劇場公開日 2022年11月11日

「描きたいところは分かるのですが」すずめの戸締まり ころんさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5描きたいところは分かるのですが

2022年11月20日
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鑑賞方法:映画館

「輝く未来が待っている!」とのメッセージは大人は分かるのですが、低学年の子供には怖かったと言われました。見たいと言うから付き合ったのに。

「死ぬのは怖くない」のセリフは分からないと言われました。
「人がたくさん死ぬよ」のセリフは怖かった。
猫は可愛かったと言っていました。

画はとてもきれい、テンポも良いので飽きずに最後まで見れます。
ディズニーとジブリの要素が少し入っています。

ですが、私自身が被災地ど真ん中に当時も今も住んでいるため複雑な気持ちになりました。
映画終了後は観客は無言でシーンとお通夜みたいな雰囲気で何とも言えない空気になっていました。無言で席を立つ人ばかりで、啜り泣くような声も聞こえた気がします(振り向いて確認するのも躊躇われる雰囲気)。

震災の件は子供には話題に出さないように教えてあります。被災地ど真ん中なので身内や仕事を失った人も多いため、話題に出せません。

私は身内は無事でしたが日常は大変でした。
ヘドロにまみれた国道は灰色で酷い悪臭、信号が全て止まった道路をお互いに譲り合いながら低速で走らせました、海沿いの石油タンク?からは煙が3か所から3日あがり続けました。悪夢のようでした。遺体が線路に横たわっているところを歩いて避難した人もいました。
停電中でも総合病院の病棟の電気が点いていたことに、なぜか心が救われました。

1か月にわたる断水と水汲み、スーパーでは一人5点までと指定のある買い物、仕事に行けるようになると電車から見える景色は震災処理のガレキの山。

友人の自宅は崩壊しローンを抱えたままアパートへ、ローンは少し前に完済したそうですが未だアパート暮らし。

なんとも評価しがたい映画だな~と複雑な気持ちになりました。
この監督自身が被災して家族と家を無くしている人なら話も別かと思うのですが。

架空の事件や架空の自然災害をモチーフにした作品でも人は感動しますし、メッセージも届きます。架空のストーリーから与えることができる人が真の作家なのではないかと考えるのは私が年寄りだからでしょうか?

若い世代に人気のある監督さんなので、今後はぜひ架空のストーリーから感動を作ってほしいです。

【追記】
来年の2023年2月に、「生きる」大川小学校のドキュメント映画が公開されます。文部科学省選定作品です。

本当の意味での「震災を忘れない、場所を悼む鎮魂する」ための映画だと思います。
「震災を忘れない」とのことであれば、「生きる」を見てほしいです。
わたしは怖くて(悲しすぎて)見れないかもしれませんが。

【追記】2023/1/19芥川賞受賞した「荒地の家族」仙台在住の作家さんです。震災がテーマです。読んでみようかな。

ころん
ころんさんのコメント
2023年10月17日

みかずきさん

>東日本大震災の部分は、ファンタジーとして描いても、作り手のメッセージは伝わると思います。

絵もキレイだし、キャラも可愛いし。
ストーリー展開も飽きさせないし、良い作品なんですけどね。

はだしのゲンみたく、漫画でも残酷さも描くのであれば、また別なんですけど。ファンタジーになっているのでミスマッチなんです。

従妹の旦那の両親が自宅で津波に飲まれて亡くなりました。
埋め立て地に家がありました。

考えれば当然なんですが、埋め立て地は、どこまで行っても平野なんです。逃げ切れないんです。
車は渋滞、もしくは、平野続きなので車で逃げても津波に追い付かれます。

海沿いの平野続きの場所って怖いです。

ころん
みかずきさんのコメント
2023年10月14日

同感です。

東日本大震災の部分は、ファンタジーとして描いても、作り手のメッセージは伝わると思います。

私も、仙台で4年間、大学生生活を過ごしました。カミさんの実家は福島です。被災者にとって、東日本大震災は歴史にはなっていません。未だ生々しい過去なのです。

すずめは、年齢設定から推察すれば東日本大震災被災者であると推察できます。そんなすずめが災害を防ぐために必死になっている姿、死ぬのは怖くないのかと問われた時、怖くないキッパリと答えた覚悟ある態度で、十分に観客に伝わるはずです。

リアリティーに拘る必要はありません。
ファンタジーに徹し切って欲しかったです。

では、また共感作で。

ー以上ー

みかずき
ころんさんのコメント
2023年9月22日

Mさん

見る人によって異なる、なかなか難しいですよね。
監督もあえて扱ったとは思うのですが、
スポンサーなどの圧もあり、どこまで自分のやりたいように描けたかは分からないですしね。

ころん
Mさんのコメント
2023年9月19日

なんとコメントしてよいのかわかりません。
「映画は、その人その人の経験や状況によって感じ方が違う」という当たり前のことを思い知らされました。

M
ころんさんのコメント
2022年11月28日

そういえば、ハッピ○セットのおまけにもなってましたね〜。

ころん
マサシさんのコメント
2022年11月28日

コメントありがとうございます。この映画の喜伝のレビューに共感します。
表現の自由ですから、ストーリーの中身に余り口を出したくありません。
問題は何故?雀が『ビックマッ○』をコマーシャルするのか?って事だと思います。

マサシ