「メチャクチャ感動した。」すずめの戸締まり まゆうさんの映画レビュー(感想・評価)
メチャクチャ感動した。
結論は、すごく良かった。「言の葉の庭」「君の名は。」「天気の子」と見て、今までで一番好き。以下三点について感想。
一つ目は、「震災の話です」って言わずに宣伝しようという結論にどのように至ったのか興味ある。人間は色んなことをそれぞれ抱えてるもんで、例えば子どもに恵まれない夫婦にとっては赤ちゃんが出てくるテレビCMは見るの辛いとか。ファミリーカーのCM辛いとか。人によって様々あると思う。見たくないのに不意打ちで見せられちゃう。でも、映画ってお客さんはお金払ってエンタメとして見に来るから配慮必要なんじゃない?と。そう思う一方で、本屋で本選ぶとき、ほとんどの人は「こういうシーンありますよ」って知らされないまま買う。あらすじが裏にちょっぴり書いてある場合はあるけど。物語の山場で重要なシーン知らせるってネタバレだから、知らせないの当然じゃん、てのも分からなくもない。やっぱり商売だから、より売るためにはあえて言いたくはないだろう。
しかし、新海さんは「見る人に何か影響を与えうるなら、それは美しいことや正しいことに使いたい」(正確な表現は忘れましたが)って言ってて、それは言われなくてもちゃんと分かる。だから震災を描くことも勇気や覚悟を感じるし、そういう意味での信頼感はある。
二つ目は、自分が「ファンタジーけっこう大丈夫タイプ」「商業向け浅型でもメチャクチャ感動できるタイプ」ということ。新海さんの初期の作品はちょっと苦手だけど、新しい作品になるほど見やすくて好きです。
今回はお話の展開に「ん??」と思うところは確かにありましたが「あ、そういう設定って事で進めるのね、了解!」で気にせずフツーに見れてメチャクチャ感動しました。評価を低くつけている方のレビューをたくさん読んでみて初めて分かりました。そのため、最初に自分が書いたレビューを書き直しています。「共感した」を押して下さった方、ありがとうございました。そしてほんとにごめんなさい。違うなと思われたら消して頂いてかまいません。
私は一体、何に一番感動したのかな?
改めて考えてみました。
最も強烈に残り、思い浮かんだのは、小さいスズメが泣きながら母親を探すシーンでした。涙が止まりませんでした。映画館を出て、帰宅してからまた思い出して涙が出てしまい、家族に「311は実際にあったことだからね、きっと同じような子がいたんじゃないかと思うとね、…」と答え、また言葉が詰まってしまいました。「おかえり」のシーンも胸がしめつけられて涙が後から後から…
これらは、この気持ちは感動ではなかった?これは作品への感動だったのか、311を思い出して被災者の方へ感情移入しただけなのか。でも、鑑賞後に物足りないとか退屈だったとか疑問が残って不完全燃焼…のような気分にはなりませんでした。そうなると、私的にはやっぱり「高評価」で「感動した」って事になるのかな。
私はこの作品を見て、みんなのかけがえのない大切な日常があるということ、311でそれは破壊され奪われたこと、もう二度と起きて欲しくないという切実な思いを抱えながら、今後も災害が起きない可能性は無いであろう今をそれでも私たちは生きていくんだということ、震災を忘れてはいけないんだということを、とても強く感じました。
ちなみに、周りの大人たちが家出少女のスズメに温かい対応をすることについては、絶対的に子どもの味方をする大人を描きたいって前から言ってる新海さんの話を思うと、やむ無しというか…それは変わりません。
三つ目は、今まではレンズ遠ざけても細部まで細かくクッキリ見えるな~目疲れるなみたいな感じだった。明度?解像度?高いな~っていうか。「君の名は。」は、キラキラした東京っていう、主人公から見た主観的な東京を表現しているらしいので、ああそうなんですねって思うし美しいし好きなんですけど。今回はそれはあんまり強過ぎなくてバランス良くて、これもいいなって。逆にどっちつかずの中途半端な印象にもなりかねないので、見る人によるかもしれません。質感というか、タッチ難しいですよね、震災というリアルを扱いながらファンタジー要素もあるから。とにかく、上手く言えないけど私は画面の力がいつもすごい、素晴らしく美しいと思いました。
あと、どうでもいいけど新海さんの作品タイトル付けるセンスが壊滅的にひどい。仮タイトル相当ヤバかったですね。ちょっと意外で面白かったです笑
スタッフの皆さんがいてほんとに良かった笑
「震災を描かなきゃいけないんだ」っていう新海さんの強い気持ちや、若い世代に伝えたいメッセージは、私自身はちゃんと受け取ったと思ったし、鑑賞中も退屈さは感じなかったです。また次回作を見られるだろうから、それが楽しみです。