劇場公開日 2022年11月11日

すずめの戸締まりのレビュー・感想・評価

全1272件中、1~20件目を表示

4.0新海誠の本気

2023年1月17日
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鑑賞方法:映画館

単純

興奮

幸せ

2023年の初めに鑑賞。
集大成ということもあって、新海誠の本気が伝わってきた作品でした。

これまでは背景と挿入歌を強調したものが多かったですが、今作はストーリーに力が入っている印象を受けました。扉から災いが広がっていく光景はコロナ禍を連想させ、そこに過去に起きたあらゆる大震災を「これでもか!」と思うぐらい詰め込まれていました。そのため、今まで以上にスケールが大きくなっていました。
このときは驚きや恐怖など、自身の感情がジェットコースターのように激しく変化しました。それと同時に穏やかな日常は長く続かず、後戻りできない現実を乗り越える必要があるように捉えました。ここから、何事もない日常を過ごすことがどれだけ幸せなのかを改めて実感しました。

今回の登場人物も個性的でした。主人公の鈴芽は表情がとても豊かで、彼女の仕草を眺めているだけでも楽しめました。また、椅子に姿を変えられた草太も、彼の言葉やコミカルな行動につい笑ってしまいました。そんな二人が九州から東京までの旅を通して様々な人と出会い、それぞれの現実と向き合いながら成長する姿に感情移入できました。

気になった点としては、繰り返しや急展開が多かったことです。前半は日本各地にある災いの扉を閉めることが主なので、その展開が何度もあったため単調に進んでいるように見えました。
また、全体的にテンポが速いように感じました。これは長く視聴するのが困難な人でも見やすいようにしているかもしれませんが、個人的には後半から急激に変化する登場人物の心情に納得することができず、「あれ?」と思うような違和感を覚えました。

それでも、一つの物語として綺麗に成り立っており、必ず明るい未来が待っているメッセージ性が伝わってきた映画でした。新海誠が好きな人なら間違いなく楽しめるので、この機会に観に行くことをおすすめします。

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Ken@

4.5みんな、いってらっしゃい

2022年12月8日
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猿田猿太郎

3.5忘却への危機感に動かされた攻めの震災描写、だからこそ賛否あって自然

2022年11月17日
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鑑賞方法:映画館

 新海監督は、10代20代の世代と東日本大震災の記憶が共有できなくなってゆくことを恐れて、今回あえて直接的な表現に踏み込んで本作を作ったという。
 震災のインパクトは当時日本にいた人間にはみな刻まれているが、その時の個人的経験や心に受けた影響はひとりひとり違っているはずだ。現実の事象に触れる作品を見る時、そういった個別の記憶の作用から逃れることは難しい。その感想が作品の出来を超えてさまざまになるのも当然のことだと思う。
 映画レビュー全般に言えることでもあるが、このような性質を持つ本作は特に、他のレビュアーの自分と違う評価を安易に貶めるということはあってほしくない。
 当時幼な過ぎて、大人が受けたほどのインパクトを心に留めきれなかった年齢層に訴求する作品を見て、今も強烈な記憶を抱えた客層の反応が敏感になるのは十分あり得ること。もしそこから批判が生じても、監督は甘んじて受ける覚悟を持って本作を作ったはずだ。
 監督の12歳の娘には、震災にまつわる記憶が全くないという(考えたら当然だが)。そういった身近な若い世代から、監督は震災体験が風化する危機を肌で感じた。ダイレクトな映像表現はその危機感の表れとも言える。

 ただ、インタビューなどから伝わる監督の覚悟と、東日本大震災の直接的な描写があることにほぼ言及しないプロモーションには何だかズレを感じた。地震描写や緊急地震速報についてあらかじめ注意を促すなら、直接的な描写のことも合わせて言及しておいた方がよかったかも知れない。見る側に抵抗があれば鑑賞を回避するか、あるいは心の準備をするかという対応の余地が出来て、ネガティブな反応の内容もまた違ったものになったのではと思う。
 全然別の作品の話で恐縮だが、以前ある飛行機事故の生々しい描写を含んでいるのにプロモーションでは意図的にそのことを隠した舞台を鑑賞したことがあって、我ながら意外なほどショックを受けた経験がある。人にもよるだろうが、受け身を取る準備をさせてもらえるかどうかの違いは結構大きい。

 個人的には、今回あらかじめ他の人のレビューなどで震災描写について把握していたこと、作品の外ではあるが監督の意図を知れたこと、エンタメとして映像・音響中心に相当質の高い作品であること(重いテーマだからこそキャッチーな要素があることは大切だと思っている)から、本作を概ね好意的に受け止めている。「君の名は」「天気の子」より若干ジュブナイル感が薄らいだ分むしろ見やすかった。
 ただ、本作によってあの苛烈な震災の記憶を、監督の目論見通りに若い世代に伝えていけるかというと、正直よくわからない。私がターゲットから外れた世代だからというのもあるだろうし、そもそも本作はあくまで、過去になりつつある震災の記憶に目を向けさせる呼び水のような位置付けなのかも知れない。
 母を亡くした鈴芽の孤独、彼女を引き取った環の秘めていた心情、普遍的に訴求力を持ち続けるのはこの辺りの描写だろうか。
(環がぶちまけた本音(操られてはいたが本人もそれだけではないと言いつつ認めている)は、心理描写としては一番生々しくて重い場面のひとつだったが、さっくり解決したのは少し拍子抜け)
 暗がりで燃える街並、ビルに乗り上げた船、こういった風景描写は当時実際の体験や報道映像で耳目に触れ脳裏に刻まれている年代にとっては、記憶通りであるがゆえに異様なほど生々しい。しかし監督の危惧通りこの臨場感もまた、世代の移ろいとともに古びたものになってゆくのだろう。想像よりずっと早く。

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ニコ

5.0揺るぎない普遍性を持った名作の誕生

2022年11月12日
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本当に素晴らしかった。この可愛らしい響きを持つタイトルが、ひとたびスクリーンという扉をくぐり抜けると、途端に深い意味合いへ変わる。冒頭差し込まれる記憶。その全てが荒廃した様子から、本作がやがてどこへ行き着こうとしているのか、我々は自ずと気付くはずーー。しかしそれにしても猫を追いかけ、すずめと椅子が日本各地を転々としていく筆運びには心底唸らされた。所々で宮崎作品の記憶が不思議と蘇ったりも。そこで描かれる人情模様、巻き起こるファンタジー。二人は戸を締める時、かつてそこにいた人々の暮らしを強く思い浮かべる。そういったささやかな日常がいかに掛け替えのないものであったか。この主題はラストに向け大きな響きとなり、我々はすずめの勇気と行動を応援しつつ「決して忘れまい」という思いを新たにする。世界が揺れる今、これは日本だけの物語とは言えなくなった。揺るぎない普遍性を持った作品として深く広がっていくはずだ。

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牛津厚信

4.0「歌」が全面に出ていた前2作品とは異なり、勢いで物語を展開させるのではなく「3.11」というリアルに向き合う意欲作。

2022年11月12日
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「君の名は。」と「天気の子」の新海誠監督作品に共通する独特な特徴に、月刊オカルト情報誌「ムー」の登場シーンがあります。 確かに、2作品とも超常現象的なものが題材となっています。
そして、本作では、「地震」をオカルト的な捉え方で表現しています。
オカルト情報誌「ムー」のような発想をPOPなアニメーション映画として「エンターテインメント作品」に仕上げる、というのは容易いわけではなく、独自性のあるアプローチだと思います。
さらに本作では、前2作品とは違い、「歌」を全面に出すことをせず、主人公の「すずめ」と「草太」が猫を追って旅をすることをアクションシーンなどを織り交ぜながら、会話をベースに物語が進んでいくので本領が試される作品と言えます。
作画や背景のクオリティーは、良い所に落ち着いてきた印象でした。
ただ、リアルに近付こうとするほど、不自然さが同時に見えてしまう難しさも出てきます。
例えば、最初の「すずめ」が登校中に引き返して水の張った扉のところに行くシーンは、宮崎駿監督作品であれば、せめて靴下は脱いでいたと思われます。
また、「すずめ」と「草太」が出会うシーンも印象的で良いとは思うものの、急な坂を自転車で下る「すずめ」が「草太」の姿を見て、顔を赤らめ「綺麗」とつぶやきます。ただ、その直後の映像は、「草太」と「すずめ」の位置は、かなり距離があり、容姿どころか性別も判別できないような状況になっています。
物語の展開として「1匹の猫を追いかけて旅をする」というのがあり、ここは「#」が付くことでSNSで追うことができるとなっていますが、論理的にリアルに徹し切れていない面が見えてきます。
それは、世の中の人にとっては「ただの1匹の猫」であって、「話す特別な猫」ではないからです。
もし後者として物語を進めれば、「話す猫」は注目に値するので、誰もが気になります。
ところが物語は前者で進めているため、仮に誰かがSNSで写真をアップしようと、世の中は無関心で、ましてや、それを瞬時に「すずめ」がスマホで見つけることには繋がらないからです。
このような脚本や物理的な考察の部分は、気になる点が散見されます。
とは言え、雰囲気で見るようにすれば、エンターテインメント作品としては成立していると思います。
そういう視点では、「君の名は。」のようにリアルさからは遠い作品の方が、面白く感じる面があると言えそうです。

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細野真宏

タイトルなし(ネタバレ)

2025年6月15日
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とまとまと

2.5恋愛と死との関係がテーマの壮大な物語ではあるが平坦なストーリー。

2025年6月10日
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女子高生の主人公が朝の通学途中に謎の青年に偶然出会い事件に巻き込まれ旅をしているうちに日本の危機を救い主人公は自身の過去を思い出すストーリー。この映画は起伏の少ない平たんな一直線の道路のように淡々と都合よく話がテンポよく進んでいく。主人公の恋愛の気持ちがわからず。2.5点。

私は主人公が謎の美青年を見た後に空に大きなミミズを見る場面は思春期の妄想だと思ったのだが実際あの大きなミミズは思春期からの湧き出るように発生する止まらない性欲を表していると思う。鈴芽と草太は扉からあふれ出る性欲を二人で止めるがこれは性欲を二人で発散したと解釈できる。死の世界である常世から扉を通って現実世界に出てくる大きなミミズは巨大な性欲と巨大な死(地震や災害などでの大量死)を表現している。なぜ性欲の放置が大量死と関係するのかという理由は 、恋愛による性欲の発散がない場合は恋愛が存在しないということなので子孫が生まれなくなりそれは人類の滅亡につながる大量死と同じ事となるからだと思う。愛し合う二人による恋愛のみがミミズ(性欲)を退治する方法であり恋愛をしないでミミズが放置されると子供が生まれない(人類の大量死につながる)ということである。大きなミミズは日本人の性欲であり日本人の恋愛がなく性欲が放置されると生まれるはずの大勢の子供が生まれない。それは災害級の大惨事に匹敵する。大ざっぱに言うと鈴芽と草太は性欲を放置せず恋愛をして子供が生まれるようがんばっている。

結論:鈴芽の恋愛と母の死との関係がテーマの壮大な物語ではあるが平坦なストーリー。

追記:
なぜ人は恋愛するのか。そして性欲はなぜあるのか。
それは人は死ぬ事を知るからだと思う。人は人が死ぬことを知りそれゆえ恋愛し性欲を獲得する。鈴芽の場合はあの扉の世界で母の死を知り理解して同時に草太との恋愛が生まれたと解釈できると思う。常世(死の世界)からミミズ(性欲)が発生するのは人が死を知ることと関係がある。もしも人が不死身なら恋愛はたぶん起きない。

まとめ:
人の死の意味は他人に死を教えるということである。他人の死を知った人は自分の死も知り同時に性欲が湧いてくる。発生した性欲を抑えるため恋愛をする。やがてその人も死に他人に死を教えて他人の恋愛の起点となるという生と死のサイクルが本作品の主題(メインテーマ)であろう。

ストーリー:
女子高生の鈴芽は過去の震災での母の死をまだ心の中では認めていなかった。ある日イケメン大学生の草太と偶然出会い自然に性欲が湧いたがそれが何かを知らなかった。出来事がいろいろあってやっと母の死を認めることができた鈴芽は草太と恋愛をスタートしたのだった。ラストシーンあたりで鈴芽が「行ってきます」と行ったのは実家を出て独立したことを意味しており「おかえり」と草太に言ったのは新しい家庭を築こうとしていることを意味する。

追記その2:
現代では恋愛と死の関係の密接さは古代よりは薄れている。現代では映画などのメディアが多感な時期の若者に対し恋愛をファッションとするよう扇動しているように見える。

追記その3:
本作品はキリスト教の聖書の創世記に書かれている最初の人類アダムとイブの最初の子作りの話がモチーフであろう。二人以外誰もいない廃墟で鈴芽と草太つまりイブとアダムは子供を作るための作業をする。つまり戸締りとは子作りのことである。また二人は廃墟で子供を作って人類を復興させるという役割も担っている。大地震などの大災害では確かに大勢の人が死ぬが性欲が適正に発散されず恋愛をする人が減り子供がいなくなると大地震の被害以上に人がいなくなり、しまいには町は廃墟となる。本作品では大ミミズは性欲の象徴として、草太が変身する椅子は自慰行為の象徴として描かれる。大ミミズという性欲を放置し子作りしない場合、子供が生まれなくなり町は廃墟となるのである。戸締りとは疑似的子作り行為である自慰をやめるという意味合いも持っているのであろう。現代日本では性の話題は恥ずかしいこととしてやハラスメントとしてや場合によっては罪に問われてタブーであるが神聖な行為としての性活動をこの作品は描いていると思う。私としての感想は恋愛の減少が原因で子供が減るなどの仮説のように現代日本の人口減少問題は単純なものではなくもっと地理的で複合的で歴史的な要因の結果として人口減少があると思うので本作品での子供を作ろうという単純なメッセージ性は宗教的で聖書的で清らかすぎる感じがする。現実世界の本質は聖書のように色眼鏡を通して見たような単純な世界ではなく人類の理解を超えたカオスであると私は思う。とはいえ私はこの作品の美しい映像世界に魅かれたのは事実である。

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eigazuki

4.0未来を見据えて今何ができるのか?地域活性でできることとは?

2025年6月4日
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泣ける

悲しい

驚く

メッセージ性の強い作品だと感じました。
今までの出来事を教訓にし、未来に向けてどう行動すべきか?
向き合うところから地域活性に繋がっていくと思いました。

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海野甲太郎

4.5大好き

2025年5月18日
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鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

幸せ

カワイイ

娘とDVDにて鑑賞。やっぱり好きだなぁ…。映像も綺麗だし、音楽の入りも神秘的ですよね。でもやっぱりダイジンが可哀想で、胸が苦しくなる。立派にお役目務めててえらい。考察も色々と考えさせられるものばかりで読むだけで楽しい(なんちゃって考察も多いけど)
でもね~、ラスト。感動してウルウルして、感嘆のため息をついていたのに曲がルッルールルル〜じゃなくて相対性理論だったのは未だに納得できてなくて(笑)☆は4.5!

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しのしの

1.0駄作

2025年5月7日
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改めて観てみると、駄作ということが分かりました。新海さんは、過大評価。

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O.S.

3.0雰囲気は良いのだが

2025年4月29日
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さらっと見ると面白いのです。ダイジンがかわい子ぶりすぎなのは好みじゃないけどアニメだからこれくらいはこちらが譲らねばならない。ダイジンやサダイジン悪意なの?と思うけどそうでもないらしい。何だよと思うけど、これも太古の神々はイタズラずきでわがままで暴力的と相場が決まってるのでまあ良し。でもさ一番大事なところ、すずめは東北の震災でお母さんを亡くしてる気配だよね?もう大震災起こったあとの世界でしょ?その後にすずめは要石を抜いている。ん?そもそも筋成り立ってなくない?雰囲気重視なのは良いけど、そっち優先するために一番大事なところないがしろにするのって、しかもまだ傷跡も生々しい東日本大震災を描くなら細心の配慮をしてもまだ足りないくらいなのに、こんな片手でこねるような使い方ってちょっとしっくり来なかったです。君の名はほど話題にならなかったのもこの辺りが原因じゃないでしょうかね?

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三毛猫泣太郎

3.0盛りだくさん

2025年4月27日
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鑑賞方法:DVD/BD
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ぽよちゃんの友達

5.0松村北斗君にとっては初の声優、しかも椅子に感情をのせて演技するのは...

2025年4月7日
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鑑賞方法:映画館

松村北斗君にとっては初の声優、しかも椅子に感情をのせて演技するのは難しそうですが、声自体が美しく聴きやすく、変な作為や癖がない言葉が率直に伝わってきて、期待以上の声優ぶりでした。新海監督が安心感を与えて力を発揮できるようにさせて下さったお陰もありましょうし、北斗君の声や技術だけでなく人となりを含めて選ばれた草太さんだったこともあるのでしょうか。とはいえ草太さんに使命感や自己犠牲を感じこそすれ、監督の仰る神聖さはあまり感じられず。確かにこれまでも北斗君の役は、祝詞を唱えたり矢で祓ったり鍵で封じたり英霊になってしまわれたりする何やら神聖な設定で、もれなく眉目秀麗。でも本作の草太さんは「ありがとう」の声やすずめを思い遣る言葉の抑揚に現れる誠実さのみならず、例えば焼きうどんにポテサラトッピングにどんびきする呟きや、何気ないリアクションにコミカルさもあって。登場した瞬間に「きれい…」とJKに頬赤らめさせてしまう「ザ・イケメン」でありながら、どこかおかしみの滲む、そんな草太さんの人物(椅子)造形は北斗君だからこそ表現できたキャラクターのように思いました。監督が北斗さんの不憫さや面白さに気付いて書かれたのか、北斗君という声優を通じて表現がそうなったのか。実際、あて書きとも思える位、人・椅子問わず草太さんの役柄、台詞、動き...様々な場面の草太さんから「私の知る北斗君」が匂い立ってくるようで、それが本当に心楽しくて。そんな役、制作者に出会える冥利を想像して、私まで幸せになるのです。本作を通じて北斗君の幅広い表現力、多様な魅力を多くの人に知って頂けそうで嬉しいです。
お話自体は「鹿男あをによし」や「帝都大戦」などでも親しんできた、人の世に災厄をもたらすものを封じ込めるというSF奇譚的モチーフに、震災の記憶と日本の地方の在り方という社会的テーマを絡めたもの。考察は再見時と原作読了後に譲るとして、すずめの真っ直ぐな逞しさに加え、ヒーロー然としていない草太さんの存在があったから、新海監督作品に私が感じてしまう一種の気恥ずかしさを本作では感じずに、照れや戸惑いなく初見では冒険活劇と成長譚として堪能できたのだと思います。背景にある東日本大震災の描写には被害の少なかった私ですら心の奥の記憶を揺さぶられて涙腺がゆるみそうだったので、仙台で被災した友人に勧めることは躊躇してしまいますが。                   想像以上に心躍らされたのは草太=椅子の躍動感でした。椅子アクション史上最高の縦横無尽の動き、ミミズが天に拡がり蠢く様のスケール感は大きいスクリーンで観てこその醍醐味でした。「天気の子」「君の名は」はビスタサイズだったと思うのですが、本作がシネスコのアスペクト比で製作されたのは、その水平方向の拡がりと、北へ向かうロードムービーとしての性質からなのでしょうか。そのためせっかくの池袋の25.8×18.9m IMAXスクリーンで上下に余白ができてしまっていたのだけが残念。12日のTOHOシネマズ日比谷の新海監督ティーチイン付上映はスクリーン12のVIVEオーディオ、13日は夫を連れてTCX+DOLBY ATMOSで、と其々お気に入りのスクリーンで鑑賞するので、見比べ・聴き比べるのも楽しみです。
「すずめの戸締まり」は、私が目撃してきた中でも松村北斗君にとっての大きな転換点に思えるのです。それは内容や実績というよりも北斗君の在り方、受け止め方という点で、理由はこの宣伝期間の映像、写真の表情が、前述のように何か悟りを開いたかのような、すっきりした穏やかなものだったことです。年下の原さんを見守る立場だからなのか、監督はじめとする制作陣に委ねることができたという新しい経験によるものなのか。

6回目は、この物語が欧州でどのように受け容れられるのだろうか、と考えながら観ていました。ある年齢以上の日本人なら日記の日付や陸に高くうちあげられた船等と結びつく震災の被害。事前に説明することなく鑑賞させたとして、震災の記憶が脳の特別な領域を刺激する私達と受取り方はどう違うのでしょうか。ロンドンで参加した東日本大震災のシンポジウムでは、被災地の映像に留学生達も心を大きく動かされたようでしたが、一方でアフリカ出身者が「我々の地域では飢餓や紛争で毎日この程度の人間が死んでいる。欧州は豊かな日本より我々にこそ目を向けるべき」と発言していて、はっとさせられました。現在戦乱が陸続きの国で続いている欧州でこの映画がどのような感情をもって観られるのか。そして、キリスト教文化圏の人々の自己犠牲や利他主義といった要素の受けとめ方にも興味があります。ただ、人種や社会文化背景を問わず普遍的な、幼きすずめに贈られたメッセージ、アニメならではの椅子とダイジンのアクションの痛快さはもちろん、日本の景色、津々浦々の土地の物語、すずめの成長譚、災厄に纏わる奇譚、友情、家族愛、ほのかな恋慕...多様な要素が世界中をきっと魅了するでしょう。ベルリンでは笑い声が多く聞かれたとの事ですが、私もこの作品のコメディ要素とアクションの楽しさが最も好きなので、そこがうけたのかしらと嬉しく想像しています。

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く

1.5映像は綺麗だった

2025年3月31日
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百太郎

3.5自分が辛い思いをして、幸せな生活を守る側に立つ。何気ない今の明るい...

2025年3月23日
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自分が辛い思いをして、幸せな生活を守る側に立つ。何気ない今の明るい震災地の画像に心が痛む。

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トシ

2.0違和感がいっぱいで没頭できないストーリー

2025年3月9日
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泣ける

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映画鑑賞初級

4.5女子高校生がイケメンと異世界で暮らすバディものみたいなイメージを勝...

2025年2月24日
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女子高校生がイケメンと異世界で暮らすバディものみたいなイメージを勝手に持ってしまって観ず嫌いしてたんだけど、じつはいろいろ上手くできとるわ(一時的四国弁モード)。冒頭から廃墟の災いという重めの題材を示しながら前半は先の読めない、そして後半はあの日の収束点に向かう王道ロードムービーに目が離せなかった。計算し尽くされた巻き込まれ冒険譚に少しカリオストロ味を感じた。日常を逸脱しない非日常の挿入、アニメーションならではの壮大な表現、リアルに徹した演出、、そして見事なラストの回収。日本映画の世界収入ベスト4になるだけのことはある。

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かんりにん

3.0全く興味無く

2025年2月22日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

楽しい

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ぶるぶる

1.0勧められてみたけど

2025年2月19日
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どこがいいのかわからない物語でした。
主人公が被災者で、故郷に戻って過去を清算、死んだ母と同じ職業を目指すことを決意する、というお話を、ファンタジー要素をミックスして作り上げたって感じです。
無駄にファンタジーの設定を盛りすぎかな。深掘りしないまま進んでいくので消化不良ですし、その分、主人公やヒーローの掘り下げが不十分だったので最後まで感情移入ができなかったのが残念です。
まず見終わった後の感想が、大臣何だったの?なんか可哀想…。だったので、私には合わなかったんだと思います。
映像と音楽はとてもよかったです。

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mono

3.5兎に角、神がかった話

2025年2月18日
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震災の扉の鍵を閉める。
一目惚れした男性が椅子にされ、
それを起こした猫を追いかけるロードムービー。
猫が悪役かと思えばそうではなく、東日本大震災で自身が被災者でその扉の鍵を閉める。
色々な災いを封じる設定が良く解らない。
数々の震災の跡地で扉の鍵を閉めるがミミズの事も良く解らない。
兎に角、神がかった話。

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ライブラ
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