「テーマに対する軽薄さが…」すずめの戸締まり トニーさんの映画レビュー(感想・評価)
テーマに対する軽薄さが…
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作中に東日本大震災の被災者視点の描写がありますが、この重いテーマに対して本映画の全体的にポップで、大衆を意識したような商業的な雰囲気のせいでどうしても軽薄な印象を抱いてしまいました。例えば、右大臣や左大臣はあのようにキャラクターデザインにする必要はないのではとか、いくら何でも都合よすぎな展開なんじゃないか、といった違和感を上映後に思ってしまいました。
また、村上春樹氏が阪神淡路大震災について描いた、神の子どもたちはみな踊る、の「かえるくん、東京を救う」より一部着想を得たとの新海氏の発言があります。上映中に地震とみみずというワードで私はすぐに気づきましたが、個人的にこの組み合わせがさらに評価悪くしてしまったところも正直に言えばあります。それは同じ震災をテーマとする物語として、神の子どもたちはみな踊るという短編小説と比較したときに、この映画がとても稚拙だと感じてしまったからなのですが。
これは物語に対する個人的な見解なのですが、震災といった大きな苦悩をテーマを描くときに、その核心は描き過ぎてはいけないし、単純明快な解を結末にしてはいけないと私は思います。意図された空白を埋めるのが作者の比喩であり、視聴者の想像力であるべきなのではないかと…
全体的にポップな路線のままでいくのならそれはそれでよかったのですが、妙に深刻なテーマが入ってきて、楽しい映画なのかシリアスな映画なのか、どちらにも振りきれずに中途半端になってしまている感が否めない印象をいだきました。
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