「夏の日の思い出~君がくれたもの~サバ缶」サバカン SABAKAN TSさんの映画レビュー(感想・評価)
夏の日の思い出~君がくれたもの~サバ缶
昔ながらの少年冒険譚、夏休みの思い出、っていう分かりやすい展開の映画なんだが、こういうベタな話でもぐっときてしまうのは歳をとったせいか(Netflixで鑑賞)。
ストーリーも映像も、役者の演技も、どれもこれも特別凝ったものは何もないのだが、何故か心に沁みる。
映画の2人のように、悲しい出来事で離ればなれになるということはなくても、今40代以上の多くの人が、こういう夏休みの一日を友達と過ごした記憶ってあるんじゃないだろうか。大人になって思い返してみたら、取るに足らないことでも、子供にとっては大きな冒険。勇気を振り絞って知らない土地まで自転車で出かけて夕方遅く家に戻ってきた日があったことを思い出す。まさにノスタルジー。
当時は缶詰も、今のようにプルタブじゃなくて、缶切りで開けるものしかなかったし、サイズも大きかった。田舎の祖父母の家に行ったら、ビールやジュースも瓶のフタを栓抜きで開けていたなあ。
40代の自分自身にとっては、主人公の小学生らを通して、自らの子供時代が。
60代後半から70代の親世代には、主人公の親たちを通して、自分の子供達のことが思い出されるのでは?
そしてこの映画を観た令和の小学生たちは、どう感じるのだろうか?
子役2人の演技は凄いとは言えないが、上手で違和感なく観られる。親役の尾野真千子と竹原ピストルは昭和の母ちゃん、父ちゃんの味が出ていていい。特に尾野真千子って、若い頃から観ているけど、肝っ玉で声が大きいけど本当は愛情深くて優しい女性っていう今回のような役が素なんじゃないだろうか。
レビューのタイトルは、見終った後に思い浮かんだ言葉。
ZONEの「secret base」が思い浮かんだんですよ(歌詞がピッタリだと思いませんか?)。
エンディングテーマの「キズナ feat. りりあ。」は映画の雰囲気に合っていてとても良かった。こういう少年が主人公のハートフル系映画って、透明感のある若い女性シンガーの歌声が合うのだろうか(最近観た映画では「カラオケ行こ」が同じ系統か)。
忘れてはいけないのが、草彅剛。登場シーンは少なかったけれど、回想の落ち着いたトーンのナレーションと彼の佇まいが、観る者の郷愁を誘うものになっていたと思う。
こういう映画、たまに観たくなる。