「圧倒的傑作!負の激情の発露で一気に深度を増したストーリー」すずめの戸締まり やまちょうさんの映画レビュー(感想・評価)
圧倒的傑作!負の激情の発露で一気に深度を増したストーリー
圧倒的傑作でした!
しかも自然災害という難しいテーマを真正面から捉えつつもエンターテイメント作品として成立させているのは見事!・・・としか言いようがありません。
新海誠監督は「君の名は。」に続き、また新たな境地に踏み込まれたのではないかと存じ上げます。私自身も酷評した前作は無かったことで良いです(笑)。
鑑賞後、涙をぬぐいながらあまりに振れ幅の大きい激情のシーンをその選び抜かれた言葉(ことのは・・・と読むとカッコいい)、精緻に組み上げられた最高の映像表現と共に反芻いたしましたが、今回は特に、登場人物の負の感情も隠すことなく曝け出しているのが印象的でした。
極めて美麗だけどあまりにそれが過ぎて現実味がなくなり表面的に見えてしまう・・・というのが新海誠監督作のエンタメの最大の欠点でありましたが、「恨み」「嫉妬」「不安」「怒り」などの負の感情をストレートかつ非常に戦略的に表現することで、一気に物語の深度が増し、共感の軸がかなり太くなったと感じました。
この物語の深度の増強は、物語終盤に明らかになる日本史上における未曾有の大災害に触れる際に必然であったのだろうと思われます。
また、日本古来の伝承、八百万の神々の理解度という点で監督の知識の広さ、深さ、精緻さには脱帽です!正直フィクションの枠を超越しています。
当方あまりに心が揺さぶられ、お恥ずかしながら涙をこらえるあまり重要なシーンを直視出来なかったので近いうちに再度鑑賞したいと思う次第です。
またダメかもですが(笑)。
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