「大味アクションに思わせておいて、非常に難解な構造!サンドラの挑戦状!!」ザ・ロストシティ バフィーさんの映画レビュー(感想・評価)
大味アクションに思わせておいて、非常に難解な構造!サンドラの挑戦状!!
本作はある意味、観方が難しい作品と言えるかもしれない。というのも、何周にも周った視点で観なければ楽しめない構造になっているからだ。
最近は真面目な作品に出演することが多く、コメディエンヌとしての立ち位置が揺らいでいたサンドラ・ブロックの、コロナ過で大味アクションが減ってるから、自分でやってしまおう!!という願望から誕生した、正に大味アクション。
サンドラもチャニング・テイタムもダニエル・ラドクリフもブラッド・ピットも……もれなくおバカ!!
90年代から2000年代に大量生産されていた大味なアドベンチャー・アクション・ハリウッド大作みたいだと思わせることこそが、サンドラの狙いであるのだから、「こんなバカな映画が令和の今にっ!!」なんて思ってしまっては、サンドラの狙い通りというものなのだ。
どう考えてもラジー賞の射程に入りそうなビジュアルのオンパレードもおそらく狙いである。ラジー賞側も、ここまで挑発されていると、逆にノミネートしたくなくなるのではないだろうか。
もしラジー賞を受賞したら『ウルトラI LOVE YOU』に続いて、授賞式に現れてギャグを言って、してやったり顔をしている様子が目に浮かぶ。
だから逆に受賞させたくない、ノミネートしないでおこう……という、そんな心理さえも逆手にとっているのでは?これは立派な政治的駆け引きだ。
中身がない典型的な娯楽作だったと……と文芸映画通ぶるのも恥ずかしいし、「これぞ映画っ!!」なんて大絶賛するのも恥ずかしい、どういった目線で観ることが正しいのかがわからなくなる。
複雑怪奇な構造に、ただただ困惑するばかりで、純粋におもしろいかというと「わからない」
あらゆる意味で、映画というものの奥深さを改めて実感するような作品でもあった。