「震災で幼い頃に亡くした母への想い、大丈夫だよ!って言える未来の自分が心を救う!」すずめの戸締まり The silk skyさんの映画レビュー(感想・評価)
震災で幼い頃に亡くした母への想い、大丈夫だよ!って言える未来の自分が心を救う!
コロナ第8波到来か、ワクチン4回目打つも
そろそろ限界に達してきてる人類と思う今日この頃。
劇場封鎖に成らないでくれよと願うばかり~
そんな中、新海作品待望の「すずめの戸締まり」を観に行った。
前作の2019年の天気の子から3年だな。その時は
7月19日 公開されたんだが、その前日 京都アニメ放火事件が
有った事は記憶に新しい・・・。
(CAST声)
岩戸 鈴芽(主人公):原菜乃華さん
岩戸 椿芽(母、東日本震災で亡くなる):花澤香菜さん
岩戸 環(すずめの育ての叔母):深津絵里さん
宗像 草太(閉じ師、イス):松村北斗さん
ダイジン(要石、猫):山根あんさん
芹澤 朋也(草太の友):神木隆之介さん
宗像 羊朗(閉じ師師匠):松本白鸚さん
新海誠氏の初心作「星を追う子ども」の頃に回帰した感じを受けた今作。
前作の『天気の子』よりは 数段良かったかな。
前作同様に気象ネタに挑む姿勢には賛否が出そう。
特に東日本大震災から11年過ぎて、これを扱うにおいて
人それぞれ思いが違うでしょうし、神戸も出てきますが
阪神大震災からでも27年。
軽々しくは扱えないテ-マだとは感じます。
ネタが偏ってるようにも感じられるけども
地震をナマズではなくて ミミズで表現しているのが新しい感覚かな。
安政2年(1855年)の安政江戸地震の頃に、
鯰(ナマズ)をモチーフにした錦絵が出まわった。
これは鯰絵と呼ばれるそうで、鹿島大明神が ”要石(かなめいし)”で
大ナマズを押さえている絵などがあるそうですよ。
それが元ネタなんでしょうかねぇ。
作画の美しさや、声当てに関しては
違和感なく定番通りと感じます。
ただ、ダイジンキャラに 少々イライラ感を発しましたがw。
何のために要石役を降りられたのか・・・
結局元のお役目に戻ってしまって。
悪さする割にはすずめ達にくっついてきて、
結局 他人に無視されては何処にも行けないダイジン。
知らぬ間に もう一匹の黒猫(要石)もやってきて
皆でハチャメチャドライブは ありゃりゃ~の感じ。
実のところ まとまりが悪すぎて
前作同様に展開死に至りそうに感じてはいましたが、
この 育ての叔母(環)が心配してすずめを追いかけてきて
すずめと本気で口論するところは良かったです。
実際 震災の被災者とそれを保護した人々との圧壁も
当時も今も有ったと思うし、
育ての叔母と心の底からの本音吐露が、
より生きてる実感を増してると感じました。
そして、扉の隙間のアノヨ世界で
草太と二人で最大ミミズに要石を刺して
大いなる地震の災い発生を納める~
冒頭にあった、寒い夜の震災跡地の草原を駈けていた~幼女すずめに
手を差し伸べていたのが、母ではなくて
未来のすずめ本人で~ ”大丈夫だよ!” って過去の自分に対して
ギュッとハグするところは とっても良い場面でしたね。
ここは凄く心がグッときましたよ!
それは震災の被災者だけで無く、日本各地の豪雨災害、豪雪、土砂災害はじめ
交通事故、病気など 色んな事で肉親を急に亡くしてしまった
人々総てにエ-ルを贈る~ それなんだと感じます。
どこかで・・・、どこかで心に整理を付けて
前に進ま無きゃいけない、そんな自分があるわけで。
そんな空虚な心の扉が開いたままの 自分があって
だから 最後の言葉に
”行ってきます” ・・・と自分でその扉に鍵をする~。
その意味を知った時、
彼女の成長とこれからの幸せを願わずにはいられない、
そんな思いに浸りました。
今 劇場が凄くホットな状態になってます。
是非、ご家族揃ってどうぞ!