「日本縦断、緊急地震速報!」すずめの戸締まり bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
日本縦断、緊急地震速報!
話題の新海誠の新作品、地元のシネコンでは、3つのスクリーンをフル稼働で、一日に15本も上映。夕方からの上映を観ましたが、そこそこ観客もいましたし、暫くは観客動員も、『ワンピース』に替わって、1位は揺るぎないんでしょうね。
物語は、主人公の女子高校生・岩戸鈴芽が、閉じ師の宗像草太と共に、不思議な別世界で、禍いを封じ込めようとするファンタジー・アドベンチャー。最初から息をもつかせぬ、迫力あるシーンの連続で、見る者を魅了する。
本作のモチーフは、日本各地に自然災害の恐ろしさを突き付けてきた地震。地震を引き起こす莫大なエネルギーを、おどろおどろしくうねり回る巨大な竜の如く描いている。そして、それを封じようと、日本を縦断しながら、草太と鈴芽が地震のエネルギーが噴出される『後ろ戸』となる扉を、戸締りしていくストーリー。その根底には、あの東日本大震災の悪夢が流れている。
また、そうした展開の中で、母を亡くし、叔母に育てられた鈴芽が、自分なりの道を、自分で歩み始めようとする成長の姿と共に、草太との淡く切ないラブ・ストーリーも描かれている。
映像美という点では、新海作品のこれまでの作品同様に、実写以上のリアルさと美しさは、相変わらず。都会や地方の街の風景、水、光と影の描き方などは、細部にわたるまで緻密に計算尽くされた描写に息を呑む。
物語の中で流れる挿入歌は、自分の世代にはドンピシャの70〜80年代の懐かしい曲はかり。これは新海誠の好みなのか…?(笑)
そして、声優陣も、なかなか素晴らしい。主人公の鈴芽には、『真犯人フラグ』の娘役を演じた原菜乃華が大抜擢されたが、確かに納得の声優ぶりだった。やや、張り切り過ぎの感じもしたが、鈴芽のキャラとしては、よかったと思う。また、草太役の松村北斗は、響く爽やかな声で、声優としても十分に素晴らしいものがあると感じた。そして、脇を深津絵里、神木隆之介、染谷将太、伊藤沙里等、豪華な俳優陣が務めており、主役の2人を引き立てていた。
但し、展開的には、最初から最後までずっとハイテンションでクライマックスの連続のため、物語の起承転結が薄く、正直、観終わった後、ドッと疲れを感じた。一緒に観た息子も同じ感想を漏らしていた。(笑)
もう少し息つくシーンも織り交ぜながら、段々とクライマックスに向かうような展開の方が、より感動的なラストになると感じた。その点で、個人的には『君の名は』を超えることはできなかったように思う。
コメント失礼します
同感です。たしかに見終えたときに疲れましたね😅悪い意味ではなくて
もっと緩急つけて、だんだんラストに向けて盛り上げるようにしてほしかった
あと草太視点のところ(鈴芽が草太の記憶を見るところ)もうちょい余韻が欲しかったかな