「ナンセンスな設定。リアリティに難点。でも一部感動した!」すずめの戸締まり TWさんの映画レビュー(感想・評価)
ナンセンスな設定。リアリティに難点。でも一部感動した!
リアリティの点で難点がいくつもある。
まず、すずめとソウタの出会いに関して...
すれ違い様に、イケメンであるソウタにすずめが心惹かれ、その後、道を尋ねられたことをきっかけに、学校をサボり、ソウタの後を追いかけるという筋立てがなんとも動機の薄い、本来であれば成り立たない設定であるように思える。
すずめは、椅子に変えられたソウタと旅をすることになるが、女子高生がひとりで旅をしていれば、補導員か警察に補導され、すぐに家に帰させられるだろう。
特に知り合ったオバさんは、すずめを飲み屋で働かせるが、未成年である高校生を働かせるという設定に違和感を禁じ得ない。
家出さながらに飛び出した女子高生を働かせていたら、誘拐の嫌疑もかけられるリスクを負うので、警察に引き渡す筈である。
ソウタに関しても...
大学生兼術師(作中にはソウタが家業としている地震を防ぐ職業の名前が出てきたが忘れたので"術師"とする)という設定がしっくりこない。
ソウタはあくまで教師を志す二十代前半の大学生であり、その若造が暗に数十万人の命を救うことになる術師の仕事を兼業しているという。
ナンセンスに思えるのは私だけだろうか。
その他、リアリティに関して以外にもツッコミどころは多々ある。
「母親を震災で亡くし傷を負い、その傷を封印した」というすずめのバックグラウンドが前半かそこらで仄めかされないので、クライマックスのところで突拍子もなく、その事実が出現し面食らった。
(しかし、場面の高揚感に負けて泣いた)
確かに、冒頭で、それらしきシーンが流れたが、冒頭であの映像だけ流されても、なんのことか分からない。
一応は全体を通して、主人公のすずめの成長物語ということは描かれており、成功しているように思えたが、どうも上述した通り、シナリオに粗があり過ぎて、手放しのまま楽しむには至れなかった。
ところどころ退屈でもあった。
駄作とは思わないが、良作とも思えなかった。
普通の作品。