「自然な不自然ではなく不自然な不自然」すずめの戸締まり ゆうさんの映画レビュー(感想・評価)
自然な不自然ではなく不自然な不自然
絵は、とても綺麗でした。
ひび割れた道路やガードレール、細かい部分がリアルに描かれていました。
ただ、ポスターなどにも使われている「常世」の中の紫がかった綺麗な星空については、物語上あまり意味はなく、ただ描きたかっただけではないでしょうか。
青に紫混ぜて星を散りばめれば誰にでも綺麗に見えるし、新海誠っぽくもなるんでしょうが、物語とあまり関係がないとなると安っぽく見えてしまいます。
内容は、非常に浅いストーリーで展開もめちゃくちゃ、残ったのはもやもや感と気持ち悪さでした。
120分の映画の中で、何度も「そうはならないだろ」と突っ込みたくなるシーンがありました。
冒頭、すずめが通学途中に、超がつくほどのロン毛、ロングコートにブーツの明らかな不審者である草太を見かけて「きれい」と一言(もしかしたら海に向かって言ってた?)、そして一目惚れ。草太は、すれ違った女子高生に「この辺りに廃墟はないか?」と声をかける。
すずめは、一目惚れした草太と草太に廃墟を案内してしまったことが気になり、学校に行くのをやめて廃墟へ行き、物語が展開していくわけですが、その後も、最後まで違和感満載でした。
震災をテーマにした点は、リスク承知で突っ込んだのだと思いますが、結果は失敗だったと思います。
私個人は、震災だろうと何だろうと取り扱ってもいいと思います。
しかし、慎重に取り扱うべき項目であり、これを取り扱う以上、軽視しているという批判は付き物で、被災者を傷つける可能性があることを承知の上で取り扱うべきだと思います。
私が映画を見て抱いた感想は、東日本大震災は人間のせいで起きたと言われているようでした。新海監督の意図は分かりませんが。
昔は栄えていた温泉街、人が住まなくなった地域の学校、廃遊園地などに後ろ戸がありましたが、昔は人間が持てはやしていたが過疎化し、人間がその地域を捨てて放置したたため災害の原因となる後ろ戸が生まれた。
東北はそのような地域ではありませんが、何か人間に原因があり、東日本大震災もそうだったと言われているようでした。
それを、女子高生が、一目惚れしただけの草太を助けるために再発させようとしたり、猫が災害で人が死ぬのを喜んでいたりと、これを見て傷つく方はたくさんいるのではないでしょうか。
まとめると、隕石や雨や地震などの自然現象は、世間の知らないところで可愛い女の子やイケメンが代々制御してきたんです。っていう話です。