「脚本の間違いを指摘できない、日本的なチームの悪癖」すずめの戸締まり morrisonktさんの映画レビュー(感想・評価)
脚本の間違いを指摘できない、日本的なチームの悪癖
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まず大前提として、21世紀に2万2000人もの犠牲者を出した、近代日本最大の自然災害である東日本大震災は科学的検証の情報が大量に上がっていて、それを神話に仕立てるのはさすがに幼稚過ぎる。東北の痛みに寄り添おうとする気持ちは尊いと思うが手法が軽いのではないか。あんな若い男女で防げるような災害と感じたのなら共感性が低すぎる。
東の要石を守る!って動機も、彼のためじゃだめだろ。自分の、家族の、友人や故郷すべての人々の人生を奪ったあの悲劇を忘れたのか・・・。あんな悲しいことを二度と起こさない!って動機が正しい救いのはず。
また伏線をぐるっと回収して幼い日の自分に、大丈夫だよ、ちゃんと大人になれるよって、いったいどの口が言うのかな。育ての親への態度があまりにも未熟で、そんな高校生に大丈夫って言われてもなあという気になる。
幼い男女愛に世界を任せようとするのは新海誠監督のクセなのか。生かされていることへの感謝、世界への愛が未発達なのではないか。人は成長すればもっと大きな責任、愛、義務を知るのだが、それがわからないのだろうか。制作スタッフの中にこれじゃ薄いですよと指摘する人はいないのか、または言える雰囲気がないのか? 残念だ。
とはいえ映像作家としての技術は大きく進化しているので、エンタメとしてはよくできている。精緻な描写はさすが。あとは「そんな幼稚な考えではダメだよ」と指導できる優秀な脚本の師匠との出会いがあればぐっと良くなるのだが・・・。
映像が半分、脚本半分で2.5。
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