「JO1だいすきです。」JO1 THE MOVIE 「未完成」 GO to the TOP ゆさんの映画レビュー(感想・評価)
JO1だいすきです。
監督が見たJO1の姿っていつでも前向きな男の子たちだったのかなぁと思います。だからこそ辛かったり苦しんだりしているシーンをいれなかったのかな。もちろんファンだからこそ、彼らのぶつかり合いとか葛藤と言うものを見たかったなぁと言う気持ちもあります。監督は「メンバー内で喧嘩が起きた時、それをカメラから隠そうとするメンバーもいた」とインタビューで仰っていたのですが、メンバーが映して欲しくないと思っていることを一切うつさないようにしたのでしょうか。
彼らがこれまで進んできた2年間は、なかなか音楽番組にも出られず、華々しいはずのデビューはコロナによって全てストップしてしまうなど、順風満帆からはほど遠かったものです。また、オーディションから選ばれた11人だからこそ初期はメンバーに一体感がなかったのは、これまで応援してきたファンはみんな感じていることです。しかしこの映画においては、少しでも後ろ向きに取れるようなことはメンバーからの振り返りの言葉でしか語られていません。
もちろんメンバーのつらそうな様子や悔しがっている姿だけの100分間が見たいわけではありません。ですが、彼らのそういった姿が映されていないことは少し疑問に感じてしまいました。密着がついたのが2021年に入ってからと言うことでしたが、夏のKCONの付近でもメンバーの口から練習に関して喧嘩があったことなどが他の媒体で語られていました。こういったメンバー同士のぶつかり合いと成長を描くという視点を期待していたため、少し映画に物足りなさを感じた部分はあります。
この作品のテーマが初の有観客ライブであり、ライブがいかにJO1にとって大事な舞台だったかを描くために編集されているのだと思います。JO1にとってもJAMにとってもこの2年間を物語にするのであればOpen The Doorが1つの区切りになることは間違いないでしょう。ライブシーンを流す際にJAMが沢山映るのも、監督にとってみれば「JO1がJAMに会うまでの物語」だったからこその演出なのかなと感じました。
ファンが知らないJO1の裏側を見せることよりも、彼らにとってこの2年間がどんなものだったかを記録しそれを振り返ってもらうことに主眼を置いた記録映像のようなものだなという印象を受けました。ファンの多くはJO1のことが知りたいはずなのにJAMが多く登場しているのも、ファンに向けての映画という観点よりも、JO1のための作品という視点が監督の中にあったからではないかと感じます。
もっといろんな葛藤があったはずなのに…という物足りなさはあったものの、映画自体はとても前向きな気持ちになれる素敵な作品でした。約1年間にわたる密着の中から選ばれたシーンが、徹底して明るく前向きな視点で撮られていたことによって、JO1の腐らずまっすぐひたむきな心持ちがスッと感じられたように思います。そして彼らの語りも、拙い言葉だからこそその率直な思いが伝わるようなものでした。
ファンにとっては綺麗にまとめられた作品だなと言う印象はあると思いますが、あまりJO1を知らないという方にとってみると彼らの2年間とJAMへの思いが知れる、いいきっかけのような作品だと思います。
“アイドル”という人たちは、きっと舞台に立って多くの人に見てもらうことで輝くのだと思います。コロナ禍はそんな彼らのステージを奪っていってしまいましたが、その中でも今できることをやる、現状を前向きに捉える、というJO1の姿勢がとても眩しく素敵でした。わたしが好きになったJO1は映画の中でもわたしが好きなJO1の姿で居てくれていました。これからも応援し続けます。ずっと11人で大きな夢を追いかけてください。