「新海3部作の確立。これで彼は世界のすべてを描いた事になる。」すずめの戸締まり mark108helloさんの映画レビュー(感想・評価)
新海3部作の確立。これで彼は世界のすべてを描いた事になる。
余り期待していなかった。事実いつもより雑なスタートのように感じた。何よりも最大の雑さは方言指導である。九州弁(設定は宮崎なのであろうか?)のイントネーションがおよそ九州の人間が聞いたら違和感以外何物でもない。関西弁訛りの博多方言のようなしゃべりでかなり鼻白む。猫や椅子のキャラもいかがなものか・・などと思っているうちに物語はロードムービーの様相を呈しながら壮大な天地(天土)の物語へと変貌する。それにしても移動描写がメチャクチャである。リアリティを出そうとしてるのかしてないのか・・宮崎から夜通し船に乗れば神戸についてしまう。なのに愛媛とは如何なものか???まぁそれはそうと、🎦君の名はでは時空を、🎦天気の子では海と空の『気』を、そして今回はあまつちの御神火や「なゐふる」を描いた。新海監督の特徴は彼の描く世界にある。宮崎駿の描く神代の世界とは異なり、物の怪ではなく自然現象にそのフォーカスが当たっている点が極めて特徴的である。古くは南方熊楠の寺田寅彦の描いた世界に新海が、折口信夫や宮沢賢治の世界に宮崎が重なってくるのである。ここで面白い事に気が付いた・・・南方熊楠(1867-1941)、寺田寅彦(1878-1935)、折口信夫(1887-1953)、宮沢賢治(1896-1933)・・・10年周期で日本の構造主義的哲学思想に近い活動した偉人がこの世に生を受けている。何かの意図を感ずるのは僕だけであろうか・・・??
新海は次回作で新たな全く別の方向性を見出すのではないだろうかと、思いを馳せるだけでワクワクが止まらない。
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