劇場公開日 2022年11月11日

「ダイジンの行動原理が理解出来なかった(汗)」すずめの戸締まり 鶏さんの映画レビュー(感想・評価)

2.0ダイジンの行動原理が理解出来なかった(汗)

2022年11月16日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会、映画館

11月18日に公開され、全国の映画館のスクリーンをジャックしていると話題になった「すずめの戸締り」を観に行ってきました。

私が観に行った映画館では、その日全18作品が53回に渡って上映されていましたが、うち本作の上映回数は19回と、3分の1以上を占めていました。タイムテーブルを見ても、ギッシリとスケジュールが詰まっており、さながら東海道新幹線の時刻表のようでした。客の入りについては、平日の夕方で半分程度だったので、一定の成果を出していると言って良いのでしょう。

そんな映画業界の期待を一身に背負って公開された本作でしたが、「君の名は。」、「天気の子」といった新海監督の前々作、前作と、味付けが非常に似通っていると感じられました。いずれも現代日本が舞台で、主人公は男女のペア、年頃も中学生から大学生であり(因みに3作品の主人公2人ずつ、計6人の内訳は、中学生1人、高校生4人、大学生1人)、隕石の落下とか大水害、そして大地震と、天災にまつわるストーリー立ても同じ。さらに言えば偶然性に依拠した、悪く言えばご都合主義的な展開も見られるなど、デジャヴでも観てるのではないかと思えるようなお話でした。
しばしばジブリ作品と比較されることもある新海作品ですが、歴代のジブリ作品は舞台も時代設定も主人公も筋立てもかなり幅広く、この点が両者の大きい相違点と言えるかと思います。

肝心の本作の内容ですが、物語の世界観に慣れるまでに少々時間が掛かりましたが、何とかそれを是として観終えたものの、物語の鍵を握る白猫(ダイジン)の行動原理が最後まで理解できず、いまだにモヤモヤとしながらこの感想を書いています。見た目は猫でもダイジンは神様らしく、劇中「神は気まぐれ」という主人公・草太のセリフもあるので、考えても仕方ないということなのかも知れませんが、いくら何でもそれでは作品として成り立たないでしょうから、きっと何らかの意図があったと考えられます。これを理解出来れば、本作の面白さが100%理解出来るのかも知れませんが、当面無理そうです。。。

また、前述した「ご都合主義」についてですが、ダイジンを追って家出した鈴芽(すずめ)を探して宮崎から上京した叔母の環が、御茶ノ水駅の駅前で偶然鈴芽を見つけるという展開には、正直唖然としました。広い東京で、何の手掛かりもなく人探しに成功するなんて、いくら何でも強引過ぎるでしょう。もう少し必然性のある理由付けをすれば良かったのにと思わざるを得ませんでした。

以上、疑問に思ったところばかりを書いて来ましたが、私のようなオッサン世代にも嵌る懐メロが随所に挿入されていたり、相変わらず東京の街並みが精緻に再現されていたりと、制作者サイドが全方位的にマーケティングしているところは評価出来るかなと思いました。(あんまり褒めてないかな。)

あと、鈴芽の苗字が「岩戸」って言うのは、洒落が効いてて中々良かったかなとは思います。まあ古事記・日本書紀における天岩戸のお話は、本作とは逆に閉まった岩戸を開けるお話ではありますが。。。

鶏