「いつ何が起こるか分からない理不尽な日常で。」すずめの戸締まり yutaさんの映画レビュー(感想・評価)
いつ何が起こるか分からない理不尽な日常で。
新海作品という事で鑑賞。
とりあえず、ちょっとなめてた。
いやぁー、泣いたね。
完全に東日本大地震に絡めたストーリー。
予告編の行ってきますの意味合いがみた後だと変わるよね。
きっと当時言った人も言われた人もそれが最後になるとは思わなかったんだろうな。
芹沢の綺麗な場所だなのセリフに対してのすずめ、ここが綺麗な場所?的なセリフに本当にゾッとした。
あまりにも色々な情報量が多すぎて全然咀嚼しきれてないな、、、
まず、東京に行くまでのテンポ感がいいよね。
観客は薄々要石のくだりを察しながらも、いつ決定的な何かが起こるのかを考えながらみたところで、アレですよ。
日数にしたら数日に過ぎないけど、被災した可哀想な子ではなく、個人として自分を見てくれたソウタに惹かれたのかなとか、邪推してしまった。
東北への里帰りとか、ベースシリアスなのにそこに上手く異物(芹沢とか)を織り込んで観客が力を抜ける瞬間を作ったりとか話の作りが上手いよね。
自転車のシーンはとても良いシーンだった。
ちょっと右大臣?左大臣だっけ?黒猫の登場が唐突過ぎてビックリしたけど。
猫視点で見るとどういう流れだったのかなーって思わなくもないけど、個人的解釈としては要石って人身御供とかの意味合いも含まれていたのかな。
ダイジンが子供になれなくてごめんなさいって言ってたし。
孤児とかが、捧げられて何百年と孤独に過ごしその孤独から救ってくれたすずめに好意を抱いてずっと一緒にいたいと思う。
子供だから独占欲強めで、ソウタ邪魔だし要石無くなったらまずいのは理解してるから役目こいつに押し付けよう。
的なことなのかな?
黒猫が大きかったのはこっちは幼い子ではなく、成人済みとかおじいちゃんが捧げられたからなのかな?
環さんが黒い感情に支配されたのは、ちょっと自分の中で落ちてはないけど、、、、
ラストのソウタへのおかえりは分かっててもいいセリフだよね。
自分が周りに迷惑をかけているって自覚がスズメの中にあるから、死ぬのが怖くないのかってセリフに対して怖くないって言えるし、自分が何か成し遂げた「役割」みたいなものに固執に近いものを抱いていたのかな。
この作品で考えなきゃいけないのは、これはフィクションだけど現実にある話ってことだよね。
この映画から何を受け取って、どう日常を過ごすのか、自分の中ではまだ落とし込めてないし明確な答えのない難しい問題だけど考えることをやめてはいけないなーと。
突然誰かを亡くす「死」は本当に身近にあって、それでも生きたい。好きな友人に家族に恋人に会いたい。っていうのは万人に共通することだからこそ、常世でのソウタのセリフは胸にくるものがあった。
これを一本の映画にまとめ上げた、新海誠監督は本当に凄かった。
テーマとしてものすごく重い物で、扱うのに勇気が必要だったろうな。
とりあえず、円盤は買うしできればもう一度見に行きたいな。
パンフレットも特別冊子も何も読んでない人の感想でした。
熟読してからもっかい見たい。
あと、RADの歌ありの曲の使い方のバランスは個人的に最高でした。
100/100