「長編アニメーションの人間描写は如何に」すずめの戸締まり noさんの映画レビュー(感想・評価)
長編アニメーションの人間描写は如何に
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最近の長編アニメの拙い人間描写を気にしつつ視聴しました。
冒頭は懸念通りストーリー主導の可笑しな言動が目立ちます。
また、出会って3秒で恋に落ち最後まで周りが見えない主人公。ここは潔く終始ブレません。
北上の道のり、世代の違う人間と思春期の若者の触れ合いをじっくりと描いています。
コミカルではありますが、真っ当な描写でした。
東京編は謎解きパートと宮城へ向かう動機づけです。
そして所謂ロードムービー、母親代わりの女性と娘の喧嘩は致命的です。
口を滑らせた、人間の感情は複雑、どうでしょうか。
私は血の繋がりに関わらず、子供への愛情を持った事のある人間の口から出る言葉ではないと感じます。
それは、人生経験の少なさや人間観察の欠如から来る致命的なリアリティの無さ、
建築家で言う空間把握能力や絵描きで言うデッサン力の欠如です。
作家の伝えたい事とやりたい事が先行しています。
これ以降物語はクライマックスへ、
震災の悲しみを代弁する主人公が自身と向き合い前に進みます。
当時多くの作家が葛藤したテーマに、
10年以上経った今向き合った作品、
まさに当時幼かった子供が大人に差し掛かっています。
それが白けるか背中を押すかわかりませんが、監督なりの総括と一人の大人として送りたかったメッセージだと私は前向きに受けとりました。
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