劇場公開日 2022年11月11日

「意外なつまらなさに驚愕。過度の期待は禁物。」すずめの戸締まり beast69さんの映画レビュー(感想・評価)

1.0意外なつまらなさに驚愕。過度の期待は禁物。

2022年11月12日
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公開初日、早朝に鑑賞。前作『天気の子』も初日の朝に観ましたが、あの時は観客がギッシリと埋まっていて、凄い人気だった記憶があります。それと比較すると、本作は意外と空席が多めでした。
忖度無しに正直な感想を言うと、自分には余り響かない、つまらない映画でした。『君の名は』や『天気の子』の大ヒット作は、自分の好みでは無かったものの、映像美や娯楽性の高さの点で、それなりに楽しめたし、世間で大ヒットした事も納得の出来る作品でした。しかし、本作に関しては、映像美は良いのだけど、内容は、うーん・・・褒めたくなる要素が思った以上に少な過ぎて、手離しで絶賛出来るような代物では無かった。観ていて色んな疑問点ばかりが頭に浮かび、なかなか映像世界に入り込めない。幾つか面白い場面もありましたが、全体にどうも受け入れられないものを感じ、また不快に感じる場面も少なからず。作り手が何を伝えたいかという、映画において重要なメッセージ性自体が余り感じられなかったのが最大の難点で、感動する事も無く、私にはダメダメ映画でした。
キャラクターに感情移入しづらく、恋愛の描き方にも薄いものを感じます。主人公「すずめ」が、すれ違った後に少し関わっただけの赤の他人「草太」をまるで昔から深い付き合いの恋人くらいのレベルで必死に追いかけていく理由が分かりづらい。
説明不足のまま、どんどん勝手に進行していって、観客を置いてけぼりにする急展開もキツいというか、脚本作りの段階で、誰か助言をする人が必要だったんでは・・・、とも感じます。心をグッとつかまれるような名場面も余り無く、2時間が普段以上に長く感じ、最後まで観続けるのに気力を必要としてしまい、観終えた後の疲れがハンパない。
各地の鍵穴を閉じて回る設定が『キングダムハーツ』のパクリだとか、ジブリ作品のパクリが多いとか、既視感あり過ぎという見方もあるようですが、もしかすると新海監督は過去の大ヒット2作品の後、期待され過ぎた重圧に押し潰されて、自分で本当に描きたいものが何なのかが、分からなくなっているのかもしれません。
映画が終了後、客席全体を観察すると、明らかに満足してなさそうな暗い表情の人が多く、疲労感が漂ってる印象。ここのサイトでは嘘みたいに褒めちぎりの絶賛レビューが多くて驚きますが、実際の現場ではかなり白けた空気が漂っていて、場外に出る際、「何か中途半端な感じだったなー」と2人で来ていた若者がボソッと静かに言う会話も聞こえてきました。今年は映画館に180回以上行きましたが、これは今年観たマイベスト映画の100位にすら入れられません。
3.11震災が題材になってる映画なのですが、ああいうリアルでデリケートな問題をこういうファンタジー要素多めの映画にして、ああいうラスト・シーンにしてしまう事自体、何だかな~と、こういう事やっちゃっていいのかなと。震災の被害に遭われた人達がこの映画を観たら、余り心地良いものではないですね。思い出したくない悲惨な過去を反復させられて、映画の内容とは全く関係の無いところで、悪い意味での感情が揺さぶられる、そっちの面の方が多くなる気がする。こういう作風には余り共感出来ない自分がいます。
親しい人にオススメ出来る映画かと言えば、これはもうオススメなんて絶対に無理。これをオススメしたら、「映像が綺麗で、キャラも可愛かったけど・・・正直微妙だった」とか言われる可能性があります。

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beast69