「後回しにしてた自分をバカか!と叱りたい」サバカン SABAKAN kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)
後回しにしてた自分をバカか!と叱りたい
少年たちのひと夏の経験を描いた物語って、なんであんなに魅力的なんだろう。ティーンエイジャーだと恋や仲間との友情や親との葛藤があって、大人になる手前にあがく感じがいい。でも、「スタンド・バイ・ミー」みたいな小学生の話も、子どもの成長物語として好きだ。
本作では、イルカが見れるという噂を信じ2人で自転車の日帰り旅行に出かけるという流れがいい。その噂もヤンキーが言ってたから信頼できるって感じるあたりも小学生以上らしくてニヤニヤしてしまう。ひと夏の冒険ってワクワクして、おじさんにはノスタルジックな気持ちで胸がいっぱいになる。なんで自分を誘ったのか?という問いに対する答えもありがちではあるが感動してしまった。そんな答えができるくらいに大人になりかけているんだよな。
タイトルのサバカンにまつわるエピソードは若干弱め(やはりイルカを探す旅が印象深い)だが、そんなことはあまり問題とは感じなかった。ちゃんと伏線も回収して、彼らのその後もある程度伝えてくれて、とても満足度の高い脚本だ。
小学生だと自分で未来を切り拓くのは難しく、運命と周りの大人たちが決めたことに従うしかなくなってしまう。そのもどかしさがうまく伝わる話だった。ある程度はいい話なんでしょ?と若干高めのハードルを軽く越えて行った映画だった。後回しにしてた自分を、バカか!と叱りたい。
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