「自分とは新海監督は合わないと再認識する作品だった」すずめの戸締まり ひよこまめぞうさんの映画レビュー(感想・評価)
自分とは新海監督は合わないと再認識する作品だった
まず人物に魅力がない。現実味がない、奥行きがない、行動原理がガタガタだ。
絵は綺麗なのでかろうじて観ていられる。
話は大きなテーマに挑んだという気概はわかるけれども。むしろそれをやめてほしい。世界救わなくていいから。
ちんまい範囲内を丁寧に描いた言の葉のが何万倍も良い。大きなテーマをさばく力が無いんだから無理しないでほしい。あるいはストーリー面は別の人を入れてほしい。
すずめと叔母のやりとりで、どうよ人間の内面も出せてるでしょと言いたいのかもしれないが。あれだって実の親にならあんな甘えも言えるだろうけど、いくら親同然に仲良くしたって、叔母なんだから双方に若干の遠慮と言ってはいけない一線の線引きの認識くらいはあって当然だ。その距離感は女性同士ならじんわり掴んでる。それができないなら社会不適合度合いが高い。本音ぶつけあえたでしょ?じゃない、そういうところが人間を描けてない。
ちょっと会っただけの顔のいい男のために、女子高生が少ない手持ちのお金で全国移動して見知らぬお宅に泊まったりして東京では知らん男の友人(つまり知らん人)にも会って、飯も食ってないけど山に行ったりチャリで走るの?どんなスーパー女子高生だ?
さほど付き合いのない相手の為そこまでする?ってのは宮崎駿作品だって同じなのだけれど、宮崎のはその行動に入るまでの間に、そうしちゃうんだろうなこの人なら、というくだりがあるので、強引な運びでもそんなに疑問を感じずに観ていられる。新海作品では製作中に、そこ指摘してくれる人がいないんだろうか?君の名は、のときは結構プロデューサーが口を出したというが、だからこそあれは比較的違和感なく観やすかったんじゃないだろうか。
人間を描けないんだから、現実に傷ついた人、いまも苦しんでる人がいる災害をネタに使わないでほしかった。関係ないファンタジー作品ならここまで反発もおぼえなかった。
観もしないで毛嫌いするのも良くないなと、結局何本も新海監督作品を観ているけれど、そのたび自分とは合わないなと繰り返しわかってしまう。私とは相性悪いんだろう。クレヨンしんちゃんを観たいよ。