「☆☆☆☆ 〝 全ての男はマザコンである 〟 評判になったドキュメン...」ぼけますから、よろしくお願いします。 おかえり お母さん 松井の天井直撃ホームランさんの映画レビュー(感想・評価)
☆☆☆☆ 〝 全ての男はマザコンである 〟 評判になったドキュメン...
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〝 全ての男はマザコンである 〟
評判になったドキュメンタリー作品の続編。
ほんの少しだけの感想で。
コロナ禍真っ最中の20年12月。我が母親は、悪性リンパ腫により苦しみながらこの世を去った。
前作は間違いなく良作でしたが、映像的にどうたらこうたら、、、等と、観た人ならばほんの少しだけ感じたかも知れない。
帰郷し、実家に近づいたその瞬間から。常に両親に向けてカメラで撮影している事。その辺りの抵抗感を、多少感じ無い訳ではない。
何故ならば、我が母親が(病で)苦しむその姿。それを(映像として残す)映す事が私の選択肢の中には無かったから、、、
とは言え、これには(監督自身の)映像作家としての〝 ある種の性 〟が有るからこそ…とも思える。
もしも、私にその勇気があったならば。我が母親の姿を(何らかの方法で)残していたのかも知れない。
前作での前半で、監督自身の病いを気にかける(詳しくは作品の鑑賞をお勧めします)監督の母親が見せる姿。
それが後半に進むにつれ、徐々に変貌して行く怖さ。
実は私にもその経験が無きにしも非ずなので。〝 怖い 〟と言うよりも、「そうなんだよなあ〜」との想いがスクリーンを見つめながら強く抱いたのです。
そして、続編にあたる本作品。
初っ端から不穏な状況から始まる為に、何となくですが最後の状況が(多少なりとも)予想出来てはしまう。
病に負けそうになる母親を案じ、常に寄り添う父親の姿。
前作での、母親が嘆き悲しむ姿には、怒りを込めて諌める強い父親のその姿。
その姿を通して映し出される映像の全てには。
〝 全ての男はマザコンである 〟その言葉と同様に、、、
〝 全てとは言えずとも、多くの女性はファザコンでもある 〟
そうなのです。この作品こそは、《究極のファザコン映画》とも言える作品だったのかも知れないのです。
母親の優しさと父親の強い心。
これらが重なり、更にはこちらの感情の想いが複雑に絡み合い…と。
いつの間にか、こちらの心が浄化されてしまうくらいの涙を溢れさせられてしまったのでした。
2022年6月5日 キネマ旬報シアター/スクリーン3