「期待していた分、全てがチープに感じた」すずめの戸締まり ママさんの映画レビュー(感想・評価)
期待していた分、全てがチープに感じた
新海誠のファンです。
今回の作品は、すずめの成長ストーリー、災害から街を救うファンタジー要素、違う境遇の2人のラブストーリーが三本の柱だったようですが全てが中途半端で結果見た後あまり何も残らなかった印象。
ベースが現代な分、ファンタジーな要素が浮いていてすずめの家出に無理があるような気がした。
あそこまで過保護なのに、数日間放置する叔母にも連絡も叔母からしか入っていないところにも違和感。
また、すずめそうたに惹かれたところがわからない。見た目と物腰くらいじゃないか?と思う。
一目惚れの相手に災害で何万人が死ぬかもしれない時に天秤にかかりまた災害を起こすかもしれないのに後ろ戸をもう一度開こうとするし、それを誰も止めない。
すずめ、そうた以外の解像度が著しく低く、メイン2人も感情移入しきれない。
芹沢の役回りはもはや車の運転係としか思えない……。
環がただただかわいそう。姪が心配なのに、説明もしてもらえずついて行くことしかできない。
「天気の子」の帆高も家で少年であったが、帆高は家庭環境に事情がありそうだったり冒頭の描写からもネグレクトや虐待が示唆されてるためまだ納得できたけど、、、。
新海誠はこれまで恋愛を描く時にその時の感情、なぜ惹かれたかという場面を丁寧に描いていた印象があるのにそこがとても残念でした。
成長という面でも、環の気持ちを理解したところがまぁ成長と言えるのかなと思ったけどそれ以外は受け取れられなかった。
言の葉の庭では夢に向かうタカオが登場したが、すずめは看護師が目指し始めた理由もまたよく分からない。母親のトラウマからの成長という割に母親との思い出や尊敬するようなシーンが少なすぎる。
全ての事象に理由が欲しいわけじゃないけど、理由もわからなければ心動かされる心情描写もその土台もないまま終わってしまって、最後に恋愛っぽいRADWIMPSの歌がずっと冷めてしまって流れてなんだかなー…となりました。
過去作品と似ているところも多いですが、今回の話は全てに置いて説明不足。映像美と勢い、ファンタジー設定に委ねすぎていると思う。
好き嫌いは分かれると思うけど、過去作の独白のような始まり方が引き込まれて好きでした。
欲しい説明を省いているのに蛇足が多すぎる。
多分要素が詰め込まれすぎて薄くなってしまったんだと思います。