「世界の存続はいつだって運命の鍵を握る者の善意で舗装されている」すずめの戸締まり meitamaさんの映画レビュー(感想・評価)
世界の存続はいつだって運命の鍵を握る者の善意で舗装されている
最新作「すずめの戸締り」を予備知識無しで観てきました。
今までの新海誠作品の中では1番好きかも。
大ヒットした「君の名は」も映像は美しく楽しく飽きずに観れたけど、感動した!名作!!もう一回観たい!!!とはならなかったし、「天気の子」は現代日本を舞台としてるのにリアル(現実社会)との整合性が取れないご都合主義な展開が始終気になって物語に集中出来なかった。
今作はもうのっけから「ファンタジーです!!」って全面的に主張して頂いていたお陰か、細かなご都合主義的なストーリー展開はそこまで気にならなかったかな。
寧ろ、九州の長閑な場所に住んでるけどスマホ決済使いまくりでお財布なくても大丈夫!だったり、Twitterやインスタのハッシュタグで探し物が見つかったりとても「イマドキ」な演出を数年後、数十年後にどんなふうに思うんだろうな…と思ったり。
「天気の子」では最後、世界かヒロインかどちらを取るかの選択を迫られた際にヒロインを取った事によって雨が降り続く世界が残された。
今回も世界(日本に暮らす人々)とどちらを取るのか、自分の選択で沢山の人々が死んでしまうと云う場面が訪れる。
でも、私はいつだって運命の鍵は自分の為に使ったら良いと思っている。
どうせどっちを取ったって大なり小なり後悔はするのだから。
世界を救ったって良いし、己の運命の人を選んだって良いと思う。
だって選択権を持っているんだから。
まさかどっちも取るとは…流石です(笑)
其れにしても、我々はネコ(ネ申)に守られてるのですね…。
でも、日本の神様は八百万で全知全能では無いし、人格者でもない。
人間から認識され、愛され、畏れられ、信仰される事で力を持つ。
恩には(人間とは違う尺度で)報いる。
神に愛された鈴芽ちゃんは先々で助けられつつも駆けずり回る。
ホント、発言には気を付けようね。
あと、戸締師(字は知らんけど)はもっと人数増やすべきじゃない?
追記
今回の物語の主軸にあった『震災』
どの地域で起こったものも私はその現地に居た訳では無かったのでその渦中を実際に震源地周辺で経験した人々にとってどの様に感じるのかはわからない。
(エンタメ作品として扱うのは)「不謹慎だ」「不愉快だ」って思う人もいるだろう。
其れでも私は「これも浄化方法として有りだな」と。
当時、ニュースやTV画面越しの世界でも不安な気持ちになったし、3.11の時には電力供給や物流にも影響があったし其れなりに大きな地震で帰宅困難になる程度には巻き込まれた。当事者と言うには烏滸がましい気がするけど、無関係と言うには自分の中にしこりがある。
災害に関わらずだが、ただただ忘れてはいけないのかも知れないが其々の中で咀嚼して消化する事によって乗り越える事が出来る事もあると思う。
だから、多くの人が観るであろうエンタメ作品としての映画によって振り返り消化する、またはあの時の事を考える切欠になればいいね。(映画の感想と言うより所感)