「「じゃあね」を「またね」に言い直したくなる」サバカン SABAKAN BONNAさんの映画レビュー(感想・評価)
「じゃあね」を「またね」に言い直したくなる
上映時間96分。スキマ時間を縫って映画館に来る社畜や奥様や受験生を始め全人類に優しい上映時間の長さ。最高。ぶっちゃけ最近時間ばかりが長くて中身の薄い邦画が量産されてるので、他の作品も見習って頂きたい。3時間とか正直どうかしてる。まあ他作品ディスは置いといて。
子ども向けジュブナイルかと思いきや、結構大人向けでもありました。斉藤由貴さんがアイドルだった頃に青春時代を送られた方にはガチで刺さるかと思います。なお私はわかる斉藤が斉藤壮馬と齋藤飛鳥なのでギリギリわかったようでわかりませんでしたが、アイドル時代の彼女が神の領域にあることは理解しました。ところでこの作品、尾野真千子さんが主人公のオカン役ですが過去最強に素晴らしい真千子です。強い。かっこいい。推せる。キン◯◯潰すとか言ってる。今後もこの路線で頑張っていただきたいもんです。
さて内容ですが、いわゆる一期一会的な話と言いますか。出会いと別れまでの時間と育む友情の深さは比例しない。スタンドバイミーで喩えるとゴーディとクリスみたいなもんですね。どうでも良いですが、この映画、ヤンキー3人出てくるんですけど設定が恐らく昭和ぽい中令和の風貌です。と言うか、なんかマリリンマンソンを思い出しました。マンソンさんに迫られる映画です。あと更にどうでもいいですが、主人公のスペックが長崎の海沿い住まいのクセして泳げねえしDIYに長けてません。悪友・タケモトは家はボロいし年中ランニング着てますが、絵うめえしケンカ強えしシュッとした風貌なんで、なんでタケモトがハブられて主人公が重宝されてんのかよくわかりません。ワシなら主人公じゃなくてタケモトを友達にします。ケンカ強えし。
全体的に子どもも大人も安心して観られる仕様です。別れ際の「じゃあね」と「またね」の重みがこの作品を観るだけで全然違うものになる。
もしかして、会えるのはこれが最後かもしれないよ?
そんな気持ちにさせてくれる。
子どもは誰かと会うことの大切さを知って、大人は子どもの成長を3歩離れたところで見守る。そんな素晴らしい作品でした。
なお、エンドロール後の映像がまた良い。タケモトの「ヴァカか」のちょっとした言い方の違いが絶妙。