すずめの戸締まりのレビュー・感想・評価
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新海作品のロードムービーはワクワクする
新海作品でお馴染みのとても正確な街並みの描写が今回も世界観にのめり込める。
九州に始まり日本を横断していくロードムービー的要素はシンプルにワクワクしながら楽しむことが出来る作品であった。
一方で登場人物は天気の子、君の名はなどと比較すると少し少なく、話の奥行きはあまり深くないものにも感じた。
物語冒頭から大きな展開を作り観る人を一気に引きつける狙いがあるのかなと感じつつ、こうでもしないとTikTok などのショート動画に馴染んだ世代には耐えれないものなのかもと思い、よく考えられてるなと感じると共に、マーケティング要素が強すぎて少し醒めてしまう自分もいた。それは作品内に協賛した企業の商品が正確に入ることにも同じことを感じた。
あるのは、現代の若者
ファンタジー要素が強
過去の自分に向き合い、未来への約束を
他の映画の前に入る予告で見た程度で予備知識ゼロでの鑑賞。
「君の名は」「天気の子」という前2作も映画館で観たが、
今回も綺麗な描写、そして深い話だなぁ~、と。
宮崎からスタートした主人公の鈴芽が各地を回る。
愛媛のあと、神戸に行くときに「え?ひょっとして・・・」と思い始め、
さらには東京、そして最後は宮城。
たびたび出てきた、3.11や12年前って、東日本大震災じゃないか。
テーマがテーマなだけに、ちょっとびっくりしてしまった。
最後は12年前の自分と向き合うために、宮城に向かったのか。。。
それにしても、日本神話とか詳しくないけどすごい話だな、と。
日本神話と震災、厄災を絡めちゃったのか。
鈴芽の姓は岩戸、って、天照大神が隠れる岩戸とかけたのか。
あれは逆に岩戸に隠れているのを引っ張り出された話だったけど、
今回は後戸に震災(厄災)=ミミズを閉じ込めちゃうんだな。
イケメン草太さんはほとんどイスのままなわけで、ちょっとウケた。
イスなのに寝起きの悪いところも人間らしくてよかった。
草太さんの姓は宗像、これも神様だな。。。
そして、あのネコ、ダイジン。
最初は迷惑な奴だと思ったけど、そこはダイジン=大神なんだな。
ちゃんと開いた後戸に案内していたとは。
最後、要石に戻ってしまったのは残念でもあるが、それしかないよね。
いい味出していたのは、草太さんの友達、芹沢さんかな。
ナツメロ好き、壊れたオープンカーもいいけど、
貸していた2万円、ホントは借りてたのかよ!笑
ルージュの伝言が流れてきたときは、別の映画を思い出したぞ笑
テーマがテーマなだけに、意見が分かれそうな映画ではあるが、
とてもいい映画でした。
もう一度観ると、捉え方も感想も変わるのだろうか。
すずめの戸締まり
監督の意図したテーマに合わせて作り上げていった結果、小さな様々な要素が無理に押し込められた感じです。主人公が突然理解できない世界に疑問もなく参加してしまう。突然現れた少女をほぼ疑いもなく受け入れてしまう市井の人々。大きなテーマなのに結局恋愛に収束してしまう結末。特に納得出来なかったのは、後半、姉の死を受け入れ姪っ子を育てる覚悟をした妹である叔母が、主人公に向かって言うセリフです。震災を経験した方々、関わった方々からすれば(私もそうですが)、心をえぐられる、決して第三者が軽々しく言ってはならない言葉です。正直言ってその場面では怒りを感じました。映像は綺麗ですが、それだけです。
設定に不満
個人的にはイマイチだった。
すずめの性格や行動力がご都合主義過ぎる気がする。
まあ多かれ少なかれフィクションはそういうものだけど。
新海誠作品はいろいろ見たけど、ストーリーはともかくビジュアルと音楽が良い。
でも本作はあんまり良さを感じなかったな。
理由は分からない。
都市生活を描くほうが得意なのかも。
もっとも不満なのはミミズが地震を起こすという設定。
311がミミズのせいという描写はないけど、そう受け取れなくもない。
ここは明確に否定して欲しかった。
実際に多数の死者が出た災害の原因をファンタジーなものにして欲しくない。
震災を扱うなという訳じゃないけど、これは本当に良くないと思う。
良かった点を。
声優は意外にもと言うと失礼だけど、みんな良かった。
エンディングで道中出会った人と再会するシーンが心温まる感じで良かった。
嫌な人のいないロードムービー
地震がテーマになったロードムービー。
のっけの家の上になった船が3.11を想起させるなと思って観ていたら舞台が宮崎に。
あれ?と思っていたら巡ってそこに終着した。
廃墟 人の思いの途切れた扉から場所から災厄が溢れ出す。ダイジンを追いかけて各地の扉を閉じていく、ロードムービー。
出会う人たちが、良い人ばかり。土地の雰囲気を感じさせながら旅をしていく。愛媛、神戸と絡む相手が女性で、保護者抜きでは男性と絡まない ただ優しさが先に立つ感じ。
地震を抑える要石。地震といえばナマズだけど、ここでは蚯蚓。出現とそれからタイムアウトになるまでの要素をわかりやすく描けるのもあるか。
力は押さえつけられるのみ。実際の地震も力を蓄えつつ暴発を待つ状況。来る南海トラフ、首都圏直下 etc
まずは凌いでるだけ。要石たちの人のチカラで というのはどう言う思いなのか。
単に作品内のすずめたちの? 防災他の対策?
天気の子の時は多摩川氾濫とか、作品制作期間を考えると無関係な筈なのにタイムリーだったけれど、今回も関東住みとしては茨城震源の地震が頻発してるタイミング。現実との親和性を感じた。
関係ないけど都心 お茶の水あたりの地下は、水没したこともあるし、江戸時代のこの辺りの地形を思うと神社はあり得ないなぁ。夢はあるけど。
地下鉄の昔の地下ホームとかそっち系かと思って観てた。
最後 戸締まりをしたところで終わりも良かったと思ったけれど、エンディングとともにロードムービーの帰路、おばさんと一緒の挨拶まわりをつけたのは、これはこれでありがたく、娯楽(と言ってしまうと 震災にトラウマを抱えた人に語弊があるが)として完結させた気がした。
天気の子のオープンエンドも好きだけど、これはこれで好きだ。
お決まりの中だけど
今日2回目の映画館。TOHOシネマズ日比谷の新しくなったレーザーIMAXでみる。
お決まりの、災害発生→主人公がそれを防ぐ→万事解決めでたしではなく、好きになった人のために、さらに危険を冒し結局最後はハッピーエンド。
でも新海誠の絵は細部にこだわってて楽しい。たとえば、主人公のすずめが自転車で坂を下るシーン。田舎だとアスファルトはガタガタしたりする。それがちやんと表現されている。都内の描写は言わずもがな。
ただ、強力で色んな会社の名前が出て来たけど、あれって看板に出た会社、ブランドの会社に了解を取ったのかなあと思った。信玄餅の桔梗屋が中に出たけど、とくに信玄餅を登場人物が食べた記憶がない。
エンドロールで、作画とかけっこうな人数が中国から参画していた。ハリウッドと同様に日本のアニメも中国資本、人的な協力なしには、成り立たなくなってきてるのかな、と思った。
1126加筆
ダイジンがお前は、じゃまと草太を椅子に同化させたのは、すずめが、小さい頃後ろ戸を開けたままで、それを閉めに行かせようと考え、そのためにも東北のその場所に誘導したかった。草太がいると、東北のその場所にたどりつけないかもしれない。ひょっとしたらすずめのお母さんの化身がダイジンだったのかもしれない。これ以上、過去を引きずらせないために。
だから、またダイジンが要石になる直前にダイジンはすずめの子にはなれなかったと言わせたのも、母親の化身部分がそこに混じっていたからではないか?
母親が娘の子どもになれるわけがないのだ。
ようやく母親について語り始めた新海誠
すずめの母親はすずめを助けるために死んだ設定もあったのでは。故に「(自分のために犠牲になったことは)分かっていた」というセリフになる。
黒猫はすずめの母親という設定もあったかも。だから、環が何かに取り憑かれたようになったときに現れて祓ってくれた。
新海誠は母を描くべき場面を避けている。次回作以降は母性をどのように描いていくのかを楽しみにしたい。
新海誠大傑作です!
よかったです!
皆さま大変ご無沙汰しております。(って誰に言ってるんでしょうか?)ベイビーブローカー以来の劇場での鑑賞なので猛暑から秋を通り越して♪出逢いは風の中♪木枯らしに抱かれて(懐かしいなぁ、最近のZ世代にも80年代アイドルが見直されているとこの前耳にしました!)の季節になってしまいました。
巨匠 新海誠監督待望の最新作ですから賛否両論あって当然かと思います。私個人は『賛』でした。期待通りの美しい映像!相変わらずのRADWIMPS の音楽との見事なマッチング、何かと難癖をつけられがちな声優陣の選択。総合点としては間違いなく期待以上だったかと思います。
『否』の皆さんはあまりにも期待を膨らませすぎたんじゃないかと。新作発表ごとに最高得点を取り続けるなんてどんな天才でも無理だと思うんです。
率直な感想として悪い人が全然でてこないロードムービーって感じで人間の良いところを描けた素敵な作品でした。知らず知らずのうちに涙している自分がいました。確かに3.11を扱っていることはあらかじめ告知しておけば批判は減ったかもしれませんね。ある意味3.11に戸締りするんじゃなくて風化させない(戸締りしない)ことを監督は考えていたのではないでしょうか?
災害三部作(誰が名付けたんでしょう?!)の中でどれも甲乙つけたがい仕上がりです。圧倒的な迫力だけでなく鈴芽と環の心の奥底での改めての信頼回復は心からホッとしました。鈴芽がお母さんを探すシーンはハウルとソフィの幻想のシーンのようでした。
主役のお二人も正直期待以上の出来だったと思いますし脇を固める深津絵里さん(ダイワハウスのリリーさんとの夫婦役のCMシリーズ大好きです。)伊藤沙莉さん(太めの声の女優さんは苦手だったんですが彼女がその悪い先入観を払拭してくれました。)神木隆之介さん(『坊』の頃から好きでした!)万全の体勢ですよね。芹澤さん、カッコよかったです。彼のドライブ中の選曲にはやられてしまったどハマり世代です。
是非とも映画館の大画面、大音響で鑑賞をお薦めします。
追伸
確かにどの劇場も一日20回前後の上映回数はどうかと思いますが、残念ながら土曜日明2番上映とはいえ劇場内には20人くらいしか観客がいなくて名古屋地区の映画興行に不安を感じざるを得ませんでした。東京は満席なんでしょうか?
個人的には好みでない作品
泣けた~
上映初日に観に行きたかったけど、
仕事の都合で今日になりました。
いつもの映画館は、現在1日15回上映。
朝1の8:00、240名ほどスクリーンで鑑賞。
半分くらい埋まっていました。
邦画で一番好きな映画は、君の名は。
映画を好きになった記念の作品。
君の名はが強烈だったので、天気の子は期待が大きすぎて、いまいちだった。
今作はどうかなぁとワクワクドキドキ。
半分ぐらいからずっと泣いていました。
君の名は号泣だったけど、すずめの戸締まりも
心が暖かくなる作品でした。
途中、ナツメロとか言われていた曲は
おばさんの世代の曲で、懐かしく、
すずめの故郷に帰る高速場面が近所だったので
ちょい嬉しかったです。
次はI'MAXで観よう
そして、今から君の名はを観ます。
そしてあすからの仕事を頑張ります
昭和歌謡
映画館で観て良かったと思える作品
なんと新海誠監督の作品を初めて観たのですが、すごく良かったです。
評判通り映像もきれいで、音楽も良かったですが、
何よりストーリー、終わり方がとても好きでした。
中でも一番印象的だったのは、東北に向かう道中のサービスエリアで叔母の環さんと言い争いになるシーン。
家族っていいことだけじゃなくて、嫌なこととか、お互い色んな想いを抱えていて、でもそれが全てでもなくて。
ファンタジー映画の中でこのやり取りがとてもリアルに感じられました。
特典本を読んで「観客の中にも、この映画を観ても震災を連想しない方が1/3から半分くらいはいるんじゃないでしょうか。」という記述に衝撃を受けました。
もうそんなに年月が経っているんだなと。
とは言え、西日本に住む身としては、東日本大震災をどこか我が事としては考えられていない後ろめたさもずっと感じていたので、「場所を悼む」そこにあった生活や人々や想いを悼むというこの映画の内容に、ある種自分にはできないことをやってもらえたという尊敬だか感謝だかの気持ちが湧いてきて、本当に「閉じ師」という人たちが存在したらいいのにな(大変な仕事だけど)、と思いました。
ダイジンのお役目
新海誠監督ならではの圧巻の映像美ですね。個人的に前作2作より好きですが、ダイジンのことを思うとすごく辛い。色々疑問点も多い。
○ダイジンが可哀想
うちの子になる?ってすずめが聞いたからその気になった、と思ったら、好きな人が要石になるの嫌だからお前が要石に戻れ!って…
結局ダイジンは要石に逆戻り、役目を再度押し付けられ…か、かわいそう…。
元々すずめが抜きさえしなければこんなことにはならなかったのに、気をもたせられたようにしか思えない…残酷。
作中の要石の役目にポジティブなイメージがないのに(人柱にしか見えない)、そのイメージを植え付けたまま物語は進んでいく。結局誰かに押し付けるしかないんだなというモヤモヤが残る。
○もう1つの要石はなぜ封印が解けたのか?
ダイジンが封印を解いたのか、ひとりでに解けたのか。どちらにせよ納得のいく説明が欲しいが、視聴者の想像にお任せだろうか?
○芹沢くん被害者すぎでは?
ろくに説明も受けず長時間ドライブさせられ、擬似親子関係のもだもだに巻き込まれ、車の扉壊れ。
すずめとタマキはもっと感謝するべきだと思う、本当に。
ていうか作中の人物、初対面の女子高生に優しすぎ。笑
○被災者への配慮
非常にセンシティブな題材を取り扱った今作だが、配慮は足りていたか?
特に実際に起きた被災を取り扱ったのだから、視聴者の中には大切な人や帰る場所を無くした被災者もいることは想定できたと思う。
「人がたくさん死ぬね」って台詞を、ダイジンに言わせる必要があったか?本当に、本気で、被災者のことを考えてくれていたか?
背筋が凍りつく思いだった。皆どんな気持ちで、このシーンを見たのかな。
被災を悼むシーンもたくさんあったのに、この台詞のデリカシーの無さに、作品の意図がわからなくなってしまった。
猫と椅子の追いかけっこ?その先にあるものは?
意味不明な事だらけ
私が大人になりすぎて
映像や音楽は素晴らしかったです。
没頭してしまうくらい、素敵な世界観でした。
肝心のストーリーは伝えたいことが多すぎて、最終的何を伝えたかったのかなと考えています。
正直、『初めて恋を知った少女の成長を描きたいけど、それだけでは大衆受けしなさそうなので、アドベンチャー要素を足しました』という印象を受けました。
このアドベンチャー要素に問題があり、映画全体を浅くしています。
•なぜミミズなのか
•なぜ要石は猫なのか
•サダイジンとダイジンはどういう経緯で要石になったのか
•なぜサダイジンも要石の役割を離れたのか…要石は自由に動けるの…?あれダイジンはなぜ…?
•常世が荒れたのは要石達が持場を離れたからなのか
と挙げればきりがないですが、主人公も疑問を持たずすんなりと受け入れてしまうため、特に説明もなくアドベンチャーが8割を占める物語は進行していきます。
おそらく色んな年代の女性と少女の成長を描くため、アドベンチャーの背景は省かれてしまったのかなと思われます。
これに恋愛を絡めるから厄介で、主人公は恋愛を優先して、要石であるダイジンを粗雑に扱います。
要石は戸締師にとって重要な存在、お互い尊重しなくてはならないパートナー的な存在のはず。ところが主人公は自分の好きな人に呪いをかけた、元要石ダイジンに心ない言葉をかけます。何年も要石にされてたダイジンにもっと寄り添って欲しかった…。
この行動で『とても大切なことをやっている』と話していた主人公の戸締師への思いも、好きな人によく思われたかっただけなの?と意思の浅さを感じさせます。
恋は盲目ということでしょうか?
キャラクターの設定も変に現実味を帯びさせようとした結果、現実感がなくなっています。
•戸締師だけでは生計がたてられないから、教師を目指す主人公の想い人、草太。
→この設定は必要でした?教師になったら戸締師の仕事する時間取れないような…教師って有休取りにくいですよね?休日も部活の練習とかあるかもですよね?
せめて、大学教授や研究者を目指してくれ。
•椅子になった草太は教員採用試験の2次に参加できなかった。
→人間の姿でも長髪大丈夫なの?友人も髪の色とピアスの穴隠せたのかな?
最近の教員採用試験は自由度高めなのか…
主人公と草太は最終的に相思相愛だったみたいですが、4日くらいしか過ごしてないし、何があったのでしょうか。リアリティーショーと同じでカメラが回っていないところで色んな物語が生まれていたというこでしょうか…。
お互い一目惚れっぽいのですが、恋ってこんなものだったのかな、大人になりすぎて思い出せない。
タマキさん(育ての親)の心の内の葛藤や主人公の幼少期の回想は良かったです。
私が大人になりすぎて親目線の内容にしか感情移入できなかったことが原因かもしれません。
今の私にはついていけませんでした。
シン・ほしのこえ 求ム
1958年、東アジアのとある大国ーー大躍進を掲げる時の指導者の号令の下、スズメたちへの恐るべきジェノサイドが始まった。家族を失いながら密輸船に紛れ、辛くも逃げ延びた一羽のスズメは極東の島国へと辿り着き……
という話をタイトルから想像したのですが掠りもしませんでした。
これは半分冗談半分本気で、東宝で跳ねてからの3作目、明確な変化が求められるタイミングだったと思います。
おそらく新海さんも(相棒の敏腕プロデューサーも)意識していたことで、所謂「きみとぼく」的な世界から家族や血縁を越えて、職場や実社会にまでコミュニティの範囲を広げたり、挿入歌のエモさで突進する得意技を封印したりと意欲的だったと思いますが、却ってキャラ造形の薄さがこれまで以上に露呈した気がします。畢竟、キャラクター当人が初登場時から自分のロールを認識しており、予定調和で立ち回っているように見えてしまったのは非常に辛い。
美麗なアニメーションという最大の武器は健在ですが、お客は呑気で贅沢なことにいずれは必ず飽きが来る。最近はNetflixオリジナルはおろか地上波でもハイクオリティな作品が観れてしまう(のは、新海作品がバカ当たりした影響も一部ありそうですが)。前2作と比べ、素人目には特段アニメ表現が進化したようには見えなかったです。
物語の終盤、汚れた服から決意表明のように制服に着替えた場面。意味ありげでしたが意味が汲み取れませんでした。学生の足元の象徴たるハルタのローファーは途中打ち捨てているのに。
遥か遡って『ほしのこえ』ではどうだったでしょう。宇宙軍?のロボットに乗って戦っている状況で、頑なに制服を着用し続けるヒロイン。あの単なる記号性と利便性と作者の思い込みが混濁したスレスレな表現が、えも言われぬ空気を醸していたのです。
かくなる上は庵野プロデュースでシン・ほしのこえを作る時が来たのです。主役の声をもう一度自ら演じ、ソウルメイトの天門を呼び戻す。ヒロイン役は新津ちせにするとなかなか気持ち悪いと思いました。
しかしこれでは売り上げは悲惨な結果をもたらすこと請け合い。古参を気取る愚かな人々の世迷言には耳を貸さず、これからも猫好き敏腕プロデューサーと二人三脚で突き進むが是だと思います。
「天気の子」よりは面白かったが・・
新海誠監督の最新作。
観終わった感想はタイトル通り。
「天気の子」はあまりにセカイ系的な展開に感情移入できずに終わった。この作品も「Boy meets Girl」作品ではあるものの(正確には「Girl meets Boy」)、作品のテンポが早くて最後まで飽きることなく観ることはできた。
ストーリーは、古事記の天鈿女命(あまのうずめのみこと)から名前を取った主人公の鈴芽(すずめ)が、誤って扉(天岩戸)を開けてしまい、そのミスの回収のため日本中を旅して回るロードムービー的な作品。一応、旅を通して心理的な成長をしつつ(?)、話が進んでいく。最後は伏線回収して終了。
ただ、他のレビューにも書かれている通り、納得できない箇所が多すぎる。
- なぜ、すずめはあそこまで叔母さんに対して頑ななのか?
⇒ 母親の記憶より、叔母さんとの記憶の方が多いはずだよな・・なぜ今だにあんなにギクシャクしてて、あそこまで頑なに避けようとするのか?ただの反抗期?
- なぜ、すずめは扉が開けられるのか?
⇒ まさか誰でも開けられる設定なのか、あの扉?
- ダイジンの行動原理がわからない
⇒ 神様だから気まぐれ、って設定だけでは押し切れないだろう・・最後まで本当によくわからんかった
- ダイジンがSNSで見つかりすぎ
- ロードムービーにしてはお金の心配がなさすぎ
- 叔母さんが御茶ノ水駅ですずめと偶然出会うとかありえん
- サダイジンは東京の要石だったはず。ダイジンはすずめが引き抜いたんだが、なぜ、サダイジンの要石は自然と抜かれたんだ?
- で、なんで、サダイジンは叔母さんに取り憑いてる?
- 叔母さんとの和解が早すぎ
- 3.11を扱っているが、自然災害とみみずの起こした地震の区別が付かない。3.11もみみずが起こしたって設定なのか?
⇒ その設定だと、3.11も閉じ師が防げることになってしまうが。。
- 常世(とこよ)の設定が雑
⇒ なぜ1度しか行けないのか?過去行ったときと同じ扉ならまた行けるのもよくわからん。。
- なぜ、4歳のすずめは常世に行けたのか?
これは色々と詰め込みすぎた結果なんだろうな・・劇場でもらった「新海誠本」にも書いてあったけど、最初から描きたい「テーマ」が決まってたみたいだから、ストーリーや設定の辻褄合わせが出来なくなったんだろうね。
大枠のストーリーとして、すずめが草太(そうた)に一目惚れするのは、まぁ、一目惚れってのはそんなモノだから良いだろう。恋愛要素は新海作品には必須だし。その人のためなら死んでも良いと思えるかどうかはキャラ次第。だいぶ無理はあるけど。
しかし、現実の3.11を扱う必要があったんだろうか?とは思う。
2011年に起こった3.11だが、すずめは当時4歳という設定。で、今高校2年生の17歳だから13年前ってことになる。2022年公開作品では年が合わなくなる。現実とリンクさせることで、変な齟齬が生じてしまっている。
地震をみみずという妖怪っぽいモノの仕業とするのはフィクションだから良い。閉じ師という仕事が成立している世界設定だし。ただし、この世界設定だと、全ての地震はみみずの仕業=閉じ師が解決できる、となっていないとおかしい。自然発生の地震もあるし、みみずが原因の地震もある、とかだと、そもそも閉じ師は必要なくなる。被災者にとってはどちらも同じなので。その設定の甘さに、現実の3.11を変な形でリンクさせてしまっている。それがどうしても気になってしまった。
(3.11を扱うことに対して異論はない。表現者が時代に影響受けるのは当然だし。ただ、「ちゃんと扱ってますよ」というアナウンスは必要。見たくない人はいるだろうから)
あと、変にジブリっぽいのも気になった。
最後のエンドロールなんか、絵のタッチも含めて、まんまトトロのエンドロールだったし。スタジオジブリは制作部門が閉鎖されてアニメーターが別スタジオに行っただろうから、新海監督の元に集まったんだろうか?森や林の自然タッチもジブリっぽかった。けど、新海作品にジブリ要素は求めてないんだよな・・。宮崎駿監督の代わりは誰にもできない。庵野監督や神山健治監督のように、もっと独自路線(オリジナリティ)を貫いてもらいたい。
最後に、自分はRADWINPSは好きなんだけど、流石に毎回同じだと飽きてくるな。。
次回作は別のアーティストにしたり、歌の使い方にしてくれると、もっと作品を楽しめると思う。
色々書いたけど、それでも「天気の子」よりは面白かったので3.5点。
0.5点は芹澤が押し上げてくれた点だと思う(笑)。
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