すずめの戸締まりのレビュー・感想・評価
全841件中、761~780件目を表示
昭和歌謡版『ストレンジャー・シングス』にさめざめと泣きました
宮崎県の高校生鈴芽は登校途中の坂道で廃墟を探している青年、草太と出会う。彼を追って山上にある廃墟に向かった鈴芽は廃墟の中にたたずむ古い扉を見つける。鈴芽が恐る恐る扉を開けてみると・・・からの妖奇ジュブナイル、といったところでしょうか。
冒頭で物語の行き着く先は暗示され、後は日本各地の廃墟を巡るロードムービーの様相。ロードムービーなので旅先での色んな出会いが物語を軽快に転がします。『天気の子』では生きとし生ける全ての大人に中指を突き出すかのようなテーマが提示されていたので、ボコられる側のアラフィフは肩身の狭い思いを強いられて楽しめませんでしたが、こちらはその真逆。『君の名は。』に立ち返ったかのような瑞々しい恋が電車とフェリーと車の旅で育まれ、子供達と大人達の爽やかな邂逅も描かれます。旅のBGMもアラフィフ向けになっているので、いわば昭和歌謡版『ストレンジャー・シングス』。すなわちクライマックスではビービー泣けます。
神戸出身の身としては予告でチラ見せされていた郷里の扱いが気になるところでしたが、意外なスポットがチョイスされていて驚きました。そして何よりビックリなのは伊藤沙莉が演じる二ノ宮ルミ。いきなりあのハスキーな声で登場、彼女が口にするセリフで神戸出身者は郷愁を激しく揺さぶられてもれなく泣くことになると思います。伊藤沙莉、最強です。
声優陣は皆素晴らしいですがやはり主演の原菜乃華と松村北斗の凛とした声は格別。そして主題歌『すずめ』の十明の歌声も身震いするほど美しい。ただRADWINPSの他の曲はパッとしないというか、もう『天気の子』で既に正直聴き飽きた感ありなので、次回作では他のアーティストを起用して欲しいです。
観る価値ありだけど、少し人を選ぶかも?
わりと好評価だったのもあって、IMAXで鑑賞。君の名はも天気の子もどちらもは上映日に観てましたが、少し熱も冷めてたので今回はどうしようかと思ってましたが、レイトショーのIMAXが空いてたので鑑賞。
結果は大満足でした。
君の名はと天気の子とはちょっとテイストの違った物語展開でした。男女2人の物語っていうところは共通だけど、今回は今までの2作品と比べると冒険色が強いのと、刺激も強め。震災を経験していない自分でも当時のニュースとかで観た映像を思い出し、胸がざわつきましたので、経験された方は少し覚悟を持ってみないとおそらく辛い気持ちになると思います。
ここ最近の新海誠作品ってあの世とこの世だったり、日本の昔話とか神話とか、そういうのを元ネタに使ってるようで今回もその流れは同じ。あとは挿入歌の入れ方とかセリフの言い回しとか、そこは新海誠色が今回も出てたので、そう言った点で今までと一緒じゃんって感じる方はいると思いますが、物語としては今までの2作品とはちょっと違った、万人受けはしないかもしれない、ちょっと重めの内容になってます。ただ、この国に住んでる以上誰もが経験するかもしれないことなのでちょっとそこは考えさせられました。
そして今回も様々な地域が出てきます。プチ日本列島縦断の旅で、地元だったり住んでた場所が出てくるとやっぱり胸が熱くなりますね。景色は本当にそっくりそのまま!あ、ここはもしかして!っというところがたくさん出てくるので、転勤族の方とかはそういった違う楽しみ方もできるかも。
最後に見終わって言えることは、明日から、行ってきますとただいまは毎日言おうと思いました。
基本エンタメですが、一部リアルな重さを持つ作品。
新海監督の新作との事で鑑賞。
面白いは面白いのですが、一部評価割れそうな雰囲気もある作品でした。
良かったところとして、ヒロインかつ主人公のすずめがとても魅力的です。
声優さんの演技をはじめ、リアクションやら動きやらで魅せてきます。
キャラ同士の掛け合い等楽しいシーン等も多く、退屈しないで観れるのも良き。
また、新海作品の例に漏れずビジュアル的な綺麗さも健在です。
気になったところは二つあり、一つはストーリー展開の若干の強引さ。
一部キャラの行動に対する説明が不足しているのか行動の説得力が薄く、
脚本ありきでキャラが動かされている様な感じてしまい、若干の違和感が残ります。
もう一つは中盤~終盤の展開について。
宣伝では色々と完全に伏せられている中でのこのストーリー展開は中々挑戦的。
殆どの人は大丈夫でしょうがダメージを負う人もそこそこ多そうな印象です。
今作はエンタメ一辺倒ではなく色んな意味で重いシリアスな面も持つ作品ですので、
「君の名は」の様なエンタメ感を期待すると期待外れな感じもあるかもですが、
そういった面も含めて楽しめる方であればお勧めできる作品だと思います。
すずめくん、東京を救う
村上春樹さんの短編『かえるくん、東京を救う』は、神戸の震災後に書かれた連作集のひとつです。
この映画は、まるで、そのかえるくんを原作として大胆に翻案した。そんな印象を受けました。
以下、この短編小説からの一部要約と部分的な引用。
(原文のままではないので、間違い等あればすべて、私個人の責任です)
主人公片桐はしがない信用金庫の新宿支店の融資管理課の係長補佐。誰もやりたがらない貸出金の回収を担当していますが、時にはヤクザ相手のことも。それでも、黙々と筋道を通して仕事をやり続ける市井人で、〝普通の〟勇気を持ち合わせた人。
そんな彼のもとにある日、突然、かえるくんがやってきて、東京に地震を起こそうとしている〝みみずくん〟と闘うのだが、その闘いにはあなたの勇気と正義が必要だ、実際に闘うのはわたし(かえるくん)だが、君は勝てる、君は正しいと声をかけて欲しい、と頼むのです。
かえるくんは、片桐が煙草をすってもいいか、と聞くと、「あなたのおうちじゃありませんか。ぼくに断ることなんかありません」と答えます。
(芹澤と環の会話のようにも聞こえませんか)
みみずくんは地底に住んでいて、腹を立てると地震を起こす。
実際のところ、みみずくんはなにも考えていない。
彼はただ、遠くからやってくる響きやふるえを身体に感じとり、ひとつひとつ吸収し、蓄積しているだけなのだ。
そしてそれらの多くは何かしらの化学作用によって、憎しみというかたちに置き換えられる。
学のあるかえるくんはこんなことも言うのです。
ジョセフ・コンラッドが書いているように、真の恐怖とは人間が自らの想像力に対して抱く恐怖のことだ。
これ(みみずくんとの闘いのこと)は責任と名誉の問題で、どんなに気が進まなくても、みみずくんに立ち向かうしかない。
命を落としても誰も同情してはくれない。もし、首尾よくみみずくんを退治できたとしても、誰もほめてはくれない。どう転んでも孤独な闘いです。
以上、取り敢えず思いつく中で、この映画とテーマを共有できると思われる部分を書き出してみました。
私には、村上春樹さんのこの小説からテーマを拾い上げ、監督のやり方でそれを表現しているという点では、『ドライブ・マイ・カー』以上のように思えたのですが、いかがでしょうか。
行ってきます。
流石新海誠。
「君の名は。」「天気の子」に続き、テーマや込められた意味のある映画だったと思う。君の名はも天気の子もそうだけど自然や災害をテーマにしていたのに続き今回のすずめの戸締りは伝えたいことがハッキリしていたと思う。今の周りの人や環境は当たり前にあるものではないもの、死は常に隣り合わせにあるもの、それを地震の多い日本では伝えやすいテーマなのかなと思った。そして行ってらっしゃい、行ってきます、色んな人達の思いで扉を通る人々の時間が、扉の向こうには存在するのだと思った。行ってきます、その一言を通って扉の向こうへ行った人に会うのはもうそれで最後になる可能性もあるということ、つまりそれが死は常に隣り合わせにあるということなのかと思い、よくできてるなぁと勝手に思った。
だけど新海誠ならではの、2人の思いが重なるところとか、もう少し楽しみたかった。そうたさんとの関係に少し疑問を持つ部分がありすずめに感情移入しずらかったので。今回も、映像もすごく綺麗だったしRADの音楽良かったです。
今を生きる人へのメッセージ
地震描写に注意〜内容は個人的に普通かな?
傑作でも賛否両論か⁉️
劇場で観てこその作品
あの日、たくさんの人が「行ってきます」と言って家を出ていった。
「ただいま」って言いたかったよね。
「おかえり」って言いたかったよね。
家があるからこそ、そして言う相手がいるからこその挨拶。
体が硬直して内側からエネルギーを一気に引き出された感じ。いろんな立場の人たちの視点から見た震災とその痛み、宮城県民として苦しかった。それでも観れて良かった。美しい映像が素晴らしく悲しみだけじゃない、たくさんの優しさがつまっていました。新海監督に、ありがとうと言いたいです。
また音楽も良かった、耳に心地いいのから不安と恐怖を煽るようなコーラス混じりの楽音まで、まさに体感するような劇場音楽でした。大スクリーンで観てこそですね。
ただ、3作目にしても、ラブストーリーじゃないとダメなんですかね?そこが寂しい。人と人の絆はもっといろいろな形があるので。必ず男女ものというのがなぁ、と。友情ものでも十分見応えあると思うんだけどな。
余計な考察が蔓延する前の初日に観に行けて良かったです。
とても暖かかったです
新海誠監督が苦手なんて言えなくなってしまった
新海誠監督の映画って苦手だった。「秒速5センチメートル」も「言の葉の庭」も。なんなら「君の名は」や「天気の子」も少しだけ苦手。主人公の男の子がうじうじしてるし、話の端々に童貞くささが漂っているから。それはそれで味だし、それが好きって人も多いと思うけど。
でも本作は今までの新海誠作品とは何か違う。映像がきれいなのは今まで通り。違うのは何か。主人公が女子高校生だから?それともロードムービーだから?はっきりコレだ!と言えるものはないのだが、いずれにしてもすずめの成長物語として、大災害を救おうとするアクションものとして、家族愛の物語として、とても素晴らしいものに仕上がっていた。猫(神さま)のだいじんや環さん、芹澤くんのキャラ設定も絶妙。これ、川村元気Pの意向がどれだけ入っているのだろう。全部新海監督がすべてを作っていたりして。なんてこった。新海誠が苦手なんて言えなくなってしまった。
今までの新海誠作品が大好きな人に本作はどう受け止められるのだろう。とても気になる。
新海監督初劇場!
覚悟を感じる最高傑作
君の名は→震災から救う
天気の子→災害を受け入れる
戸締まり→!?!?
色々な意見があるなかで、私は良かったと思います。
3.11に触れるな!みたいな人は観なきゃ良いです。
現実、こういう悲しみを越えて来ている人が多くいらっしゃるのだろうな。。と
災害はこれからもあって、平穏な日常はいとも簡単に壊れる事も知っていて、でも毎日生きているんだなぁと。
これは批判もあるだろうし、震災を忘れないという強い覚悟が無いと作れない。
大事な映画が最高のクオリティで出来たと思います。
一点上げるとすれば、やはり声優は声優さんが上手い。
俳優さんはちょっと違和感出てしまう。
内容が内容だけに、コミカルな部分のバランスも良かったと思う。
久々に何回も観たいような映画だった。
なんでも文句いう人に言いたい。
女子高生は東北を目指す。
2022年。新海誠監督。九州に住む女子高生がイケメンの旅人と出会うことで、災害から日本を守る不思議な仕事に巻き込まれ、運命の恋に落ち、自らの過去と出会う、という話。新海監督の真骨頂である、intimateな二人関係と世界の崩壊、現実にはない光の描写が満載。
九州(宮崎県日南市らしい)から震災があった故郷・東北(宮城県大槌町らしい)へと移動する女子高生が、様々な人に助けられながらなんとか移動していくのは2020年公開の諏訪敦彦監督の実写映画「風の電話」のよう。もっとも、淡々と、一途に、故郷だけを目指すあちら(広島から大槌へ)に対して、こちらはその都度目標が変わって最終的に故郷に向かうことになるのですが、地震と災害がテーマである限り、最終地点が東北になるのは避けがたい。そういう意味で、震災被災地(故郷・大槌)への女子高生の旅、しかも親切な人々の手助け、という同一テーマの二作品ということになる。女子高生は東北(大槌)を目指す。
新海監督は「ほしのこえ」デビュー以来、セカイ系の第一人者とされていたわけですが、大ヒット作「君の名は。」以来明らかになっているのは、親密な異性愛カップルが直面するのはセカイの崩壊ではなくジモト(よくてもニホン)の崩壊であること。タイムトラベルとか気象とか地震とかを扱いながら、そこで問題になるのは日本古来の儀式や言い伝えである。しかもそれを世界に発信するような工夫があるわけでもなく、日本国内に向かって「わかるよね」と目くばせするような仕上がりになっている。なんとも内向的な。しかも、親密な二人の関係よりも前、自分(現在)で自分(過去)を慰める構造になっている。大げさな仕掛けのわりに、物語は極私的な「私」のなかで完結している。ここに、閉鎖的、内向的な現代日本の姿を見出してしまう気がする。
ソータがブサメンの閉じ師でも物語は同じように進んだのでしょうか
偶然出会ったイケメンの閉じ師のソータを追いかけてヒロインのスズメは廃墟を訪れ災いを封じるための要石を抜くところから話が始まります。
この後、いろんな出来事が起きるのですが、閉じ師ソータがブサメンでも同じように物語は進むのでしょうか・・・
まわりくどい言い方をして言いたいことは結局何かというと、ヒロインのスズメが自分自身を危険に晒してまでソータの復活に励む動機がとても弱いということ。
ヒロインに限らず、登場人物の動機についてはどれも弱いです。経済的な見返りなしに代々閉じ師家業に従事する宗像家の方々をはじめとして、愛媛の女子高生も神戸のスナックのママも東京の教員志望の人も・・。
来場者に配布されたパンフレットに新海監督は悼む気持ちを表現したいと書いてありました。
震災を絡めるとどうしても作風が重くなって避ける人も出てくるでしょう。それにもかかわらず震災を描いた点は評価しますが、さて、どこまで観客に受けるのでしょうか・・・
昭和歌謡とあの時を忘れないように、
全841件中、761~780件目を表示