったのか、枯れてしまったのかなぁ。
ただただ映像と音楽の美しさに集中できる時間というのはこれから益々少なくなるのでこういう作品も求められていくのかもしれません。
例えるならiPhoneがスティーブ・ジョブズの発表した頃のようなオンリーワンのスマートフォンではなく、ティム・クックによって数が売られてどんどんAndroidに後手を踏む汎用な製品になっていくのにユーザーやOSシェアが拡大していく…そして古くからのファンがどんどん離れていくみたいな流れとよく似ていると思う。
鍵が導く心のままに🔑 新海くんってば、本当にジブリとエヴァと村上春樹と時をかける少女が好きなのねぇ。
女子高生の鈴芽と、「閉じ師」の青年・草太。日本を横断しながら「災い」を封じ込める、2人の奮闘が描かれたボーイ・ミーツ・ガール系ファンタジー・ロードムービー。
監督/脚本/原作は『君の名は。』『天気の子』の、日本を代表するアニメ監督、新海誠。
閉じ師の青年、宗像草太の声を演じるのは『坂道のアポロン』『劇場版 きのう何食べた?』の、SixTONESのメンバー、松村北斗。
鈴芽の育ての親である叔母、岩戸環の声を演じるのは『踊る大捜査』シリーズや『ステキな金縛り』の深津絵里。
環の同僚、岡部稔の声を演じるのは『おおかみこどもの雨と雪』『バケモノの子』の染谷将太。
スナックのママ、二ノ宮ルミの声を演じるのは『悪の教典』『ちょっと思い出しただけ』の伊藤沙莉。
草太の友人、芹澤朋也の声を演じるのは『千と千尋の神隠し』『君の名は。』の神木隆之介。
震災で亡くなった鈴芽の母、岩戸椿芽の声を演じるのは『言の葉の庭』『君の名は。』の花澤香菜。
まずもって言っておきたいのは、新海誠の最新作を「観に行かない」という選択肢は無い!
アニメファンにとって新海誠の新作というのはお祭りな訳です。そりゃ劇場公開されれば「うおー!楽しみだなぁー!✨」と喜び勇んで観に行きますよ。
こんな気持ちにさせてくれる監督は、日本では宮崎駿と新海誠くらいなもの。もはや新海誠は、そのくらい貴重な存在なのです。
『君の名は。』『天気の子』に続き、今回もディザスターを扱った作品。
しかし、前2作で描かれたのが架空の災害だったのに対し、今回扱われるのは東日本大震災という実際の惨事。
東日本大震災を娯楽映画で扱う。
この是非について、被災者では無い自分は口を噤みたい。
震災によって家族を失った人、家を失った人、故郷を失った人、そしていまだにPTSDに苦しむ人。
そう言った人たちしか、この件に関して口を挟む権利はないでしょう。
ただ、東日本大震災を描いておきながら、物語を結局は「キミとボク」的な閉じたものに仕上げてしまった、という点については少々幼稚さを感じてしまう。
3.11を描くのであれば、もっとそれ自体に深くコミットし、「キミとボク」のさらにその一歩先を行く物語にするべきではないか、と思うのですが…。
まぁこれは外野がとやかく言うことじゃ無いっすね。
もう言うまでも無いことですが、当然アニメーションのクオリティは素晴らしい。
このレベルのアニメを観られると言うだけで、「観て損した…🌀」なんてことには絶対にならない。
声優陣も素晴らしい仕事をしている。
草太を演じる松村北斗さんは、最初こそ「ちょっとヤバいかも…」と思いましたが、椅子になってからは違和感なかったです。
主人公・鈴芽の声を演じたのは原菜乃華さん。これはマジで素晴らしい👏
超絶倍率のオーディションを勝ち抜いたシンデレラガール。これで声優初挑戦とかなんでしょ。天才なんじゃないのか…。
新海誠の要石、神木隆之介と花澤香菜は今回も作品に参加。神木隆之介は3作連続、花澤香菜に関してはなんと4作品連続の出演である。もうこれガチ恋でしょ。小野賢章のことを世界一恨んでそう。
映像、音楽、役者は申し分ない。これらは申し分ないんです。
…じゃあそれ以外のところはどうなんだってことなんだけど…。
正直、脚本や設定はめちゃくちゃ詰めが甘い。
ロードムービーといえば聞こえがいいが、やっていることは場所を変えて同じことの繰り返しているだけ。
それをやっていいのはテレビシリーズやゲーム、漫画などの連続性のあるものだけ。長編映画向きじゃない。正直かなり退屈してしまった🥱
ボーイ・ミーツ・ガールは新海誠の十八番である。
ただ、今回の出会い方はいくらなんでもちょっと強引すぎるし、鈴芽が恋をするまでのプロセスが意味不明すぎる。イケメンならいいのかイケメンなら!えーっ💢
押井守の師匠として知られるアニメ監督の大家、鳥海永行さんが「ボーイ・ミーツ・ガールはドラマになり得ない」という旨の発言をしていたと聞いたことがあります。
本作を鑑賞していて、この言葉が頭から離れなかった。
確かにこれはドラマになっていない。あまりに唐突すぎる2人の出会い、そして旅立ち。この2人の人間関係が何よりもファンタジーだよ😅
設定も飲み込みづらい。
なんかヤバいものが吹き出す「扉」があって、それを閉じて回っている「閉じ師」という一族がいる。それはわかりました。
でもさぁ、そんな国家安寧に関わる重大事をたった1人の大学生が受け持っているってそれどうなのよ?
「宗像宗家の血筋しかこの封印は出来ないのじゃ」、とかそういう設定でもないっぽいし〜。
仮にそうだとしても、それをサポートするNERVみたいな組織が存在していて然りなんじゃないすか?
そもそもこんな日本中を彷徨き回る必要があるのに、教師と兼業とか出来るのか?
うーむ…。まぁ深くは考えないことにします。
それと気になったのは、サブキャラクターの扱い方。
まず、ダイジンというキャラクターの丸投げ感が酷い。結局何者なのか説明は無い。
そもそも、このキャラクターは鈴芽たちをナビしていただけで、「災い」が吹き出すこととは関係なかったんですよね?じゃあ一体なぜ「災い」が日本各地で吹き出し始めたの?何か理由があるのだろうか?
サダイジンというキャラクターについてもあやふやすぎる。
唐突に登場してパーティIN。もう少し自然に物語に絡める事も出来ただろうに。
結局なんだかよくわからんまま凄く体を張ってくれるけど、行動原理がなんだかよくわからん。
叔母さんの扱い方も上手くない。
描き方によっては環さんをもう1人の主人公として浮かび上がらせる事も出来たと思うのだが、前半部分で彼女の掘り下げを怠った結果、後半怒涛の如く色々なイベントをこなさなくてはならなくなってしまい、結局面白みのないサブキャラという立ち位置に収まってしまった。
鈴芽に心の内をぶちまけるという展開があまりに唐突すぎて笑ってしまったのだが、あれは本来鈴芽が家出をする前にこなすべきイベントだよね?そうしなかったせいで、環さん関連のストーリーラインが突貫工事のような不細工さになってしまっている。
一番酷いのは岡部稔とかいうキャラ。こいつ出す必要全くなかったやん。ただの染谷将太の無駄遣い❤︎
事程左様に、脚本や設定に丁寧さが欠けている為、凄く飲み込みづらい物語になってしまっている。
『君の名は。』や『天気の子』も多少のアラはあった訳だが、今回は物語の風呂敷を広げすぎた為か、そのアラが目立ってしょうがなかったです。
新海誠はもう少し小さめの物語の方が、その作家性を発揮出来ると思うのだが…。
とまぁ色々書いてきましたが、今回の一番の問題点はコレ。あまりにも他所からの影響を受けすぎていること。そしてそれをうまく消化しきれておらず、そのまんまの形で出してしまっていること!
例えばこの「閉じ師」という設定。
闇が噴き出す扉があって、それを特別な鍵を使って閉めて回る…?いやこれ、『キングダムハーツ』の設定そのまんまですやん。ディズニーを敵に回すと怖いっすよ…。
地震を引き起こすミミズと戦う…?いやこれ、村上春樹の「かえるくん、東京を救う」そのまんまですやん。やれやれ。
そして何より、今回はジブリの影響をモロに受けすぎ!
もう既視感バリバリで、ほとんどパロディ作品みたいになってました。
特に『ハウルの動く城』っぽさがあまりにも強すぎる。草太の声がジャニーズだったのも多分ハウルを意識したんでしょ?
扉の向こう側に昔の光景が広がっているという展開もまんま『ハウル』。宮崎駿がこれを観たら鼻で笑いそう。
キスしたらどうこうというのも『紅の豚』ぽかったし、『耳をすませば』へのリファレンスもあったし…。これがジブリパークですか?
何より酷いのが「ルージュの伝言」をそのまま使用するという節操のなさ。ここは本当に、悪い意味で鳥肌が立った…。
新海誠の過去作に『星を追う子ども』という問題作がありますが、今回はそれを観た時の感情が蘇ってきた。
新海くん、ジブリが好きなのは知ってたけど、次からはもう少しジブリ愛を抑えようか💦
ミミズのルックが『エヴァ』っぽかったり、制服少女が時間を飛び越えるというのが『時をかける少女』っぽかったり…。
死んだ親だと思っていたら実は未来の自分でしたー、という展開は『ハリー・ポッター』で観たよなぁ。
とまぁ、今回は新海誠が好きなものだったり、これやったらウケんじゃね?と思っていることだったりがこれでもかと詰め込まれている。
ある意味では新海誠節全開というか、新海誠の総決算と言えるのかもしれないが、そういう事じゃ無いんじゃないの?
総評として、今作は明らかに作劇のバランスが悪いし、他作品からの影響があからさますぎる。
失敗作とまでは言わないが、不恰好と言わざるを得ない作品であると思います。
もちろん今後も新海誠作品は追って行こうと思いますが、次回作はもう少し丁寧に脚本や設定を練り上げて欲しい。
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