「古傷がえぐられるような強い感情の揺さぶりがくる映画だった……」すずめの戸締まり 閑さんの映画レビュー(感想・評価)
古傷がえぐられるような強い感情の揺さぶりがくる映画だった……
3.11が扱われてるというのは事前に聞いていて、トラウマがあるとかではないがなんとなく見ていなかったのだけど、アマプラに来ていたので初視聴。
自分は直接被災した人間ではないのだけど、この映画を見てものすごく強く感情を揺さぶられた。普段映画を見て感動で涙がウルっとするくらいのことはあるのだけど、今回は古傷の奥のまだジュクジュクした部分に指を突っ込まれて掻きまわされるような、軽い吐き気を伴う強い感情の揺さぶりだった。被災から復興していない・まだ復興途中の街の風景、がれきだらけで被災直後の街の風景、おばさんとすずめの喧嘩、4歳のすずめのセリフ、その他諸々。直接被災したわけではないのにここまで強く感情を揺さぶられてしまうのが自分でも意味不明だし、これを被災者が見たらどんな気分になるんだろうと思ってしまった。
でもレビューを見てるとみんな普通にエンタメとして受け取ってて自分のような感想は50件に1件くらいしかなく……、
・主人公の動機・恋心の描写が足りない&よくわからない→落ち着いて考えると確かにそうなんだけど…見てる間は全然気にならなかった
・ダイジンの考えがわからない、結局ダイジンってなんだったの→まあ確かによくわかんないんだけどそんな重要か……?
・映像がきれいだった、音楽が良かった→確かに良かった、良かったからこそ地震の記憶が強く思い出されて感情がヤバいことになった
ってな感じで全然ほかの人のレビューが別の映画の話してるみたいで、自分がおかしいのか?と思ってしまう。
監督は3.11の風化や知らない世代へのメッセージという意味を込めてこの映画を作ったようだけど、予想以上にエンタメとして受容されてて、思ってる以上に風化してるのかなと感じたり。
自分は直接被災はしていないけど復興支援業務や観光でちょこちょこ関わってて被災3県もあちこち行ったから、東北なんて一切行ったこともないという人よりは被災者寄りの立場で見てしまうのかもしれない。一方でここのレビューには実際に被災された方もいるが私より穏やかに映画を受け止めてる方もいて受け止め方は人それぞれなのかなあと感じた。
とりあえず2回目見るにはもうちょっと時間おいてからでないときつい……。